2007年は爆発的なスタートを切りたい──ガンホー森下社長インタビュー(1/2 ページ)

ポータルサイト「ガンホーゲームズ」の始動、そしてポータル事業をになうガンホー・モードのサービス強化など、2006年は事業面ではあわただしかった1年。2007年の展開について、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下社長に話を聞いた。

» 2007年01月23日 21時53分 公開
[聞き手:今藤弘一、麻生ちはや,ITmedia]

 2006年のガンホー・オンライン・エンターテイメントは、ポータルサイト「ガンホーゲームズ」の本格的な稼動やサービス強化など事業面での動きはあったものの、本流ともいえるオンラインゲームの部分では新規タイトルが1本もリリースされないという状況であった。今回は同社代表取締役社長の森下一喜氏に、2006年を振り返りつつ、グループ全体がこれから何を目指していくのか、2007年への展望を語ってもらった。


――さっそくですが、2006年を振り返ってみて御社にとってはどんな1年でしたでしょうか。

画像 ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏

森下一喜氏(以下、敬称略) 昨年は、2005年から着手してきた今後さらに企業として飛躍していくための仕込みに専念でき、全体的に良い年だったと思います。元々弊社はオンラインゲームで始まったメーカーではありますが、PC向けオンラインゲームだけでなく、家庭用ゲームやモバイル向けなどプラットフォームを問わず、“オンラインゲーム業界No.1を目指す”という目標へ向けて、着々と準備を進められたという感じです。2006年は次世代ゲーム機の発売、さらに番号ポータビリティという携帯業界最大のキーワードも登場しましたが、今後の成長に大きくプラスになる環境も整ってきました。

 ただ、PC向けオンラインゲーム事業の部分では、まず2006年には新規タイトルを1本も出せませんでしたし、(元)社員によるゲーム内での不正行為という事件も起こしてしまいました。特に後者は、弊社が企業として急成長していく中でいったん立ち止まり、全体を見直すためには良いきっかけとなりました。もちろん事件そのものについては、大変反省しております。

――確かに(元)GMによる不正行為は、顧客であるプレーヤーからの信頼を失う大きな事件でしたが、逆に振り返って点検しなおす良い機会だったととらえていらっしゃるわけですね。

森下 企業が成長していく過程には、さまざまな段階と起伏があり、当然そのフェーズごとに大小問わず多くの課題を抱えています。逆に成長するためにそれらは必要なことだと考えていますし、二度と同じ事件を起こさないためにも、我々にとっては良い教訓となりましたね。

 2006年は核となっているオンラインゲーム事業に加えて、モバイルコンテンツ、さらにはガンホーゲームズ上でのカジュアルゲームなどが本格的に動き始めた年でしたが、それぞれがうまく連携してユーザーを取り込めてているのでしょうか? それともまだ集合体としては完全な連携は取れていない状態なのか、森下さんから見た実感を教えて下さい。

森下 以前はオンラインゲーム、家庭用ゲーム機ソフト、モバイルゲームの開発がそれぞれ完全に独立している状態でしたが、2006年は各事業が連携していくための土台は得られたと思います。もちろん、100%完全な連携とはまだまだ言えませんし、私自身も満足していません。ガンホーとジー・モードによる「エミル・クロニクル・オンライン」(以下、ECO)などパーツレベルでのシナジーはありますが、もっとデバイスを超えて、コンテンツ同士が相乗効果を得られるようにしていきたいです。

 既に「ラグナロクオンライン」や「ECO」などはブロッコリーさんを中心に幅広く展開してきましたので、2007年は家庭用ゲーム機部分を強化していく予定です。

――この数年でPC向けオンラインゲームというのはだいぶ普及してきたわけですが、次世代ゲーム機もネットワーク対応が当たり前になってきました。PC向けオンラインゲームと家庭用ゲーム機向けオンラインゲームの違いについてはどう思われますか。

