「テトリス」はもはや、レトロゲームとは呼べないかもしれないゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

» 2007年10月11日 01時12分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

1990年代中盤、意外な形で復活!

 先ほども少し触れたが、1990年代半ば、小さなキーホルダータイプの「テトリス」が人気になった。

 町なかでも電車の中でも、この「テトリス」をプレイする人の姿を、とにかくよく目にしたものだ。

 キーホルダー「テトリス」は、コンビニによく置いてあった。後のデジキューブ社よりひと足早い、“コンビニでのゲームソフト販売”である。

 フィールドが横8×縦12しかないので、ゲームオーバーになるのが早い(コツさえつかめれば、けっこう長く遊べるのかもしれないが)。

 ただ、電車に乗ってたり、人を待ってたりする間の、ちょっとした時間つぶしには、すぐ終わってしまうくらいで、ちょうどいいのかもしれない。

 今、ニンテンドーDSやPSPを同じような状況でプレイする人々が多いので、当時と今の状況は、よく似ているような気がする。

 「普段ゲームにあまりなじみのない人を楽しませる」……ここでも「テトリス」は、その役を見事に果たしたといえるだろう。

 もっとも、キーホルダー「テトリス」を作った多くのメーカーは、正式に販売権を取っていなかった。この問題が表面化して以降、それらのメーカーが販売したものは影を潜め、「テトリスJr.」(ヒロ)など、正式に版権を取得しているものだけが残った。

画像 ヒロが発売していた頃の「テトリスJr.」。60×42×15ミリの小さな本体で、手軽に「テトリス」が楽しめる

 「テトリスJr.」は今でも健在で、玩具店やファミリーレストランなどで販売されている。現在の販売元はエポック社。フィールド上にある点滅したブロックを消すモード、60秒ごとにブロックが1列増えるモードなど、8つのゲームモードがある。

 また、ヒロ時代からあった、爆弾を使って連鎖消しができるモードなどが入った「テトリスJr.2」や、少し広めのフィールドで、3分間に何列消せるか競うモードと、40ラインを消す時間を競うモードがある「3分間テトリス」も引き続き発売中。

 「3分間テトリス」のキャッチフレーズが、「テトリスで脳力トレーニング!」となっているのには、隔世の感がある。

 ちなみに、フジテレビ「ダウンタウンのごっつええ感じ」で、“芸能界テトリス王への道”という企画が行なわれたのもちょうどこの頃。スチャダラパーのANIさんがとにかく強かった。

 1996年は携帯型ゲームの当たり年であり、キーホルダー「テトリス」のほか、「たまごっち」(バンダイ)がブームとなった。また「ポケットモンスター」(任天堂)が発売され、当時かげりもみられたゲームボーイの人気を復活させた。

21世紀、スーパーゲーマーあらわる

 21世紀に入ると、今度は携帯電話用のアプリとして復活。キーホルダーゲームの再現から始まり、携帯電話の画面で見やすいように配慮したシンプルなデザインのものや、キャラクターと組み合わせたもの、現在の国際ルールに対応したものなど、数多くのバージョンが用意されている。

 もちろんアーケードやゲーム機でも、「テトリス」の新作は数多く作られた。一時期ほどのフィーバーはないものの、新しいゲーム機が出るたびに「テトリス」が移植されているというのは、このゲームが一定の人気を保ち続けていることをうかがわせる。

 そして2006年、大きな話題となったのが、ニンテンドーDS用ソフト「テトリスDS」だ。通常の「テトリス」のほか、パズルモードやミッションモードなど、6種類のゲームが楽しめる。わたしは、タッチペンでテトリミノを操作して落とす、「タッチ」モードにすっかりハマってしまった。

 対戦は最大10人まで可能。また、ニンテンドーWi-Fiコネクションを使っての対戦もできる(こちらは4人まで)。

 グラフィックやBGMには、任天堂のファミコンゲームをモチーフにしたものが使われ、これも話題になった。例えばスタンダードモードでは、ゲームスタート時に「スーパーマリオブラザーズ」の画面が表示され、ゲームが進むと次々に、懐かしいゲームの画面が現れる。

 ニンテンドーDSのユーザーには、「普段ゲームにあまりなじみのない人」が多い。「テトリス」はまさに、こういうユーザー層にマッチしたゲームだ。「テトリスDS」はミリオンセラーとなり、「テトリス」の人気が健在であることを、十分すぎるくらいに示した。

 「テトリスDS」といえば、宇多田ヒカルさんがスタンダードモードでカウンターストップ(99999999点)を達成したことでも知られる。

 この年の8月、宇多田さんが「テトリスDS」でユーザー30人と対戦するというイベントが行なわれた(関連記事参照)。いわば百人組み手ならぬ三十人組み手であり、宇多田さんにとってはきつい試合形式かと思われたが、何と宇多田さんはこの三十人組み手を、26勝4敗という好成績で完遂し、その実力を見せつけた。

 “芸能界テトリス王への道”が行なわれた頃、まだ宇多田さんはデビューしていなかった。いつか宇多田さんを入れて、“芸能界テトリス王への道”を復活させてほしいと思う。

 つーか単純に、宇多田さんVSスチャダラANIさんの対戦が見たい。

 今年も、T字型テトリミノの形をした「テトリス」専用ゲーム機「みんなのテトリス」(エポック社)など、新しい「テトリス」が発売されている。こうなるともはや、“レトロゲーム”と言っていいものかどうか迷う。

 シンプルなものは古びないのかもしれない。ゲーム機の性能を最大限使い、凝ったグラフィックやムービーを目一杯盛り込んだ作品は、ゲーム機の性能が上がるにつれて、古臭く見えてしまう。

 その点「テトリス」はそんな心配がない。シンプルだからこそプレイヤーに飽きられることなく、22年もの長きにわたって、生き続けているのだろう。


取り上げてほしいなつかしゲー募集

思い出のあるゲームについて、ゲイムマンと語ってみませんか? あのゲームが好きだったのに今はもう手元にない、けどもう一度見てみたい! とか、俺が好きだったこのゲームを紹介しないなんて許せない! というあなた。是非こちらから、取り上げてほしいゲームをリクエストしてください。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた