インタビュー
» 2008年01月25日 00時00分 公開

10円が大切だった時代の優しい物語はこうして生まれた「放課後少年」インタビュー(1/5 ページ)

昭和50年代の「昭和町」を舞台としたニンテンドーDSソフト「放課後少年」。どこか懐かしいこのゲームは、柔らかなタッチのイラストともに、人を優しい気分にさせてくれる。今回はこのゲームを作った、プロデューサーの猿田雅之氏と、ディレクターの鴻上謙史氏に、このゲームが生まれた背景について聞いてみた。

[聞き手:今藤弘一,ITmedia]

アニメ、遊び、ゲーム――今につながる何かが生まれたのが昭和50年

――このゲームの企画がスタートしたのは、どのようなところからだったのでしょうか。

画像 コナミデジタルエンタテインメント プロデューサー 猿田雅之氏

猿田雅之氏(以下、敬称略) かなりシンプルな、素朴なゲームを作りたいと思っていたんです。そう考えていたときに、子供のころの遊びはかなりシンプルだったな、と。こうしたイメージをつないで考えていったときに、「放課後を楽しむようなゲームができるのではないか」というところに至りました。

 最初は“放課後シミュレーション”のような形だったんです。学校から帰って、そのあとの出来事を何でもシミュレートできるゲームを作ろうかと。加えて、春夏秋冬、1年を通して遊ぶようなゲームを想定していました。ただそうすると、あまりにも漠然としていて、何でもできるんだけど、何をやっていいのか分からなくなってしまうんです。そこに至ったときに、もう少し時代も狭めて、遊びも集約して、ストーリーも付けて、1つの完結した作品として作れないか、と思ったときに、いまの“放課後アドベンチャー”に落ち着いたわけです。

 「放課後少年」は、これまでゲームを遊んでいたけど、今はほとんどプレイしていないという人に遊んでもらいたいと思っています。わたしも「ゲームウォッチ」や“インベーダーゲーム”にハマって、そのあとファミコンブームが来て……という流れの中で育っていますが、そういう人たちが今ゲームから離れているんじゃないかと。

 ただ、最近はニンテンドーDSをお持ちの方も多くいらっしゃるでしょうから、“何かゲームっぽいものをプレイしたいな”と思ったときに、すっ、と入っていけるゲームは何だろうか、と。そのときには、あまり難しいゲームではなく、かといって知らないゲームでもない――手に取りやすいゲームとして、子供のころの遊びをうまく使えないかと思ったわけです。その流れから、今の形が出来上がりました。

 加えて、ゲームが苦手な方でも、最後まで遊んでいただきたいという思いもありました。ですので日々繰り返すようなゲームだけでは、途中で飽きてしまうのではないかと。そこでドラマというか、ストーリーを付けました。子どもが成長していく話、家族との話というストーリーを紡いでいって、エンディングを見ていただけるような内容になればと。子供のころの遊びが主体ですが、ドラマも楽しんで、最後までプレイしていただけるものになっていると思います。

――“昭和50年”という時代背景を選ばれたのはなぜですか?

猿田 それは、わたしが子供のころの時代だったからですね。ただし設定的には昭和48年〜昭和52年の間を想定しています。このころって実はいろいろな出来事があって、今ブームになっていることも、発祥がその年代にあったりするじゃないですか。例えば、「マジンガーZ」や「ガンダム」に代表されるようなアニメもその時代から注目されるようになっていますし、「宇宙戦艦ヤマト」もそう。こうしたアニメの創生期ですよね。ゲームについても、先ほどの「スペースインベーダー」につながる“エレメカ”的なものが出てきましたし。アップライトのゲーム筐体があって、駄菓子屋に行くとそこに置いてある、みたいな。鮮明に覚えていますよね。それに、遊びの種類が盛りだくさんでした。

画像画像画像

 最近大ヒットした映画で昭和30年代を描いているものもありましたが、あの時代はファンタジーなんですよね。それをていねいに描いているから素晴らしいんです。それを描いているからいいんです。わたしもファンタジーを描きたいと思いましたが、昭和30年代は自分にも分からないので、それを描くのは難しいかなと。かといって、今の時代を描いてしまうとそれはあまりにも普通です。その狭間というか、ちょうど切り替わっている時代が昭和50年前後なのかなと思っていまして。

