欧州市場を語ってみた!:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その15)(1/2 ページ)
いよいよ東京ゲームショウも開催! 遅い夏休みを取ってソウルに韓国料理三昧を堪能してたくねくねハニィが送る「欧州市場」。日ごろあんまり馴染みのないヨーロッパの市場だけど、その理由も含めて赤裸々にリポートしちゃうぞ、と!
暑い暑い夏でしたね〜。ハニィが原稿をサボってる間に東京ゲームショウが開催されるし、欧米では年末商戦が始まりますね。そんなこんなでハニィにとってはサンマやマツタケ(あ、これは無理か)の食欲の秋が到来! 食べても食べてもお腹がすいちゃうくねくねハニィの「最近どうよ」第15回目がやってきたじょ。「Wii Sports」ならともかく、「ゼルダの伝説」で筋肉痛になってるのはどうよ? と思いながらも、飲み会が続いてひさびさにやるたびにストーリーが分からなくなっちゃうボケ気味のハニィが、秋の夜長に欧州市場を語るぞ〜。ハニィがあんまりディープに触れないヨーロッパの市場だけど、その理由も含めて赤裸々にリポートしちゃうぞ、と。
お約束のニュースを!
出ました、北米の7月の売上データ。プレイステーション 3(以下、PS3)の値下げ(いや、値下げと言うべきか60GBバージョンの在庫処分と言うべきか)があったからどんな数字になってるか楽しみではあったのだ。ってことで、ハード実績から報告。
WiiがニンテンドーDS(以下、DS)の販売数を初めて上回りました〜。そろそろ在庫不足が解消されたんでしょうかね〜。ハイスペック次世代機を横目に突っ走ってWiiは42万台。プレイステーション 2(以下、PS2)もまだまだイケてる22万1千台! だけど、実はゲームボーイアドバンス(以下、GBA)もすごいよね。7月も単月で8.5万台売り上げております。価格が安いことが一番なんでしょうけど、あわせてソフトが潤沢なことがこの結果を招いているのも事実なのだよね。ハードだけではゲーム機は売れないってことがよく分かりますよね〜。
値下げしたPS3は15万9千台。初めてXbox 360を上回ったかと思われたんだけど、う〜ん、残念。Xbox 360は本体に続きハンドル型コントローラの不具合も発表されて大変なのに、頑張っとる。16.8万台。やはりPS3はソフトタイトル不足でしょう。本体がいかにすばらしくても、そのすばらしいものの上で何をするかってことだから、「Home」も含めたソフトウェア/アプリケーションに期待が持てないと売れませんぜ。PS3は年末のタイトルラインアップが勝負だ!
携帯ゲーム機ではDSが40.4万台、対してPSPが21.3万台。PSPが悪いわけではないけど、DS突っ走ってますね〜。PSP本体は売れているのにソフトが売れていない、と思っていたら、いやいや、そこそこ売れてるんだわ、これが。トップ10に入ってくるようなキラータイトルがないというだけで、ハードの売れ行きと比例してちゃんと売れているのだ! 7月のDS向けのソフトの販売本数トータルは約220万本、対するPSPは110万本強なので、悪くはないのね。DSはキラータイトル満載(その分売れないタイトルも満載……涙)、PSPはそこそこタイトルが満載、ってことなんですわん。ライトを含むマスマーケットはDS、多種多様なユーザー(オタッキーを含む)に向けた多彩なものはPSP――と、きちんと住み分けができてればいいんだけど、パワーのある小売店が「たくさん売れるものだけ買う」って傾向があるので、ちと見え方としてはPSP不利か? 薄型が発売されるので、この数字も見てみないとね。
ESRBからAO(Adult Only)がついてしまい発売できないと言われていたTake2の「Manhunt2」だったけど、修正して再提出したところM(Mature)とレーティングされて、無事年末(10月31日)に発売されることになったの。「GTA5」の延期に伴って年内の売上が立てられないと懸念していたTake2だったからホッとしただろうけど、実は上院議員から「Manhuntのどこを修正してMレーティングになったのか?」と問い詰められているらしいの。これにはTake2もESRBも政治介入を避けてなのかだんまり。ハニィ個人的にはどこが変更されたのか知りたいところですけどね。
6月に発売されたWii向けソフト、カプコンの「Resident Evil 4」(バイオハザード4)なんですけど、発売月に15万本ほど売り上げましたの。サードパーティとしてはほぼ始めてのWiiリモコンを使用するマッシブなアクションゲームってことで、どのくらい売れるか推移を見守っていたわけ。日本では初動で止まってしまったので、北米ではどうなるかなぁと思っていたんだけど、やっぱり日本と違うんですよ、北米市場は。7月も9万本ほど売り上げて着々と売り続けていますね。国土が広いってこともあるけど、じわじわと広がる北米市場と、初動がとりあえず命の日本市場では明確な違いが見られますな。
それでは、今回のお題「欧州市場を語ってみる」です。8月にライプチヒで行われたGames Convention情報も含めてヨーロッパについて語ってみるぞと。
「Games Convention」は日本から遠いのです
8月23日〜26日までドイツのライプチヒで行われた「Games Convention」(GC)。ハニィは遠いからって理由で今年も行っていないくせに語っちゃう! さてGC、ユーザー向けのショーといわれているものの、もちろん商談もあります。でも、やっぱりエンドユーザー向けの色が濃いんですね〜。北米の年末商戦に向けてそろそろマスターも近い時期ってこともあるかもしれないけど、ある程度のプレイアブルが出そろっていたの。パブリッシャーのブースは、E3のように商談のための展示ではなく、プレイしてもらうための空間作りに徹していたみたい。だからといって、去年までのE3のような重低音BGMやコスプレなどの派手な演出に走っているわけではなくて、「遊んでもらう」ことをキーにしたゆったりブースが目立ったようですな。
