2度の挫折を経て「FFXI」にハマりつつある独身男性の物語(その11):ヴァナ・ディールをもう一度(2/2 ページ)
限界突破クエストで起こった修羅場
メインジョブである戦士がレベル60に到達した今、さらなるレベルアップを図るためには「限界突破クエスト」をクリアしなければならない。限界突破クエストとはレベル50以上のジョブに課せられた重要なイベント。全部で5段階まで存在するこれらのクエストをクリアしなければ、経験値を積んでもレベルアップできないのだ。すでに第2段階まで制覇している僕のレベル上限は60まで。第3段階目のクエスト「風の行方は」をクリアーすると、その上限が65まで伸びる。僕自身、限界突破クエストのことなどサッパリ忘れていたのだが、僕のレベルに気づいたLSのメンバーが「限界突破クエスト、まだクリアしてないなら手伝おうか?」と言ってくれたのだ。「ちゃんと見てくれているんだなぁ。こういう些細な心遣いができる人って、きっと実際に会っても良い人なんだろうなぁ……」、などと感慨にふけり返答するのが遅くなってしまったが、願ってもない機会なので好意に甘え、計4人で限界突破クエストをクリアする冒険に出ることにした。
第1、第2段階目の限界突破クエストとは異なり、第3段階目には倒すべき敵が存在しない。獣人拠点のタボイ、ベドー、オズトロヤ城の最深部にある「???」を調べると入手できる紋章を揃えるだけでクリアできる。と言うのはたやすいが、何せこれらエリアの最深部はかなりデンジャーな場所で、知覚遮断魔法の「インビジ」と「スニーク」を見破る獣人も生息しているのだ。周囲には多数の敵も生息しているため、見つかったら大勢に取り囲まれることは間違いないだろう。加えてダボイとベドーの最深部は日の光が当たらない洞窟の奥深くにあり、BGMも流れないので移動するだけでも不安な気持ちで押しつぶされそうになる。
しかし、頼もしいメンバーがサポートしてくれたおかげでダボイとベドーでの目的は意外とすんなり達成することができた。やはり、持つべきものは人とのつながりだ。この調子でオズトロヤ城もあっさりクリアしよう! と最後の関門に向けてメンバー全員が一致団結……した甲斐もなく、僕が招いたミスで波乱が巻き起こるハメになってしまったのだ!
オズトロヤ城の最深部に到着した僕たちは、まずは知覚遮断効果を見破る敵と「???」がある場所を確認し、目的達成のための打ち合わせを行った。打ち合わせどおりに僕は真っ先に「???」の場所へと移動し、あっさりと最後の紋章を手に入れることに成功した……と思った矢先、インビジの効果を切り忘れていたため、アイテムを入手できずにオロオロと焦ってしまう(インビジで姿を消しているあいだは、ターゲットポイントを調べることができないのだ!!)。その隙を見逃さなかった、知覚遮断効果を見破るNM「Yagudo High Priest」が、僕をあざ笑うかのように魔法を唱え始めたのである。
(これはヤバイ!!)
すぐさまインビジの効果を切って紋章を手に入れたのだが、もちろん敵の攻撃は収まることはない。ここから頭がパニックしはじめる。とにかくこの場所から逃げなくてはいけない。
とりあえず場所を移動しつつ紋章を入手したことをメンバーに告げ、どこにいるのか確認しようと思い周囲を見渡したが、全員が姿を消した状態なのでどこにいるのかわからずじまい。それが焦りに拍車をかけ、フィールドの段差につまづいてうまく移動することができずに、HPだけが無情に削り取られていく。焦り過ぎて攻撃を回避する忍術「空蝉の術」を唱えることも忘れてしまっていたのだ。もうだめか……と諦めかけていた瞬間、メンバーの1人が挑発でYagudo High Priestのターゲットを挑発でとり、すぐさま白魔道士のメンバーに対して「テレポ使って!」と叫んだ。その言葉でようやく仲間の居所を確認できた僕は、テレポ詠唱中のメンバーに近づいて今か今かと発動の時を待つ。このテレポの詠唱時間が僕にはものすごく長く感じた……。そして白魔道士の手が神々しく挙がり、テレポが発動して見事にピンチから脱出できたのである。
なぜ、こんな不測の事態に陥ってしまったのかというと、それは完全に僕に責任があった。仕事がら、プレイ中の動画を撮影するためにプレーヤーとNPCの名前表示を消すモードを利用することが多いのだが、それが災いして知覚遮断効果を見破る敵がどれか分からなくなっていたのだ。事前の打ち合わせで「Yagudo High Priestには注意してね」と言われていたのに……。そのすぐ側を余裕で通過していたとは、何ともお粗末な話だ。テレポの移動先に到着すると同時に「ごめんなさい!」と謝罪。リーダーからの返事は
「気にしなくていいよ〜。紋章取れて良かったね! おめでと〜^^」
だった。それとほぼ同時に、ほかの2人も「おめでとう〜!」と祝福してくれた。張り詰めていた緊張の糸が一気に切れた瞬間。この人たちと知り合えて、本当によかった。
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