絵本をめくるように物語を楽しむRPG「Riviera〜約束の地リヴィエラ〜」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年11月27日 12時00分 公開
[小泉公仁,ITmedia]
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キャラクターの魅力にぐいぐいと引き込まれる

 「Riviera」をプレイしていて最も感心したのは、キャラクターの個性がしっかりと描き分けられていて、そのどれもが魅力的に映ること。主要キャラクターがみな愛らしく、バストアップで表示されるビジュアルも表情豊かでかわいらしい。今回のPSP版では声が付いたことで、キャラクターがより生き生きとしているように感じられる。大量に追加されたイベントCGも、繊細なタッチでていねいに描き込まれていて、本当に美しく、見応えがある。

画像 画面の左右に挿入されるキャラクターのバストアップ画像が、笑ったり照れたりと表情豊かに切り替わり、とてもかわいい
画像 悪霊に取り憑かれたまま死んだと思われる骸を前に、自身のHPと引き替えに浄化を試みるフィア。こうした美麗なイベントCGがゲーム中の随所で見られることも「Riviera」の魅力

 ストーリーは、良くも悪くもオーソドックスで、何となく先が読めてしまう場面こそあったが、章が進むにつれて徐々に盛り上がっていく展開はなかなか見事。神界から遣わされたエクセルと、リヴィエラの精霊たちが絆を深めていく様がほほえましく、ときにドタバタ劇あり、ときにしんみりとするエピソードも交えながら、心温まるようなおとぎ話が進んでいく。また、このゲームには恋愛シミュレーション……と呼べるほど本格的でもないが、それに近い要素を含んでいる。ところどころで現れる選択肢や、戦闘時のフィニッシュを誰に任せるかなどによって、各キャラクターの好感度が変動し、それがエンディングにも影響してくる。

画像 ある場面で、先へ進むことを躊躇するような受け答えをすると……
画像 ハートマークが割れて、好感度がダウン。ただ、あえて好感度が下がる選択をした場合にのみ見られるイベントCGもある

 「携帯ゲーム機で手軽にプレイできるRPG」という着想と、そのために考案された移動・戦闘などのシステムがよく練られている点が評価できる。残念なのは、セーブが各マップを抜けたときにしかできず、途中で中断できないこと(PSP本体のレジューム機能を使うという手はあるが)。また、戦闘の回数自体はそれほど多くないものの、1回の戦闘が長引きやすいことと、セリフの言い回しにも少し気になる部分はあったが、総合的に見ればていねいな作りで満足感は高い。「バロック」に代わるスティングの代表作として、長く心に残りそうな作品だと思う。

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