透き通るかのような青空で、天使とダンスを踊ってきました:「エースコンバット6 解放への戦火」レビュー(1/2 ページ)
戦闘機を操ってドッグファイトを楽しむ「エースコンバット」シリーズ最新作がXbox 360にて登場、どの辺が進化したのかを確かめてきました。
待望のシリーズ最新作が次世代機でついに登場
F-15やF-117など、実在の戦闘機が多数登場するフライトシューティングの「エースコンバット」シリーズ。この手のフライトシューティングについてはその歴史も古く、筆者的には、大本は1990年代前半にアーケードゲームとして登場した「エアーコンバット」シリーズであるような気がしている。当時のアーケードゲームは、家庭用ゲーム機よりも性能が比べものにならないほど高く、自宅では味わえない大迫力のバトルをゲームセンターで楽しんだものだった。ちなみにPC-9800(昔のパソコン)でも同タイトルのフライトシューティングゲームが登場しているが、そちらは全くの別物である。
時は流れてプレイステーションが登場し、家庭用でも本格的に3Dゲームの時代が訪れた1995年。シリーズの初代作品である「エースコンバット」が、プレイステーションにて登場したのだ。以後シリーズを重ね、ついに登場した最新作が「エースコンバット6 解放への戦火」だ。今までは、主にプレイステーション系のハードで登場していたシリーズだが、本作では初めてXbox 360にてリリースされる。
エメリア共和国に平和を取り戻せ!
まずは本作のストーリーを紹介しよう。架空の大陸である「アネア大陸」。この地域には、「エメリア共和国」と「エストバキア連邦」という2つの国家が存在していた。
時をさかのぼること16年前、無数の隕石がアネア大陸を襲った。エメリア共和国は被害が少なかったため、復興の道を歩んだが、エストバキア連邦は壊滅的な被害を被り、内戦状態へと陥ってしまった。時は2015年、エストバキア連邦は軍事政権によって再統一され、平和が訪れたかに見えた。だが、エストバキア連邦は突如としてエメリア共和国を襲撃する。プレーヤーは、エメリア共和国空軍のパイロットとなり、「ガルーダ隊」を指揮してエストバキア連邦に立ち向かうことになる。
本作はこれまでのシリーズ同様、ミッション形式でゲームが進んでいく。各ミッションの前後に挿入されているムービーパートにて、ストーリーを楽しめるという仕組みだ。このムービーパートでは、主人公についてはほとんど触れられず、戦争に巻き込まれた一般人やエストバキア連邦の士官、エメリア共和国の戦車隊など、主人公以外の物語が語られるのが大きな特徴である。単なる主人公のサクセスストーリーではなく、2国間における戦争に巻き込まれた人々による喜怒哀楽の物語が楽しめるというわけだ。
作り込まれた映像に驚愕
本作をプレイして驚いたのは、その映像だ。なんかXbox 360のゲームを遊んでいると、毎回映像に驚いている気もするが、本作は見事に期待以上のクオリティに仕上がっている。特に目を見張るのは、ミッション前後のムービーシーンだろう。主役である戦闘機たちは緻密にモデリングされており、エンジン付近はエンジンの熱によって空気がゆがむ表現まで再現されている。
ゲーム中では、戦闘機のコックピット内部が再現されており、その視点で遊ぶこともできる。ステージ背景は実在の航空写真かと思えるほどのクオリティで、雲の中も飛ぶことができる。このように、細部に至るまで緻密に作り込まれており、大空を飛んでいる感覚をバッチリ体感できるのだ。処理落ちナシで実現しているのも、爽快感に一役買っており、個人的にポイントが高い。技術的に目新しいことはおそらくやってないと思われるが、ムービーシーンのカメラワークなどとにかく見せ方が上手で、このあたりは十分に評価していきたい。
より大規模なバトルが楽しめるようパワーアップ
実際のゲームは、ミッションを順次こなしていくタイプ。ミッション3から、複数のオペレーションで構成される「ダイナミックミッション」システムが登場するのが大きな特徴だ。例えば、敵地上部隊を攻撃することが目的のオペレーションAとB、敵航空部隊のせん滅が目的のオペレーションC、敵の艦船部隊を倒すことが目的のオペレーションDという、4つの作戦が同時に展開されるのである。
各オペレーションは、主人公以外の部隊がそれぞれ遂行しており、主人公はいずれかのオペレーションに協力する、という仕組み。素早く敵を倒さなければ、味方の部隊が倒されて撤退することもある。また、ミッションによっては全てのオペレーションをこなす必要はなく、5つあるオペレーションのうち3つを成功させればOK、という内容もある。
自分以外の多数の機体が戦闘に参加しているため、大規模な戦闘の雰囲気を楽しめるのは非常に良い。数十機が入り乱れて戦う戦闘シーンは、いわゆる「無双系」とはまたひと味違う大軍勢感を楽しめるだろう。本作はミサイルのエフェクトも凝っており、数十発のミサイルが白煙を出しながら入り乱れるその様は、文句なく格好いい。これで敵機を撃墜できた日には、「俺ってサイキョー!」な気分を満喫できることだろう。
また、オペレーション制は、ゲーム的にもメリットがある。どこに参加するかは自由なので、あるオペレーションが難しくてクリアできない場合は、他のオペレーションに参加してミッションをクリアすることもできるのだ。
ちなみに筆者は、大きな敵をちょっとずつ破壊する、というシチュエーションが大好き。そのため、巨大な航空機が登場しまくるミッション9は猛烈に楽しめた。ちょっとネタバレになってしまうが、このミッションでは、長距離の巡航ミサイルを発射する空中母艦のような、巨大な飛行機がターゲットだ。その大きさは、通常の戦闘機の数十倍で、戦闘機の離発着までサポートしているというトンデモ機体なのだ。
この巨大な空飛ぶ要塞に近づき、多数あるエンジンを少しずつ破壊し、これまた多数ある砲台をちょっとずつ壊していく……というのが大変面白く、かつ盛り上がった。敵の攻撃が激しくて何度もやり直すことになったのだが、それでも「次は絶対に倒してみせる!」と思わせるバランスはさすがである。このミッションの場合、その後にどんでん返しが待ち受けているのだが、それでもクリアしたときの達成感は素晴らしかった。
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