産学官の連携でゲームの未来はどう変わるのか――「ゲーム産業戦略」記者説明会
日本のゲーム産業の国際競争力強化のため、産学官が連携して進めてきた「ゲーム産業戦略」に関する記者説明会「ゲーム産業戦略〜ゲーム産業の発展と未来像〜」が行われた。
日本のゲーム産業の国際競争力強化のため、産学官が連携して進めてきた「ゲーム産業戦略」に関する記者説明会「ゲーム産業戦略〜ゲーム産業の発展と未来像〜」が行われた。
同説明会にはスクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏、経済産業省 文化情報関連産業課 課長の小糸正樹氏、東京大学大学院 情報学環・学際情報学府 教授の馬場章氏が出席。
まずは馬場氏が「これまでゲームは、産業界独自で発展してきました。しかし、海外企業の躍進による国際競争の激化や、国内市場の伸び悩みなど、やや危機にさらされているのも事実です。そこで産学官が連携する機会が生まれました」と、ゲーム産業戦略、および同研究会が立ち上がった経緯について説明を行う。
続いて小糸氏より、日本のゲーム産業が目指すべき「日本のゲーム産業が世界をリードしていくこと」、「日本のゲーム産業が社会や国民に広く指示を受けること」という2つの未来像、その具体化に向けた「開発戦略」、「ビジネス戦略」、「コミュニケーション戦略」という3つの戦略が語られた。
各戦略の内容をかいつまんで説明すると、開発戦略では「ゲームクリエーターのポテンシャルを引き出す環境の整備」、「産学連携による人材育成の促進」、「研究開発の推進システムの確立」など、ビジネス戦略では「『東京ゲームショウ』の情報発信力や機能の抜本的強化」、「海外市場におけるビジネス展開の推進」、「中小・ベンチャー企業のビジネス展開の素心」など、コミュニケーション戦略では「双方向のコミュニケーションに向けた取り組みの実施」、「青少年の健全育成に対する取り組みの強化」などが、例として挙げられた。今後5年間にわたり、産業界、学界、国が一体となってこれらの課題に取り組んでいくのだという。
さて、この中でユーザーが一番気になるのは、やはり「『東京ゲームショウ』の情報発信力や機能の抜本的強化」となるだろう。東京ゲームショウや東京国際映画祭、東京国際アニメフェアを統合した「国際コンテンツカーニバル」(仮称)構想が発表されているが、本説明会では“E3の縮小を踏まえ、「国際コンテンツカーニバル」(仮称)、「CEDEC」、「DIGRA2007」などのほかのイベントとの積極的な連携により、「東京ゲームショウ」の情報発信力や機能を抜本的に強化する”とあった。
ここから分かるのは、「東京ゲームショウ」と「国際コンテンツカーニバル」(仮称)が、別のイベントになるということ。小糸氏は「どうするかはまだ議論の最中」とコメントするなど、政府としての答えはまだ出ていないようだが、「東京ゲームショウ」はこれまで通りの形で開催される可能性が高そうだ。
ちなみに和田氏は「E3が縮小するならば、求心力は『東京ゲームショウ』が持つべき」と語り、「国際コンテンツカーニバル」(仮称)との連携については「ほかのコンテンツとの相乗効果が生まれる。すばらしいこと」と別開催に前向きな姿勢を示した。
このほか、「産学連携による人材育成の促進」についても和田氏は言及。大学の就職先リストにゲームメーカーがないという根本的な問題があるとしながらも、「やってもらいたいのはプロデュースの勉強。これはゲームだけでなく、コンテンツ産業全体の底上げにもつながるはず」と期待を寄せた。
今回はあくまでリポートにまとまったものを説明する場であり、具体的に詰めていく作業はこれから始まる。ゲーム産業戦略が今後どのように実行に移されていくのか、ぜひ注目していてもらいたい。なお、経済産業省の公式サイトにてリポート全文を見ることができる。興味のある人は、こちらもぜひチェックしていただきたい。
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