“ためる”ショットが爽快感を倍増させる「スマッシュコートテニス3」レビュー(1/2 ページ)

“リアルさ”が魅力のテニスゲーム、「スマッシュコート プロトーナメント」シリーズ。その最新作がPSPで登場する。果たして、携帯ゲーム機であってもその魅力を感じることはできるのだろうか。最近、テニスにハマりつつある筆者がプレイしてみた。

» 2007年06月21日 00時23分 公開
[網野三平,ITmedia]

きれいに描かれた選手にほれぼれ

 1996年にプレイステーションで発売された「スマッシュコート」は、かわいらしいグラフィックや簡単な操作が特徴で、誰でもテニスの楽しさを体感することができるとあって、一躍人気シリーズとなった。それまであまり目立たなかったテニスゲームというジャンルを定着させた作品である。その後、シンプルな操作性はそのままに、「スマッシュコート」とはうってかわってグラフィックを3Dでより現実のものに近づけ、“リアル”なテニスを追求したのが、「スマッシュコート プロトーナメント」シリーズだ。本作は、そのシリーズ最新作にあたる。

 据え置き機で発売されていたシリーズが携帯ゲーム機で登場する場合、グラフィックをデフォルメ化したり、無理やりデータを詰め込んでしまったばかりに表示が粗くなってしまうことも多いため、正直プレイする前は少し不安を感じていた。だが、その不安はプレイしたらすぐに消え去った。グラフィックはすこぶるきれいで、選手の顔や会場の造りは細部まできめ細かに描かれている。本作には、マリア・シャラポワ選手やマルチナ・ヒンギス選手、ロジャー・フェデラー選手など、実在するトッププレーヤーが16名登場するが、一瞬実写と見間違えてしまうほどに本人そっくりなのだ。超一流のプレーヤーを操作できるとあって、気分はいやがおうにも盛り上がってきます。

ロシアの妖精と呼ばれるシャラポワ。外見のみならず、試合中の仕草もそっくり
1990年代のテニス界を席巻していた、女王ヒンギスも登場。不調のためか、一時期現役を引退していたが、2006年に復帰した。往年のテニスファンにはうれしいポイントだ
試合の舞台となる会場もしっかり描かれている。試合の臨場感もバッチリ

“受け身のテニス”から“攻めのテニスへ”

 不安要素だったグラフィックは想像以上だったが、操作性のほうはどうなのだろうか。まず、トレーニングモードで基本操作を練習してみた。基本操作は、○ボタンでトップスピン(球が速く、バウンド後に高く跳ねる)、×ボタンでスライス(バンド後、左右に跳ねる)、□ボタンでフラット(威力が強く、バウンドしてもあまり跳ねない)、△ボタンでロブ(高い弾道で相手の頭上を越す)という、各球種にボタンが対応しているスタイルだ。難しい操作を必要としないので、これなら初心者でもすぐに慣れるだろう。

 これまでのシリーズと違うのは、ボタンの先行入力ができるようになったこと。相手がボールを打つ瞬間にボタンを押し始め、返ってきたボールが体の近くまできたらボタンを離す、という仕組みだ。ボタンを押した時間が長いほど、威力の強いショットを打てるが、ボタンを離すタイミングが早すぎたり遅すぎたりするとコントロールが悪くなり効果が薄れる。このため、シリーズでおなじみの“ベストなタイミング”でボールを打つという要素は引き継がれている。

ベストタイミングで打てば強烈なショットで打ち返せる。球足が早いので、相手が反応できないこともある

 また、ネット際に近づいたところからボールを打つときは、ボールを押す時間を短めにしないと威力が強すぎてラインアウトしてしまう。ただ闇雲に、威力の強いボールを打てばいいというわけではないのだ。ため具合の調整は必要だが、フルパワーのショットをベストタイミングで打てたときの爽快感は格別だ。ほかのスポーツで例えると、野球ならフルスイングでホームランを打ったとき、サッカーならペナルティエリアラインの外からダイレクトシュート決めたときのの手ごたえに似ているかもしれない。また、別のジャンルのゲームで例えるなら、FPSでヘッドショットを決めて1撃で相手を仕留めたときに似ている、かも……。


高いボールが打ち上げられたときに、コートに表示されているボールマークのエリアに入り込めんでショットを打てばスマッシュが打てる。ボタンは何でもOKだ

 これまでのテニスゲームは、打ち返されたボールに合わせてボタンを押すという、いわば“受け身”のテニスが多かったように思う。だが、本作は先行入力を行えるので、自然と相手の動きを想定してからボタンを押すようになる。たとえば、ベースライン上(サービスを打つライン)にいる相手に対してロブを打ち上げても、相手にスマッシュのチャンスを与えてしまうことになるので、まずはネット際にドロップショットを打とう……いうように、攻撃の組み立てを考えるようになるのだ。

 自分の組み立て通りに攻撃が決まると最高に気持ちがいいが、相手の思い通りに試合が運んでしまったときの悔しさといったら……。自分で試合をやっているような感覚になるので、電車での移動中に遊んでいたにもかかわらず、のめり込んでプレイしてしまい、目的の駅を降りすごしてしまった。

自分の分身で世界に挑め!

 前作で初登場した、オリジナル選手を育成する「プロツアーモード」は、本作でも健在。選手の能力を上げ、世界ランク1位を目指す。オリジナル選手の外見はカスタマイズ可能で、身長や体重、髪型、ウェア、プレイスタイル、フォームなど、項目の数も多く、自分好みの選手を作ることができる。また、髪型やウェアなどは、大会の賞金であるShop Pointで購入可能だ。

身長と体重を調節することで、スタイルのいい選手やとてもテニス選手とは思えない太めの選手を作ることもできる。史上もっとも体重の重い世界王者を目指すのも、面白いかも
ウェアやパンツ、ラケットなどの身につけるもののバリエーションは、スポンサーと契約することで増える。増えたアイテムは、スタイルショップで買える
身につけられるもののなかには、パラメータが上がるものもある。見た目で選ぶか、性能で選ぶか、悩みどころだ

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