レビュー
» 2006年10月04日 00時48分 公開

剣の道は気力がすべて――剣豪たちの生きるか死ぬかの真剣勝負、ここに開幕「剣豪ZERO」レビュー(1/2 ページ)

時代的もののアクションゲームは数え切れないほどあるが、「剣豪」シリーズほど剣の立ち会いに主軸を置いたゲームは、ほかに類を見ない。プラットフォームをXbox 360に変え、戦闘システムやモードなどが一新した本作は、どのような進化を遂げたのだろうか。

[磯野正学,ITmedia]

悲願達成? ついに実在の剣豪が操れるように

 シリーズ最新作となる「剣豪ZERO」が、これまでと最も異なるポイントは、過去作がオリジナルキャラクターを作成して戦うことに対し、本作では佐々木小次郎や沖田総司、坂本龍馬といった実在の剣豪を操作できるようになったことにある。メインとなる本編モードで最初に扱えるのは、宮本武蔵、沖田総司、坂本龍馬の3人。彼らのストーリーをクリアすると、柳生十兵衛や千葉佐那子といった新たな剣豪が増えていく。

 本編のステージは、赤穂四十七士が襲撃している吉良邸や、新撰組が暗躍する京の街など、史実に基づいたもの。各剣豪にはこれらの戦場を舞台とした、個別のストーリーが用意されている。こう書くと史実通りに楽しまなければならないのか? と思うかもしれないが、そんなこともない。例えば、宮本武蔵がなぜか赤穂浪士の討ち入りを妨害したり、沖田総司が巌流島に行って宮本武蔵と佐々木小次郎の決戦の邪魔をするなど、各剣豪が有名な戦いの場にタイムスリップしたらどうなるのか? という“if”も多数用意されている。

 この、史実ではありえない戦いを体験できる点は、素直に面白いポイントだろう。ただ、なぜこのような架空の戦いが発生するのか? という理由付けが希薄なのは、少々気になった。欲を言えば、もう少しストーリー性を持たせてほしかったところだ。

photo ひとつのステージは、大勢の敵と戦うザコ戦パートと有名剣豪と戦うボス戦パートに分かれている。時代劇で良くあるシーンを、お気に入りの剣豪で体験できるのが魅力だ
photo 有名な剣豪同士が直接戦い合うボス戦。坂本龍馬vs堀部安兵衛など、絶対にあり得ないバトルを楽しむことができる

生死を分ける、つばぜり合いからの攻防

 剣豪たちの戦闘アクションについても触れていこう。剣豪はそれぞれ3種類の「形」(剣の構え)を持っており、形ごとに使える技(縦斬りや踏み込み斬りなど)が異なる。形はLBボタン、RBボタンでいつでも簡単に変更が可能なため、個人的にはとてもポイントが高い。

 沖田総司好きの筆者としては、八相の構えもいいのだけれど、三段突きが使える下段の構えも捨てがたいのだが……本作はそんな欲求をスパッと満たしてくれる。3種類の形が用意されているのも、単純に技のバリエーションが増えるという点でうれしい限りだ。

 次に、各々の形から繰り出される技に着目していこう。本作の技には大きく分けて、縦斬りと横斬りの2種類があり、これを組み合わせることで、「縦斬り→縦斬り→縦斬り」や、「横斬り→縦斬り→横斬り」といった具合に、最大3回まで連続攻撃が仕掛けることができる。

