新世代のリンクよ! リモコンを振りヌンチャクを回せ――「ゼルダの伝説」:「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」インプレッション(3/3 ページ)
驚愕の展開と、狼になったリンクの新しい能力
神殿前で仲間を救出すると、物語は新しい局面へ。リンクはハイラル城へと行くことになる。ハイラル城にはもちろんあの姫が待っている。序盤にしていきなり会えるのか、と心ときめかせているリンク=筆者に、しかし、突然の悲劇が訪れる。今までの平和で牧歌的だった雰囲気とは180度違う、黒く暗くまがまがしい者たちが登場。仲のよい女の子イリアと愛馬エポナが襲われ、リンクは狼の姿に変えられてしまうのだ。詳細はお伝えできないが、このあたりの一気に世界が闇に支配されていく感じは、グラフィックも音楽も非常にダークでドラマチック。「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」を想起させる、暗くどんよりとした亜空の瘴気が充満していくような描写で、プレーヤーをぐいぐいと惹き込む。
どこだか分からない牢屋の中で目覚めるリンクの前には黒くて小さい偉そうなキャラクター、ミドナがいる。ここからはミドナを背中に乗せて狼リンクを操作することになる。ミドナの力を借りて奥に奥に進んでいくと、やがてそこがどこなのかが分かってくる。そして、ここで序盤最大の盛り上がりと言ってもいい美しくも悲しいムービーに突入! 劇的な物語展開と秀逸すぎるほどの演出効果に、完全にノックアウトされてしまった。これはもう、いやがおうでも、勇者となってこの世界を救わなくてはならないじゃないか! とプレイのモチベーションは針が振り切れるほどに上がったのだった。
その後もしばらくリンクは狼のまま。動物たちから情報を得つつ、ミドナが欲しがっているものを手に入れるために行動しなくてはならない。ミドナは生意気なことばかり言う偉そうなヤツだが、ここは大人しく従った方がいいようだ。
神殿の中は謎と危険と猿がいっぱい 〜It's a 宮本マジック!
ミドナのおかげもあってなんとか次のダンジョンへと進むことができた。このダンジョン中盤では、ある象徴的な武器が入手でき、早速このダンジョンで活躍することになる。これは従来の「ゼルダの伝説」シリーズをしっかり継承した要素だ。“そのダンジョンで得た重要アイテムは、必ずそのダンジョンの謎解きに活用され、ダンジョンのボス戦においても必要になる”というのは最早鉄則だと言ってもいいだろう。そんなシリーズの伝統をしっかり踏まえた作りに、思わずにんまりしてしまった。ある武器を駆使することで仕掛けを解き、今までに行けなかったところに踏み込めるようになるのだ。
至るところにひそむ敵たちは容赦なくリンクを攻撃してくる。狼から人間に戻った時点で剣と盾を持っている(盾はZボタンでかまえることができる)ので、リンクも負けじと応戦するが、いかんせん最初のリンクはライフ(ハートで表記されるリンクの体力)が3つしかないので、油断するとすぐにゲームオーバーになる。ダンジョン内でゲームオーバーになった場合にリトライを選択すると、死んだエリアの入ってきた出入り口からスタートになる。リトライは何度もできるので、アクションが苦手な人でも安心だ。
外には空きビンに詰められるカンテラ用の油やライフを回復する薬が置いてあるので、それを買ってから無駄なくダンジョン探索を再開する、ということが可能になった。これで移動の手間が省けるため、謎解きやアクションに集中できる。非常にユーザーフレンドリーでシリーズ全体を通しても画期的な新要素だと思う。
そんな要素もありつつ、謎解きに集中できるのはいいのだが、ここに来てまた何度か詰まってしまった。泉に木が浮いていれば気になってしまうし、倒し方の分からない敵がいれば何とか倒したくなるし、爆弾で壊せそうな岩があればどうにかして壊したくなる。「やりたいことは分かっているのに、やり方が分からない」というのは「ゼルダの伝説」ではよくあることだ。プレイ終了の時間が迫っているというのもあり、妙に焦ってプレイする筆者。「ああ、ちがう……これ試してみよう……ダメだ、ちがうわ……えー。何これ、どうやったら倒せるの……あ、これか……ダメだ、間に合わん……何だこれ……これ、倒せるの?」と自然と独り言というかボヤキが増えてくる。
