もはやリメイク(移植)ではなくリニューアル(生まれ変わり)――絵も音も格段に進化した「ファイナルファンタジー」の原点:「ファイナルファンタジー」レビュー(1/2 ページ)
ファイナルファンタジー20周年企画の第1弾としてPSPで「ファイナルファンタジー」が発売された。何度もリメイクされているが、今回はどうやらただのリメイクではないようだ。2D表現はそのままに飛躍的な進化を遂げている「ファイナルファンタジー」をどこでも遊べる時代になったのだ。おめでとう20周年!
祝20周年。そして名作は何度でも蘇る
スクウェア・エニックスが大々的に告知をしているのでご存知の方も多いかとは思うが、今年は「ファイナルファンタジー」(以下、FF)生誕20周年なのである。
ファミリーコンピュータ版(以下、FC版)「FF」は、1987年12月18日にスクウェア(現在のスクウェア・エニックス)から発売された。その後、正統なるナンバリング続編だけでも12作品が出ており、「FF」の名のついた派生作品、番外作品も含めれば関連タイトルの数は相当なものだ。また13作目にあたる「ファイナルファンタジーXIII」もすでに発表はされており、「XIII」と冠せられた複数の作品群による展開が熱い注目を浴びている。
今なお磐石の人気を誇る「FF」シリーズの原点が、20周年企画の第1弾としてPSPでリメイクされた。かつてファミコンで「FF」を遊んでいた小学生も、今はR25(25歳から35歳まで)な世代……。「FF」をリアルタイムで遊んでいた大学生なら40代になっていたりもする。「FF」が発売された年に生まれた人たちもめでたく成人。そんな時の流れを感じつつ、最新鋭の携帯型ゲーム機で、いつでもどこでも「FF」がプレイできてしまうのだ。
ちなみに初代「FF」のリメイクは、今回が初めてではない。MSX2、ワンダースワン、プレイステーションに移植されているし、携帯電話のアプリとしてもDoCoMo、au、ソフトバンクでそれぞれ提供されている。また、「ファイナルファンタジーII」とのカップリング作品である「ファイナルファンタジーI・II」がファミコンで発売され、同じくカップリング作品の「ファイナルファンタジーI・IIアドバンス」がゲームボーイアドバンスで発売されている。
これだけリメイクが繰り返されているというのは、それだけ名作であるという証でもある。おそらく初代からプレイし、何度も「FF」をクリアした人もいるだろう。ぶっちゃけてしまうと筆者も何度か「FF」をプレイしているユーザーの1人だ。ファミコン版をクリアし、ワンダースワン版をクリアし、「ファイナルファンタジーI・IIアドバンス」をクリアし、そして今に至る。ちなみに「ドラゴンクエストIII そして伝説へ」もファミコン版、スーパーファミコン版、ゲームボーイ版と何度もクリアした覚えがある。
名作は何度やっても面白い。忘れた頃にやると味わいが出る。そんな思いを胸に持ちつつも、正直なところ今回のPSP版に関しては「また『FF』リメイクかぁ。20周年ってのは分かるけど、初代はもう何度もクリアしたし、今やケータイでも遊べるご時世だもんなぁ」と若干食指が動かなかったというのは事実。だがしかし! プレイしてみたらそんなネガティブな気持ちはどこかに失せて、普通に楽しく遊んでしまった。やはり何度もリメイクされる作品にはそれだけの力が備わっている。そして今回のPSP版は今までのようなベタ移植ではなく、PSPだからこそできた新生「FF」と言ってよい要素が盛り込まれているのだ。
ジョブシステム、クラスチェンジ……当時から完成されていたFFの魅力
プレーヤーの目的は、光の戦士となって世界を暗黒から救うこと。プレイ開始時から4人パーティーでのスタートとなる。4人が4人ともクリスタルを有する光の戦士で、コーネリア王国でのエピソードから物語が動き出していく。
ゲーム開始時にプレーヤーがすべきことは、4人のジョブを決めることだ。最初に選べるジョブは戦士、シーフ、モンク、赤魔術士、白魔術士、黒魔術士の6つ。それぞれ特徴があり、ジョブにより戦い方が変わってくる。さらに4人のバリエーションとなると、戦士、モンク、白魔術士、黒魔術士というバランスのとれた組み合わせも可能だし、極端な話、全員が黒魔術士などのトリッキーなパーティーを作ることも可能で、実に多様なパーティーを作ることができる。また、ジョブにはそれぞれ上級職があり、戦士はナイトに、シーフは忍者に、というようにクラスチェンジができる。クラスチェンジすればできることが増え、より強力なパーティーへと成長するのだ。
発売された当時は、このジョブシステムやクラスチェンジがRPG黎明期のファミコンにおいて衝撃的だったのを覚えている。「ドラゴンクエストII」登場後なのでパーティー制はユーザーに浸透していたが、サイドビューで自キャラと敵キャラの戦いが見える戦闘画面や、シャカシャカと相手に攻撃して一度に複数回攻撃をヒットさせられるシステムなどは、新しいくて面白い要素としてユーザーに受け入れられた。独特のファンタジックな世界観や天野喜孝氏によるビジュアルイメージも「FF」の人気と方向性を決定付けた一因であろう。
物語はコーネリア王国のセーラ姫を助けるところから始まり、やがて世界全土に点在する土、火、水、風という4つのクリスタルを巡る、壮大な幻想絵巻が紡がれていく。ファミコンの容量の問題もあったかとは思うが、昨今の徹底的に親切ていねいなRPGと比べるとヒントが少なかったり、敵が妙に強くてボコボコに倒されたり、回復手段が少なくて苦労したりと、多少の難易度の高さは否定できない。だが、その少し突き放したくらいのプレイ感がオールドユーザーからすれば懐かしく、新規ユーザーからすれば新鮮に感じられるというのも、何度もリメイクされたゆえんだろう。本作においても、その「FF」の「FF」らしいテイストはしっかりと継承されている。ではどこがどう変わったのか。それについては次項でお伝えしたい。
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