 縦斬りと横斬りと言っても、そのバリエーションは非常に多彩で、例えばある形の1撃目の攻撃だけを見ても、レバーニュートラルとレバー入れ×4種類の、計5種類が存在する。同様に2撃目、3撃目も多数あるため、“1撃目は上段から斬りつけて、2撃目は横からにしようか……”という感じで、アレコレと悩みながら、お気に入りの連続技を模索し、楽しむことが可能だ。ただし、技は最初からすべて使えるのではなく、ステージクリア後に経験値を消費して修得することになる。

photophotophoto (左から)下段、中段、上段の構え。現在どの形を使用しているかは、画面左上のアイコンでも確認することができる

 また、技の中には特殊な性能を持つものがあることにも注意したい。これは「剛剣」、「迅剣」、「柔剣」の3つのことを指しており、剛剣はボタンを押しっぱなしにすることで、威力の高い攻撃、いわゆるタメ攻撃を行うというもの。迅剣では1回攻撃ボタンを押すと相手の懐に踏み込み、もう1回攻撃ボタンを押すと斬りかかるという、変わったアクションが繰り出せる。

 柔剣は技を出した直後に、自動的に形が変わるという特性を持つため、すぐさま次の攻撃をくり出せるメリットがある。つまり、通常は3撃目までしか連続で攻撃できないが、柔剣を使えば、4回以上の連続攻撃が可能となるわけだ。

 これら3種類の技は、どれも通常の技に比べてクセが強く、使い勝手が良いものではない。その反面、使いこなせれば強力な武器となる。何よりも、難しい技を使いこなしてうまく決まった時の爽快(そうかい)感は格別なので、ぜひ連続技に組み込んでチャレンジしていただきたい。技は本当に豊富に用意されているので、繰り返しプレイをしても、前のプレイとは違う技を覚えることにより、違った感覚でプレイすることができるはずだ。

 また、前作に引き続き、基本アクションには3すくみの原理が採用されている。基本アクションは、「攻(攻撃)」、「待(防御)」、「懸(崩し)」の3つがあり、“攻は懸に強く、待に弱い”、“待は攻に強く、懸に弱い”、“懸は待に強く、攻に弱い”という強弱関係にある。自分と相手のアクションがぶつかった場合、相関関係によっては一方的に打ち負けてしまうため、相手の行動を予測して戦うことが重要となるわけだ。特に、ボスとして登場する有名剣豪たちは、3つのどれかを多用する傾向がある。相手のクセを見きり、しっかりと戦略を立てて戦いたいところだ。

photo 敵が密集しているところで組太刀に持ち込むのは危険。ほかの相手との間合いを見て、懸を仕掛けよう。スキを見せたら、どんどんつけ込まれる

 なお、懸は基本アクションの中でも、一風変わった動作を楽しむことができる。相手の攻撃に合わせてXとAボタンを同時押すると発動する受け組太刀(待の派生技)、防御や構え姿勢の相手に懸を仕掛けると、相手と組太刀(つばぜり合い)状態に持ち込めるのである。この組太刀での攻防が、戦闘アクションの大きな変化のひとつとなるだろう。

 組太刀状態になると、相手を好きな方向へ押しのけることが可能で、同時に相手の「気力」を大きく減少させることができる。また、つばぜり合い状態のまま好きな方向へ走る「つばぜり走り」や、相手を吹き飛ばしてスキを発生させる「崩し」など、組太刀状態からさまざまなアクションを行えるのも大きな特徴だ。

 これらを使いこなせば、当然有利に戦闘を展開できる。例えば大勢の敵に囲まれた場合、つばぜり走りを使えば、ほかの敵を吹き飛ばしながら移動するため、窮地から脱出できる。また相手の気力ゲージを0にすれば、一撃必殺を狙うことも可能だ。

 このように利点の多い懸だが、そればかり狙っていると、相手の攻をもろに受けてしまい、体力を大きく減らされてしまう。お互いにどこで懸を使うか……その駆け引きがたまらなく熱いのだ。敵の攻撃を待で受け止め、3撃目を防いでから反撃しようと思ったところ、相手が2撃目で止めて懸を仕掛けてきたりする。思わぬ流れで懸を使われると“そうくるか!”と脱帽するしかない。今度はこちらも意表を突いて懸をやり返す、といった読み合いの応酬を楽しめるのが、この攻防の醍醐味だろう。

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