いったいなにが起きたのか? 「イース」のミッシングリンクに迫る「イース・オリジン」レビュー(1/2 ページ)

ディープなファンが数多く存在し、前評判段階から大きな盛り上がりを見せていた「イース・オリジン」。Windows版から始めた人には単なるRPGに映るかもしれないが、オリジナル版からプレイしている人にとっては、Ysの歴史が分かる貴重な1本となっている。そんなタイトルを、PC版が発売された時からプレイしている人間の視点で見てみた。

» 2007年01月15日 15時39分 公開
[篠崎薫,ITmedia]

大ヒットした「YsI」、「YsII」に秘められた謎が明らかになる作品、それが「イース・オリジン」

オープニング後のデモで見られるダームの塔。700年前からあるこの塔を舞台に、物語は幕を開ける。「YsI」に繋がる謎が、ここで明かされることになる

 日本ファルコムの看板タイトルの1つ“Ys”シリーズは、20年にも及ぶ歴史を持っている。最初に発売されたのは、1987年リリースのPC-8801mkIISRシリーズ用。あの時代、各雑誌に掲載されていた広告を見て、ドキドキしながら発売を待った人も多いはず。それまでの“ゲームは難しいほど良い”という考え方を根底から覆し、必要最低限のヒントで進められるシナリオと美しいBGM。そして、深まっていく謎。同じ頃、コンシューマゲーム機でもRPGが大ヒットしていたが、それらとは一線を画すPCユーザーのためのRPG、それが「YsI」と、1年後に発売された「YsII」だった。

 当時大絶賛されたタイトルではあったものの、PC版は3作目で終了。その後に一度コンシューマ機へとプラットフォームを移し、再びPCへと戻ってきて2003年に発売されたのが「YsVI」だった(途中にはEternalなどリメイクものが出ている)。

 今回の「イース・オリジン」は、700年前の古代イース王国末期が舞台。なぜ、「YsI」に登場するエステリアが、あのようになってしまったのか。700年前に起きた出来事とは? イースの書に記されていた、突然消えてしまった女神はどこへ行ったのか? イースを襲った6体の巨大な魔物とは? ファクトの書に書かれた、突然魔物の追撃が止まったことに、本作の主人公たちが絡んでいるのでは? 当時のPC版をプレイした経験がある人ならば気になる原因が、本作にてついに解き明かされる。

テンキー操作で、昔のユーザーも違和感なくプレイ可能

 プレイを始めると、最初に難易度とキャラクターを選択することになる。この時点で選べるのは、接近戦での戦いがメインとなる中級者向けのユニカと、魔法を使うため遠距離戦を得意とするユーゴの2人。どちらも一長一短があるものの、物語の確信へ最初から近づけるのはユーゴと感じた。初心者や中級者向けという観点よりはむしろ、昔のYsシリーズをプレイしてきたか否かという部分でキャラを選ぶのがいいかもしれない。当方は最初ユニカでプレイしていたが、記事のために同時並行でユーゴでも遊んでみたところ、明らかにこちらの方が核心に近い話が出てきて驚いたほど。ただし、オリジナルのイースをどれだけ知っているか、また思い入れがあるかで、そのあたりの選択も微妙に変わってくるかもしれない。


 ユニカを選んだ場合、基本的なゲームの操作方法は「YsVI」以降でお馴染みとなっている、8方向移動とジャンプに剣攻撃。剣は、連打するだけでコンボになってくれるため、攻撃していて非常に気持ちが良い。また、ジャンプしてから落下中に攻撃ボタンを押せば、敵を気絶させる可能性のある攻撃を出すことも可能だ。さらに、移動→レバーニュートラル→攻撃で、ランダムで相手の防御力を下げる効果を発揮するアタック方法が使える。コツを覚えるまでは苦労するが、一度マスターすると簡単に出せるようになるのは、やはりイースの持つ優しさなのだろう。これらに加え、さらに3種類の魔法とブーストが追加されている。これまでのイースシリーズに比較的近い操作方法と言えるだろう。なお、ユーゴは魔法を使っての攻撃となるため、若干ながら感覚が変わってくる。まるで、シューティングゲームをプレイしているような気分だ。ただ、攻撃のためにキーやボタンを連打するため、とにかく指が疲れるのが難点。連射装置の付いているパッドなどを持っているならばいいが、当方はメカニカルキーボードでのプレイだったので、余計に苦労してしまった……。

アクションゲームが苦手な人でも、とりあえず攻撃ボタンを連打すればコンボ攻撃になるので問題なく楽しめる
コツをつかむまでは、なかなか出せなくて苦労したが、覚えてしまえばすんなり発動できた。ただし、それほど有意義な使い道を見いだせなかったのは腕のせいか
序盤は簡単なものの、先のボス戦などでは、まるで弾幕系シューティングをプレイしているのでは? と思う場面も出てくる。シューティングが好きな人にはたまらないシチュエーションだろう

 魔法は、ストーリーが進むと自動的に習得するもので、敵によって弱点があるため使い分ける必要あり。ブーストは、ブーストゲージが溜まってからボタンを押すと防御力が上がったり、魔法を使ったときの消費ゲージが少なくなるなどの効果がある。ただし、持続時間は十数秒ほどと短いので、勝負所で使用することになるだろう。その分、発動させるとかなりの威力を発揮するので、効果は十分に期待できる。ゲージは時間とともに溜まっていくので、計画的に使っていきたいところ。

 このように用意されたアクションは豊富で、中盤を過ぎれば2段ジャンプなども使えるようになるため、腕に自信のある人にとっては遊びがいのあるアクションゲームと言えるだろう。うれしいことに、ジョイスティックなどの外部コントローラだけでなく、テンキーでの操作にも対応しているため、昔ながらのファンでも違和感なく遊べるのは高ポイントだ。ただし、ハードの制約上からか、テンキーの8と6を同時に押しながらジャンプできないなどの操作しづらい面もあるので、キーボードプレーヤーは事前に覚えておくといいだろう。パッドやジョイスティックでプレイしろ、という話があるかもしれないが、やはりPCゲームはテンキーでプレイしてこそと思っている筆者。PC世代の人には、こんなユーザーもいるということだ。

 敵を倒すと、後述するクリスタル以外にもポーション類を落とすことがある。これを回収すると、一定時間主人公がパワーアップする。さらに、敵を連続して攻撃すると入手できる経験値の倍率が上がっていき、最高で1.99倍にまで達する。これがあるおかげで、経験値が入りやすくなるだけでなく、続けて敵を倒そうという気にさせてくれるのだ。また、中だるみ防止にも一役買っていると言えるのではないだろうか。その分、無理をしすぎてダメージを受けてしまい、ゲームオーバーになることもしばしばあったので、冷静な判断力は忘れずに。

ブースト中はオーラが出たようなエフェクトとともに、能力がアップする。敵が強いと感じたら、迷わずブーストするのがいいだろう
斜めジャンプをする場面では、キーボードプレーヤーは苦戦を強いられるかもしれない。そういえば、当時は4方向移動のみだった……
主人公アイコンの上に表示されている棒グラフが、現時点でパワーアップされているパラメータ。棒グラフは少しずつ縮んでいき、一定時間経つと効果が切れる
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