森下 正直なところ、サーバ上でサービスを提供する上でデバイスは、どれでも変わらないと思います。それにただ単純に、マルチプラットフォームで提供できるコンテンツというだけでは、全く面白くないでしょう? それよりも同じタイトルでも家庭用ゲーム機ならではの楽しみ方、PC向けならではの楽しみ方が全く別に用意されていて、しかもそれがどこかでシンクロしている。そういう楽しみ方があっても良いと思います。そのシンクロさせる方法はWiFiでもいいし、モバイルサービスでも構わないのではないでしょうか。

――確かに、現在サービスされているマルチプラットフォームのRPGにしても、マルチでプレイできると言うだけで、それ以上の仕掛けとしてはいまひとつ新しいものがありません。森下さんご自身は連動という部分ついて、何か具体的なアイディアを温めていらっしゃるんですか?

画像

森下 ゲームはプラットフォームが携帯であれ何であれ、まずは面白いということは一番重要なはずです。無理矢理に相互の連動を取らせる必要はないですよね。たとえば、同じコンテンツがプレイステーション 3とニンテンドーDSの両方で連動していたとしても、そもそもこの2つのハードウェアではどう考えても遊び方そのものが違うはずです。遊び方の違いは生かしてそれを派生させ、最終的にはオンラインの「コミュニティ」というところに落としこめれば、最初にお話した集合体としての完全な連携に持っていけるのではないでしょうか。

 もちろん理想を言えば、シンクロさせることでどこにいても同じものを楽しめるようにしたいですが、この点に関して言えば、将来的には技術的な部分で自然に連動すると思っています。

――その集合体、外周を作るまでにはあとどれぐらいの時間がかかりそうですか。

森下 まだまだ時間はかかるとは思います。今は何よりもユーザーの方が面白いと思えて、感動と楽しい体験ができるものを作ることのほうが先ですね。それは本音を言えば、なにもオンラインである必要すらありません。ただ、オンラインという機能を生かすのは弊社の強みですから、この部分をさらにどう活用していくかが我々が考えなければいけないことです。

――そういったことを踏まえて、2007年度はガンホーにとってどんな年になりそうでしょうか。

森下 2006年に立ち上げた「ガンホーゲームズ」をポータル事業として、本格的に稼動させる年になるでしょう。また、コンテンツ部分では「ECO」に続く自社タイトル、キラーコンテンツを増やしていくことに注力したいです。「ECO」は幸い海外展開も決まり、1月から韓国でクローズドβテストが始まりました(関連記事参照)。従来は逆に海外からコンテンツを取り入れていた立場ですが、今後は国産タイトルを世界に展開させていきたいですね。仕込みは終わりましたので、2007年はかなり積極的に動くつもりです。

――今年は期待できそうですね。

森下 2007年はタイトルラッシュで忙しくなりそうです。ゲームアーツが担当していた家庭用ゲーム機部門は、これまでは小さい動きでしたけれど、次世代ゲーム機がオンライン対応になり始めたことですし、ようやく本腰を入れられそうです。とはいえ、軽はずみに出せばいいというものではありませんから、ビジネスとして成功させつつ、面白いものをリリースいきたいと思っています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/18/news145.jpg “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
  3. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/17/news197.jpg 「巨大なマジンガーZがお出迎え」 “5階建て15億円”のニコラスケイジの新居 “31歳年下の日本人妻”が世界初公開
  5. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  6. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  7. /nl/articles/2412/18/news059.jpg 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開【大谷翔平激動の2024年 「妻の登場」話題呼ぶ】
  8. /nl/articles/2411/25/news189.jpg 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
  9. /nl/articles/2412/18/news056.jpg 日本人ならなぜか読めちゃう“四角形”に脳がバグりそう…… 「なんで読めるん?」と1000万表示
  10. /nl/articles/2412/17/news047.jpg 遊ばなくなった“シルバニアのおうち”を大改造したら…… 娘が喜んだ“すてきなアイデア”に「なんということでしょう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」