「BLOOD+」×「One Night Kiss」――藤咲淳一×須田剛一(4/6 ページ)

» 2006年08月29日 13時57分 公開
[今藤弘一,ITmedia]

――藤咲さんは「やるドラ」を全部担当されたんですよね?

藤咲 最初は企画立案をしていたんですが、「季節を抱きしめて」と「雪割りの花」はどっぷりと担当しました。

須田 「雪割りの花」はハマりましたね。

藤咲 そうですか。「雪割りの花」は一番作りたかったゲームですね。これを作りたかったために、残りの3本を作ったようなもんです。あれが自分のディープな、ネガティブな世界ですね(笑)。最初に「やるドラ」を作るときに、「雪割りの花」のキャラクターデザインを担当された荒川真嗣さんに4本すべてのイメージを描いてもらったんですが、それぞれが四季のイメージとなっていて、これでゲームを作ったらおもしろいな、と。そこからいろいろなことがあって、アニメのような絵に変わったものもあるんですが。

 また、ちょうど「雪割りの花」が終わるころにゲームの「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の話がありまして、そこで脚本も担当しました。でも気がついたら全部をまとめることになっていました(笑)。企画から始めて3年くらいかかりましたね。

 そのころ、プレイステーション 2ではコントローラーに振動が使えるようになってましたので、「やるドラ」のころから、それをうまく使いたいとは思っていました。ですので「BLOOD THE LAST VAMPIRE」では、心臓の鼓動だけじゃなくて、ショックの振動を何段階か作ったりして、いろいろな揺れを使えるようにしました。

――須田さんもアドベンチャーには思い入れが強いと思いますが、「やるドラ」についてはどう思っていましたか?

画像

須田 ちょうど「ムーンライト シンドローム」を作ったあとくらいだと思うんですが、いいなあと思っていましたね。当時はグラスホッパー・マニファクチュアを立ち上げたばっかりでしたので、いっぱいゲームを作りたかったんですね。仕事を取るのがつらかった時期だったんですが(笑)。ただ、いまはアドベンチャーが少なくなってきていて、アドベンチャーの文脈が残っている1つの形が「やるドラ」だと思うんです。PSPでも復活しましたし。是非「やるドラ」を復活させてほしいですね。

――「やるドラ」が復活したら藤咲さんが担当されるんでしょうか?

藤咲 誰かがお金を出してくれて、わたしにスタッフと時間をくれればやりますよ(笑)。ただしいま、アニメが入ったゲームを作るとしたら難しいですね。「やるドラ」を超えようと思ったら。

 「やるドラ」は遊び場を用意する、という感覚に近かったんです。アニメーションで1つの時間軸を設定して、その中でプレーヤーがどう遊べるかを考えたので、最初は“話に介入する”ことで流れが変わっていくものでしたが。「BLOOD THE LAST VAMPIRE」ではアニメの良さを残さなければ、ということで、時間軸を止めないことを重視しました。その代わり「ここでボタンを押さなければいけない」など、難易度が上がっちゃったんですけど。

――そういう意味では「やるドラ」をもう一度作るときには違ったアプローチが必要になるんですね。

藤咲 ストーリーをゲームに混ぜ込んでいく流れというのは、わたしは「攻殻機動隊 S.A.C.」のゲームでも作っているんですが、あれで1つの形を作ったなと思っているんです。ストーリーの途中途中にムービーパートを入れただけなんですが、このほかゲーム中には絶えず情報が流れていくため、プレーヤーが自然に情報を追いかけられるようにしています。ここまでできたので、アクションゲームでストーリーを入れることはもうやめよう、と。

須田 確かにアクションゲームに物語を埋め込むのはすごく難しいですね。場合によっては邪魔になるケースもあります。

藤咲 ストーリーを見せようと思うと、テンポを止めちゃうんですよね。

須田 相性悪いですよね。

藤咲 ですので、聞かない人は聞かなくてもいいよ、という感覚で作らないと。アーケードゲームには筐体のどこかにストーリーを書いてありますよね。あれが導入として必要なんですよ。それの応用みたいな形で(攻殻機動隊のゲームを)考えたんですが。「やるドラ」の場合は逆で、ストーリーがあって、それをゲームにしなければいけない。ですので、次はどうしようかな、と。アニメの現場は「BLOOD+」で見てきまして、そこから感じる部分もありますので、何かおもしろいことはできるかもしれません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  2. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  3. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  4. そうはならんやろ “0円の画材”と“4万円の画材”、それぞれでジョーカーを描いてみた結果に驚き【海外】
  5. 「秒速で1億円稼ぐ男」与沢翼、ドバイの大豪邸を“10億超”で売却 1000平米超の全ぼうに「こんな豪邸住んでみたい」「5億円も貰えるとかすげえ」
  6. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  7. 「これは早死にルート」 マクドナルドが提案する“休日の過ごし方”にツッコミ殺到 狂気のスケジュールに「過酷すぎ」「どうかしてる」
  8. 台風の日、祖母宅に「食べるものがない」と聞いた孫が食料を届けに行くと……? まさかの光景に「ホント良い子や」「エエッ!?」
  9. 売上7億円超の人気漫画『小悪魔教師サイコ』作画家・合田蛍冬氏が出版社を提訴した訴訟が和解 同一原作の後発漫画が出版されトラブルに 出版社は謝罪
  10. マクドナルド、兎田ぺこらとのコラボ匂わせ→斜め上の解釈で生まれた“架空のキャラ”に爆笑 「それにしか見えないw」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」