“ガンダム”であり“無双”であるギャップを、心から楽しめる大人だけに許された愉悦:「ガンダム無双」レビュー(2/3 ページ)
ここで、×ボタンを組み合わせた攻撃が新たに加わる。ダッシュしたあとに3回まで通常攻撃を加えられる「ダッシュ攻撃」と、通常攻撃→チャージ攻撃の後に発動する体当たり攻撃「ブーストダッシュ」だ。ブーストダッシュからダッシュ攻撃につなげることも可能なので、通常攻撃→チャージ攻撃→ブーストダッシュ→ダッシュ攻撃という、ニュータイプな連続コンボが可能になっている。
つばぜり合いも当然発生する。しかしその他の無双シリーズと違うのは、つばぜり合いののちに飛び退って離れると、両者とも攻撃力が一時的に2倍になる、ということ。ここは駆け引きになる。いきなり懐に飛び込むか? それとも一旦離れて冷静になるか? 耐久度の残量と相談して判断したいところだ。
無双発動は「SP攻撃」といい、ルールづけは無双シリーズと一緒。敵を倒したり攻撃を受けたりすることでゲージがたまり、満タンにしてから○ボタンを押し続けることで、一定時間無敵になるSP攻撃を行なうことができる。モビルスーツのレベルがあがると、SP攻撃の攻撃レベルは3までアップする。耐久力ゲージが赤いときにSP攻撃を発動すると「ハイパーSP攻撃」になるのも、シリーズを継承したルール。特定のパイロットの近くや同時プレイ中のモビルスーツの近くでSP攻撃を出すと、コンビネーションSP攻撃になるのもお約束だ。
ガンダム×無双ならではの演出がいっぱい!!
まず唖然としたのは、ワラワラと寄ってくるザクIIの集団。しかも無双シリーズに登場するザコキャラ独特の動きをしてくる。これをビームサーベルでバッサバッサと切り倒すのが気持ちいい!! あぁ、モビルスーツ1体製造、パイロット1人養成するのにいくらかかると思ってるの……と思いながらも、バッサバッサ。△ボタンを押すとビームライフルを撃てるので、こちらで遠くの敵を倒すのも面白い。
モビルスーツ同士で対戦するゲームといえば、1vs1独特の、剣先の動きひとつに神経を集中するピリピリした戦いを思い出すが、そんな切っ先に触れるような鋭さは一切ない。カマで雑草を刈るごとく、やはりバッサバッサ。将棋の一手を読む戦いではなく、どちらかというとドミノ倒しに近い感覚だ。
宇宙の戦いになれば、戦艦ホワイトベースやサラミス、ムサイなどといった敵も登場する。当然ララァの乗るエルメスだって、100体以上のサイコミュをピュンピュン飛ばしてくる。基本的にムサイなどの戦艦は、フィールド(無双シリーズでいう拠点)を制圧すれば自動的に撃沈したことになる。この大きな敵艦を轟沈させる気持ちよさは他に追随を許さない。この演出は、ガンダム×無双ならではの演出だ。
開発陣も楽しんで作っていたとしか思えない演出を1つとりあげたい。フィールドを制圧すると味方のモビルスーツ(ボールやジム)が登場するのだが、その登場の仕方が非常に良い意味でなおざりだ。上空から突然ボテッと降下してくるのである。しかも大量にボテボテボテッと。このストレートな遊び心に、筆者は痛く感銘をうけた。具体的に言えば、大笑いしてしまった。こうでなくては!
ミッションをクリアしたあとのお楽しみ要素も必見だ。戦っているうちにモビルスーツとパイロットの双方のレベルが徐々にアップしていく。レベルがアップすることでさまざまな恩恵を得ることができるのだが、ここで注目したいのはモビルスーツレベルのほう。実はこれ、モビルスーツの性能がアップしているのではなく、パイロットの乗りこなし術がアップしているという考え方。つまり、モビルスーツは道具であり、道具は強くならないが使いこなし程度は上昇する、という意味なのである。だからアムロのガンダムに対するモビルスーツレベルがどんなに高くても、他のパイロットが初めてガンダムに乗ると、モビルスーツレベルは1からになるのだ。また、パイロットとモビルスーツには相性があり、相性の悪いモビルスーツに乗るとなかなかモビルスーツレベルが上昇しない、という隠しパラメータもある。
そしてミッションクリア時に受け取れる「スキル」と「強化パーツ」。スキルには、「ニュータイプ」、「強化人間」、「ムーンレィス」など、ガンダムを知っている人が見ればニヤリとしてしまうネーミングばかり。これを装備することで、パイロットの能力がアップするようにできている。よく考えられているのは強化パーツの仕組み。原作アニメでも、アムロの父がガンダムに組み込む強化パーツを作ってアムロに渡す、というシーンがあるが、まさにモビルスーツの性能をアップさせるのに役立つ。それぞれ開発技術者ごとに強化パーツの種類が異なり、強化パーツの組み合わせによっては性能上昇ボーナスを得ることも可能。同じパーツや同じ技術者が開発したパーツを複数装備すると、特殊装備になることもあり、これを組み合わせて楽しむだけでも長く遊べそうだ。
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