そこで颯爽と登場するのが、筆者の横でプレイを眺めていた記者Kだ。「これ、あれでしょ。そこ、ちょっと上見てみて」。言われた通りに上を見ると「あ、あああああ、あああああああ、これだー。俺、アホか―― 」と新発見をしたりする。記者Kの冴え渡る洞察力で何度かの手詰まりを乗り越えることができた。ただ、謎が解けても「やりたいことは分かっているし、やり方も分かっているのに、アクションに失敗する」ということも「ゼルダの伝説」ではありがち。そういうときはたいてい焦っているのであって、少し落ち着けばうまくプレイできたりするものだ。まずは深呼吸。
そんな「意外に単純だけど、気付かないとまったくもって到達しない(ひらめきで到達する)正解」をいくつも内包した魅惑のダンジョンが、ちゃんと序盤から用意されている。この難易度のバランスは本当に絶妙と言うしかない。あえてここで宮本茂氏の手による“宮本マジック”だと言い切ってしまおう。なぜなら今までも宮本氏の手にかかった「ゼルダの伝説」で、同じような絶妙な難易度の謎解きとアクションを何度も体験してきているからだ。それらと同質の、クオリティの高い遊びの数々が散りばめられているというのを身をもって知ったのだった。
怖るべきローンチタイトル……こりゃプレイしなきゃダメっしょ!
そんな「おもしれ――――」と心の中で何度も叫び、そして実際にクチにして何度も叫んだ本作のプレイも、いよいよクライマックス。プレイ時間が終わるまでに何とかこの神殿をクリアしたい! という一念でがんばってきたが、どうやらギリギリ間に合いそうで間に合わなそうな微妙な時間帯へと突入する。「あそこでこれをああ使ったんだから、ここで何をすればいいかというのは、ねえ、ほらもう分かったでしょ」と勝手に脳内の宮本氏のアドバイスが聞こえてくる。「はい。分かっております。こいつには、これをあれすればいいんですね」とひらめいた筆者は、見事ボスを倒し、神殿をクリアしたのだった。
本当にギリギリで神殿クリアとなった、今回の体験プレイ。結論から言うと「おもしれ――――」の一言しか出て来ないのだが、それではあんまりなので、ここまでの筆者のリポートを読んでいただき、そこから本作の楽しさを感じ取っていただければ、と思う。ここまでのプレイのみによるインプレッションで言わせてもらえば、まぎれもなく「ゼルダの伝説」の名に恥じない作品に仕上がっていると筆者は断言する。「ゼルダの伝説」ファンのみならず、全国のゲームを愛する人に、ぜひ遊んでほしいタイトルだ。
なお、改めて痛感したのは「ゼルダの伝説 時のオカリナ」が3Dの“ゼルダ”としていかに完成度が高かったか、ということ。操作システムの基本はあの時点で完成しており、本作はそれをしっかりと受け継いでいる。受け継いだ上でWiiならではの新しい操作が大幅に加わっているわけだが、これももしかしたら、数年後に振り返ってみるとWiiでできるアクションのスタンダードとして不動の評価を得ているかもしれない。
怖ろしいのは本作がWiiのローンチタイトルだということ。この“怖ろしい”は、ここまで読んだ方なら汲み取っていただけるかと思うが、「こんな面白いゲームが、新しいハードと同時発売って、こりゃプレイしなきゃダメっしょ! みんな遊んじゃうっしょ! でも本体とソフト買えるかな……(自分)」という圧倒的な期待といくばくかの心配を意味している。約1カ月前にほぼ製品版同様の状態でプレイできた、という点から任天堂の本作にかける気合いと意気込みも伝わってくる。そう。1カ月後には、この“ゼルダ”体験を日本中のユーザーたちが得ることができる。黄昏の姫に会える日は、すぐそこまで来ているのだ。
いやはや、早くまた「ゼルダ」がやりたい。あの先が気になって気になって。
| 「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」 | |
| 対応機種 | Wii |
| メーカー | 任天堂 |
| ジャンル | アクションアドベンチャー |
| 発売予定日 | 2006年12月2日 |
| 価格 | 6800円(税込) |
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