目指すはカジュアルゲームの次世代――横スクロール型の後継者となりえる「ワンダーキング」:「ワンダーキング」インタビュー(1/2 ページ)
「ワンダーキング」のオープンβテストが、5月31日から始まった。今回、CJインターネットジャパン ゲーム事業1部 Yang Junmo氏にインタビューを行い、2回にわたるクローズドβテストを経た手ごたえや、今後のアップデートスケジュールについてなど、さまざまな話を聞いてみた。
コンシューマゲームに劣らぬ魅力的なシナリオと、オンラインゲームのコミュニティ性で、カジュアルゲームの次世代を目指す「ワンダーキング」
CJインターネットジャパンが運営する「ワンダーキング」は、手軽な操作と可愛らしいグラフィックスが魅力の、横スクロール型の2DオンラインRPG。3月22日〜28日に第一次クローズドβテストを実施し、5月21日に第2次クローズドβテストを終了したばかりである。今回、オープンβテストも開始された多忙な中、日本市場での展開や今後のスケジュール、ワンダーキングの魅力などについて、CJインターネットジャパン ゲーム事業部 Junmo Yang氏に話を聞いてみた。
―― 5月21日に第二次クローズドβテストが終了したばかりですけれど、手ごたえはいかがでしたか?
Yang氏 狙い通りの盛り上がり具合で、手ごたえは十分ありました。2次クローズドβについては大変満足しています。
―― 狙い通りというのは、どういった部分についてでしょう?
Yang氏 今回のβテストで育てたキャラクターのレベル帯によって、オープンβテストで「ワンダークリスタル」というアイテムをもらえる、キャンペーンを実施しました。その結果、クローズドβテストが終了する直前までユーザーで賑わってくれたことですね。普通のクローズドβテストの場合、最終日などはほとんど人がいない状態ですが、今回は2時間前までレベル上に励む人が大勢いました。
―― 街やフィールドに活気があると、少し遅れてβテストに参加したユーザーでも楽しく遊べますし、オープンβに向けて友達登録をしたりと、コミュニケーションも取りやすいですね。ところで、第一次クローズドβテストは2007年3月に行われました。それからほぼ2カ月という、少し長いブランクがありましたけれど、致命的なバグの修正が発見といった、何か大きな理由があったのでしょうか。
Yang氏 本来の第二次クローズドβテストは、4月20日を予定していたんです。しかし第一次βテストの時点で、テキストの文字化けとバグが大量に見つかったことと、加えて韓国版のクライアントでも致命的なバグが発見されました。これらすべての修正を行うために韓国の開発側と連絡を取り合い、約1カ月の第二次βテスト延期を決定しました。やはりユーザの皆様には、できるだけ完成したものに触れて欲しいですし。
―― 韓国のクライアントで起きた致命的なバグというのは、どういったものなんでしょう。
Yang氏 ごく稀な条件下ですが、ゲームが途中で止まってしまうという症状が起きます。その確率はゲーム序盤では非常に低いのですが、ミッションを次々受けるにつれてバグが起きる確率が上がってしまうため、問題になっていました。
―― 2回のβテストを通じて、プレーヤーの動向などから日本向けに仕様変更しなければならない、と特に思われた部分はありますか?
Yang氏 βテストを行う以前から、私自身が変えなければと考えていたのはグラフィックスの点、スキル使用時のエフェクトについてですね。日本のユーザーはコンシューマゲームで遊んだ歴史が長いこともあって、細かな部分まで目が肥えています。レベルが上がったら新しいスキルを覚えてすぐ使いたくなるでしょう? しかし、第一次βテストが終了した時点で、ユーザーからの要望には、スキルのエフェクトがしょぼいという手厳しい声も実際ありまして……。クリティカルヒット、カウンター攻撃時の動き、スキルを使って特殊状態になった際のエフェクトなどは、今後も全面的に改善していく予定です。また、限定アイテムやセットアイテムの実装も韓国にはないものです。「挑戦者セット」「ブレイブセット」などを、頑張ったユーザー向けに用意していますよ。
―― 条件を満たしたユーザーは、その努力に見合った特別な報酬がゲーム内でもらえるということですね。
Yang氏 すべてのキャラクターが最初に降り立つ「エルガイル」という村では、レベル30以上に対応したクエストはないのですが、中には既にレベル35になってるキャラクターも存在します。ここまで頑張ってワンダーキングを遊んでくれたユーザーには、何か特典をあげたいなぁと思いました。その他には、コミュニケーションとコミュニティの促進にもっと力を入れていくつもりです。現在は掲示板にパーティメンバー募集の書き込みをして、個別に連絡を取り合うという方法しかありません。これでは時間も手間もかかりすぎて、知らない人と一緒に遊ぶのは難しすぎますよね。キャラクターの頭上に「PT」のアイコンを出して、パーティーを組みたいと示せるようにしたり、ギルドシステムといったコミュニティ部分の強化について、もっと早い時期に実装できるよう、開発スタッフに働きかけているところです。
―― 最近のオンラインゲームで、ギルドシステムが無いのはかえって珍しいぐらいですね。コミュニティが形成されたオンラインゲームは、ユーザーが安定して離れていきにくいと言われますから、ギルドシステムの実装は言いすぎかもしれませんが、これからのタイトルには必須でしょう。
Yang氏 どんなにゲーム自体が楽しくても、ずっとソロプレイが続いたり、人と知り合うのが難しいとユーザーは離れていってしまいますから。ギルドシステムは最初から実装が予定されていたのですが、スケジュールとしてはかなり先に設定されているため、何とか早めようと、開発スタッフをせっついているんですよ。
―― 韓国でも実装予定がかなり先のこと、というのは、韓国ユーザーはパーティを組みやすい環境や、ギルドがなくてもあまり気にしない、ということなんでしょうか。
Yang氏 いえ、韓国のプレーヤーからも要望は出ています。ただ個々のスタッフにはオンラインゲーム開発の経験がありますが、RYU EntertainmentとしてはMMORPGを手がけるのはこれが初めてなんです。そのため何かと遅れがちになってしまう状況でして。
―― しかしお話をうかがっていると、日本ユーザーからの意見は、かなり前向きに取り入れられているようですね?
Yang氏 むしろ日本のユーザーの声が、韓国の開発を引っ張っていると言えるでしょう。ダッシュ移動なども当初の韓国版にはなかった機能でしたが、日本の反応を見て実装されたんですよ。既存の同ジャンルタイトルには無い機能ということもあって、スムーズに受け入れられました。
―― 日本でもカジュアルゲーマーの人気が高い同ジャンルタイトルは、やはり気になる存在ですか。
Yang氏 気になるというより、はっきりとライバルです。日本のオンラインゲーム市場、その中でも特にカジュアルゲームの市場は決して大きくありません。小さなパイをタイトルが食い合っている……という状況でしょう。ワンダーキングも当初は、何かいい逃げ道を考え出して隙間のユーザーを取り込もうと検討していましたが、それではやはり生き残れません。既存の同ジャンルタイトルという最大のライバルに、今は正面から挑もうと考えています。実際、ワンダーキングのテスターのうち、3分の1程度は同ジャンルタイトルのプレーヤーであるという、調査結果も出ているんです。
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