でも、発表の中で大きなものといえばソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が行ったPS3向けTVチューナーの発表くらいで、これも欧州テリトリ限定の話なので、全世界市場向けのニュースとしてはインパクトに欠けた。もちろん個々のタイトルのアップデートはあったから無意味とまではいかないけど、ゲーム業界として「発表の場」としてみると時期的にも場所的にもやはり的確とはいえなかったみたい。
余談だけど、ハニィは2年前までGCには欠かさず参加していたんだけど、このライプチヒという場所、日本からの直行便がないためフランクフルト経由で行かにゃーなりませぬ。ま、フランクフルトからは1時間くらいなんですけどね。旧東ドイツってこともあって英語が通じんのですわ。むしろロシア語のほうが通じるらしく、大学でロシア語を学んでいたハニィ(実話)にとっては問題なかったんですけどね〜。何しろレストランすらコミュニケーションを取るのが困難で、サラダを頼むのに10分くらいかかりましたぜ……。
という条件の中で、海外から人を呼び込むのはホントに大変だと思われ。しかし、GC側の公式発表によると、入場者は昨年比2000人増の18万5000人とのこと。すばらしいっすね〜。また、出展企業も昨年の374社から大きく増えて503社。ふむふむ、大きくなってることは事実のようですな。来年も期待しましょう。でも、やっぱり欧州向けの発表の場、欧州市場の商談の場、欧州ユーザーのゲームショー感は払拭できないよね。いえいえ、否定しているのではなくて、中途半端なグローバル展示会よりは、欧州をターゲットとしたきちんとしたゲームショーであることは返って好ましいことですよ。
行ってもいないのに行ったつもりで報告してみたけど、欧州市場の業界関係者にとってはECTSがなくなってから宙に浮いていたゲーム業界向けEXPOが、ある程度フィックスしたという意味では相当な意義があるとハニィは評価しているの。
欧州市場のビジネス特性
SCE、任天堂、マイクロソフトはプラットフォーマーとして当然だけど、EAやTHQなどの大手アメリカ系パブリッシャーや、コナミをはじめとする日本の大手も、そしてもちろんUBIやATARIなどジモティのパブリッシャーも欧州においても自社のディストリビューション網を構築しているの。ディストリビューション機能を社内に持たない中堅のソフトメーカーにとっては、競合でもある他のパブリッシャーにディストリビューションをお願いするのか、現地の専門ディストリビュータにお願いするのか、という選択から始まるわけですね。でも、競合他社、つまり、ディストリビュータを兼ねるパブリッシャーにタイトルを預けた場合、そのディストリビュータ兼パブリッシャー自身がパブリッシュするタイトルを優先するがために、預けたタイトルがテキトーに扱われてしまうのでは? と考える中堅パブリッシャーも多いのが現実。
さらに、ディストリビューションもプロモーションも各国ごとなので大変なのですよ。各国別々のディストリビュータと個別に契約するのか、それとも1つのディストリビュータに欧州市場ごと全部丸投げして面倒を見てもらうのかというのも重要なポイントとなる。丸投げできれば社内の各国担当人員はそれほど抱えなくて済むけど、かゆいところに手が届かないので、歯がゆい感覚も覚えるだろうしね。国ごとにディストリビュータの強み、弱みがあるから、別々にディストリビューションを委託するってのもありですわ。でも、取引先が増えるってことは手間がかかるってことだから、それなりの人員も確保しなくてはいけない、ってことにも繋がるのですよ……。プロモーションに関しても対するメディアが各国にあるわけで、ディストリビューションと同じことが言えますね〜。
欧州の多くの国では何かを購入した際に、VAT(Value Added Tax:付加価値税)といわれる税金を課していて、ま、日本で言う消費税なんですが、これがすごく高い。ほぼ20%くらい取られるのだ!! 北米と違って、日本と同じ内税方式で価格を表示しなくてはいけないので、小売価格(SRP:Suggested Retail Price)が39.99ユーロと書いてあったとしても、アメリカの税抜き39.99ドルとはまったく異なるんですわ。従って、実際は小売店の純粋な売上額はVAT20%を引いた約32ユーロ、メーカーからするとさらにディストリビューション費を除いて卸売価格(WSP:Whole Sale Price)が売上額になるのですわ。さらにそこから広告宣伝費、製造コストやプラットフォーマーロイヤルティを除いて粗利益となるわけで……なかなか厳しいんですね。
VAT料率を始め、ディストリビューション費など、国によってすべて異なるので、メーカー側は価格ストラクチャを管理するのがホントに大変。もちろん北米同様にマークダウンやプライスプロテクションもあるし、ましてや各国別々のディストリビュータと契約した場合の事務手続の煩雑さを考えるだけで、大雑把なハニィはクラクラしちゃうわ。
単一市場である日本市場にいるとまったく分からないことだけど、ヨーロッパのメーカーは頑張ってるんだよね〜。ゲーム自体も各国にあわせて多言語化し、売るにあたっても各国対応をして、プロモーションも各国メディアに対して個別対応をしているの。エライ!
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