レビュー
» 2007年12月05日 12時00分 公開

まず攻めさせろ。受け身に立ってこそ真髄が分かる異色アクション「Heavenly Sword 〜ヘブンリーソード〜」レビュー(1/2 ページ)

圧倒的な数で襲いかかってくる敵軍。迎え撃つは深紅の髪をなびかせた女剣士。いざ豪快無双の活劇が始まる……と思いがちだが、ちょっと待った。ここにあるのは、リアル志向で、それゆえに華麗な一対多数の戦い。遮二無二に攻めまくるだけがアクションではない。

[水野隆志,ITmedia]
画像画像

たくさんの敵に囲まれたら、どうやって戦う?

 1人で多数を相手にした時、もっとも気をつけねばならないことは何だろうか。攻撃の正確さ、スピード、地形の取り方など、いくつかのポイントがあるが、とりあえず注意しておかねばならないのが、体力の消耗である。どんな達人でも疲れてしまえば勝ち目はない。そして多数であるということは、それだけ総合体力において有利なのだ。1人でそれらをすべて倒すなら、数に負けないだけの体力が不可欠となる。従って、自分の動きを最低限にし、疲れが来るのを極力遅くしなければならないのである。

 とすると、どうなるか。もうお分かりだろう。敵に攻めさせるのである。仕掛けさせておいて、それを避けたり、カウンターを喰らわすことで相手を疲弊させていく。パンチ一発、蹴りの一撃を出すのにも体力はいる。それがカウンターなら相手の勢いを利用できるから、はるかに効率がいい。

 この“攻めさせて疲れさせる”という発想はゲームではあまり採用されていない。何よりアクションとは攻めてナンボだし、爽快さの点でも、日頃のストレス発散という意味でも、守勢よりは攻勢に出ることを好むプレーヤーのほうが圧倒的に多いからだろう。リアルな一対多数の戦いは、ゲームとしては忌避されがちなのである。

カウンターへの徹底的なこだわり

 ところが、あえてこのタブーに踏み込んでいるのが、プレイステーション 3ソフト「Heavenly Sword 〜ヘブンリーソード〜」(以下、ヘブンリーソード)だ。オープニングでは炎上する城をバックに膨大な敵とヒロインのチャンバラが描かれる。一見すれば、豪快な一騎当千タイプのアクションを連想するのが当然だろう。だが、そう思ってしまったら、のっけから驚くこと間違いなしだ。何しろ、このゲームの敵はこちらの攻撃をよくガードする。ザコ兵のうちでも下っ端の連中ですら、しっかりと受け止めるくらいだから、ボスクラスになると、ほとんど隙がない。剣戟の音は派手に鳴り響いていても、まったくダメージが通らない。押し寄せる敵をなぎ払うなんてプレイは到底不可能だろう。

 そんなのつまんねぇよ、などという声が聞こえてきそうだが、これが意外に捨てたモンじゃないのだ。力任せに攻めてもラチが開かないなら、どうすればいいか。押してもダメなら引いてみろ、そう、攻めさせればいいのである。このゲームにはガード用のコマンドがない。何も入力しないで立っていれば、無条件で敵の攻撃をガードしてくれるのである。厳密に言えば、赤いオーラをともなった攻撃と飛び道具は不可なのだが、それらの攻撃はあまり喰らわないので、実質的にはガードが保障されているのに等しい。アクションゲーム、特に剣戟を主体にした作品では珍しいシステムだ。

 もちろん、そうなっているのには理由がある。オートガードを採用することで、敵に攻めさせた際のデメリットをなくし、その分、受けに回れるようにしているのだ。しかも、この受け、守備のためのではない。攻撃のためにあるのだ。敵の攻撃させてスキを作り、そこへ反撃を加える。いわゆるカウンターの発想だ。これこそが、「ヘブンリーソード」を貫く大原則なのである。

画像 カウンターを決めると、カットインでシーンが挿入される。このシーンはリアルタイムレンダリングだ
画像 敵のタイプ、間合い、受けた攻撃によって変化する
画像 実在する武術家の動きを正確に再現した本物志向のアクションが展開

カウンターこそ達人の証

画像 敵に囲まれたら、軽く左スティックを叩いて主人公をザコに寄せてみよう。ザコはびびるように後ずさりする。主人公を恐れているのがよく分かる。

 格闘技に詳しい方ならご存知だろうが、カウンターというのは相当な実力差がないと決まらない。実際の試合でも、出会い頭で入ったような偶然の一発を除けば、あまり見る機会がない。せいぜい、ボクシングなどで大差がつき、余裕の出た側が意図的に狙う場合ぐらいだろう。それすら、そう簡単には決まらない。

 つまり、カウンターを重視したアクションというのは、それだけ主人公の強さを際立たせる演出だと言うことができる。一騎当千タイプのアクションでも主人公が圧倒的に強いことは見せられるが、「ヘブンリーソード」は、それとは異なるアプローチで主人公の圧倒的な強さを表現しているのだ。

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