犬とともに生きるスローライフ&冒険を提案――「Soundness」発表会

ビジュアル・ファーストは6月27日、犬とともに生活するオンラインゲーム「Soundness」の発表会を催した。そのタイトルどおり、ゲーム内で健全性は保つことができるか? 一般へのサービス開始は7月27日を予定している。

» 2007年06月27日 17時49分 公開
[加藤亘,ITmedia]

犬とのんびり散歩……でも時々モンスターと戦ったりもする?

 ビジュアル・ファーストは6月27日、犬を育成するオンラインゲーム「Soundness」の一般スポンサー向けのβ版サービスを開始した。それに伴い、本作の発表会を行った。ビジュアル・ファーストは会計・流通管理ソフトを中心とした企業向けのソフトウェア開発事業やシステム構築を行なっており、なぜ「Soundness」でオンラインゲーム業界に進出することになったのかが語られた。


 「Soundness」とはドッグショウなどで、犬を審査する時に重要な3要素のひとつとして挙げられる「TYPE」、「BALANCE」、「SOUNDNESS」のひとつで、犬が身体的にも精神的にも健全で、魅力のある歩様、立姿、表情を持っているかを意味している。特に知識がなくても、直感的に理解できるということから命名されている。


ビジュアル・ファースト代表取締役社長・渡部浩氏

 冒頭挨拶に立った代表取締役社長・渡部浩氏自身、十数年来のブリーダーとして活躍しており、ボーダーコリーのブリーダーとして日本一にも輝いている。「Soundness」は渡部氏の“犬とともに生活する”という構想と、ソフトウェアの開発事業で培ったノウハウを生かして生み出された。

 ペット産業はここ数年堅調であり、さらに近年増えつつある主婦層を取り込むべく製作された「Soundness」は、ペット愛好家だけでなくMMORPG未経験者にも受け入れやすいよう設計され、「冒険」、「遊び」、「癒し」を基本コンセプトとして自分だけのパートナー(愛犬)とのスローライフを提案している。

 細部まで描かれた「Soundness」の世界では、風のゆらめきや時間、季節の移ろいを感じることができ、リアルな世界が構築されている。このリアルを追求した1.2キロ×1.2キロの街「プラナスシティ」でプレーヤーは、時に犬と散歩し、時に街をひとりでショッピングを楽しむことができるようになっている。

街の中には時間が流れ、時間によって影が伸びていく。こうした細かい演出がリアル感を醸し出す

 「プラナスシティ」では、ゲーム内アイテムの販売だけでなく、リアルな買い物も可能で、街にある店内の商品は3Dでその商品そのものとして描かれる。6月27日現在ではゲーム内アイテムを販売する2店舗しか存在していないが、随時企業が参入する予定とのこと。そうなると、街のショップには現実世界の商品が陳列棚に並び、家にいながらそれらを確認しながら買い物することができるようになる。

計画されている要素は盛りだくさん

 前述したとおり、「Soundness」では犬との生活の中でのコミュニティ形成や育成をメインとしているが、冒険やイベントも用意される。今後10月を目処にダンジョンでのクエストなどを実装していきたいとのこと。犬とともにダンジョンに入ると、犬が変身。モンスターに颯爽と飛びかかり、立ち向かうなんてこともありえるとか。犬にはレベルが設定されており、普段、ドッグショウやスポーツなどでレベルを上げられるのだが、レベルに合わせたダンジョンなども設定されるとか。

公開されているモンスターのイメージボード。愛犬がこいつと戦う……?

 一見、スローライフと冒険とは相反する要素に思えるが、ビジュアル・ファースト取締役クリエイティブ・ディレクターの良知克己氏は、「すんなり世界観に入っていけるようにバランスを取ることを重要視しています。犬と冒険すると、普段の衣裳から鎧や装備に切り替えることができるようになるのですが、そういう細かい演出や変身する姿などビジュアルにもユーザーが違和感を覚えないようなものにしたいと思っています」とコメント。実際は10月からの実装を予定しているが、どういうシステムになるのかなど詳細はまだ未定のところを多いと説明してくれた。

 オンラインゲーム市場が賑わい、どこもユーザー獲得にやっきになっている現在、本作では新規ユーザーを発掘し、2007年中には10万人、2008年度には50万人、そして2009年度には100万人のユーザー登録数を確保していきたいと意欲を見せる。そのためにはオンラインゲームにある機能はあらゆるものを貪欲に取り込み、さらに業界初といえる取り組みも実装していきたいと渡部氏。

 キャラクターのカスタマイズはもちろん、パートナーとなる愛犬の種類も180種ほどを用意。それぞれの犬にはDNAが設定されており、生まれてくる子犬が両親の特性を引き継ぐようになるとのこと。育成やブリーディングなど愛情いっぱいに育ててもらえれば、その後ドッグショウやハンティング、ダンジョンシステムをはじめ、コミュニケーション部分のチャットやメールシステム、クラブチームシステムなどの充実に努めたいとしている。今後は日本だけでなく、アメリカやイギリス、フランスなど世界各国でのサービス展開を果たした折には、ドッグスポーツ世界大会などもしたいとのこと。

 なお、ゲームの中には「モラル度」というステータスが設けられており、プレーヤーのゲーム内行動によって一定の信用を失うと、累積警告として一切の操作ができなくなってしまうというペナルティが科せられるというユニークなシステムを導入している。ゲーム内のコミュニティの質を一定に保つとともに、リアルな社会性までも持たせてしまうという狙いは、まさに「Soundness」(=健全性)というタイトルそのものといえる。

 ちなみに「Soundness」では、アイテム課金やイベントのほか、広告や件のヴァーチャルショッピングでの収益を見込んでいる。ブランド広告が街の中にさりげなく展開し、リアルな街を再現していきたいと発表会では今後、映像事業展開も示唆。ゆくゆくはゲーム内で映画を放映したいと語る。また、今後はCooTVと提携し、ゲームを通した音声チャットにも対応。直接、出店したものを交渉して値下げしてもらったり、コミュニケーションとして活用できるようにしていきたいとしている。

春には桜が咲いていた

 発表会では今後のアップデートスケジュールも発表された。それによると、7月27日には一般のサービス開始。それに伴い、ダンジョンの追加やフォレスト地区の追加や、夜空および夜の演出が実装されることになる。その後は、9月に紅葉景色および秋の演出が、11月には冬景色や雪の演出が追加される。その間にダンジョン追加やドッグスポーツ、自宅の改装などの機能が追加されていく予定だ。2008年にはアイテムを自由に製作することができるようになり、これを販売できるようになる。

 ショッピングは、リアルマネーでクレジットなどで決算するコマース関連が2007年10月に公開される予定だが、上記のアイテム製作モノに関してはゲームマネーでの取引に限定されるため、RMTなどは禁止されるとのこと。ただし、リアルマネーでの買い物をすると、ゲームマネーに何ポイントか加算されるサービスが考慮されている。本作では、ゆくゆくは不動産なども販売し、ゲーム内の土地を販売。建物も自由に選択できるようにしていきたいとしている。建築が始まると、数日間かけてゆっくり建設されていく様を見ることができ、街が徐々に変わりしていく様を眺めることができるだろうと、渡部氏は大いなる構想を語ってくれた。

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