 自分が好きだった時代というのもありますが、ファンタジーと現代の間の時代、いろいろな物事の発祥となった時代を想定したときに、昭和50年あたりがぴったりなのかなと。何か特別に狙ったわけではないですが、流れを考えていったときに“この時代はおもしろいかな”となったのが経緯ですね。

 鴻上はわたしとは世代がずれていますから、彼にとっては昭和50年代もファンタジーなんですよね。ファンタジーの路線を鴻上に見てもらって、わたしの方は「こういうことがあったよ」というアドバイスをしてきました。

画像 コナミデジタルエンタテインメント ディレクター 鴻上謙史氏

鴻上謙史氏(以下、敬称略) でも、自分にとってもそれほど“遠く”ではないんですよね。ある程度地続きで、何かを感じるところはあったので、さほどファンタジーとは思っていませんでしたが。何となく自分の世代とつながっているところはありますが、どこかに懐かしさもあり、というところでしょうか。

猿田 もっと古い時代でもいいんじゃないかと鴻上とも話してはいたんですが、わたしが全然分からなくて……。

鴻上 ジャッジのしようがない(笑)。

猿田 レトロブームがあったときに、古い時代が描かれることが多かったですが、もう少し地に足の付いた形で、かといってあまりにも身近ではなく、そこに飛び込んでみたくなるような“場所”を考えた時に、昭和48年から始まる時代というのはちょうどよかったんです。

――昭和30年代では、遊びが少ないかもしれませんね。メンコ、ベーゴマなどはありますが、ガチャガチャもなかったでしょうし……。

猿田 そうなんです。ドラマやマンガ、映画もそうでしょうけど、遊びも昭和48年ころから新しくなってきましたね。古いものも残りつつ、新しいものも入ってきたので、遊びが多彩です。

 子どもの遊びを中心にすると先ほど述べましたが、その中でも“駄菓子屋”を中心にしたかったんです。子どものころは必ず駄菓子屋に集まるのが日常でしたから……。駄菓子屋に新しいおもちゃが入ってきて遊ぶという世代だったので。そこを感じてもらえるとうれしいですね。

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2311/06/news020.jpg 柴犬「友達〜!!!」 お母さんの寝坊で散歩が遅れた柴犬、ワン友に会えず……→怒りMAXの拒否柴発動に母「スマン……」
  2. /nl/articles/2311/06/news041.jpg 素潜りでイソマグロを突いたら海に引きずり込まれ…… 水深25メートルの激闘が100万再生「怖い」「磯のダンプカー」
  3. /nl/articles/2311/05/news045.jpg カナダ留学中の光浦靖子、得意の手芸でまたしても力作を生み出す 「クオリティ高すぎ」「もープロですね」
  4. /nl/articles/2308/06/news018.jpg 柴犬がプールからあがろうとした瞬間……! 「何回見ても爆笑」「好きすぎる」コントのようなずっこけハプニングが発生
  5. /nl/articles/2311/06/news047.jpg 隣家にいった飼い主、ふと視線を感じると柴犬たちが……? じーっと監視するワンコきょうだいの圧に爆笑
  6. /nl/articles/2311/06/news117.jpg 「スト6」フランス大会決勝、モニターにペンキで中断 環境団体乱入で
  7. /nl/articles/2311/06/news068.jpg 村重杏奈の“最強遺伝子”な弟、7歳バースデーお祝いに黄色い声 姉とうり二つな姿に「幼さが抜けて更にイケメン」「可愛いしカッコイイ」
  8. /nl/articles/2311/04/news008.jpg 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. /nl/articles/2311/04/news016.jpg 突然現れた痩せて汚れた野良猫、「ごはんくだちゃい」と訴えてきて…… 距離が縮まっていく姿に「涙が出ます」と100万再生
  10. /nl/articles/2311/05/news052.jpg 「ここはあんたが座る席じゃないよ」 末期すい臓がんの叶井俊太郎、優先席に座るも高齢者から非難 妻・倉田真由美が明かす
先週の総合アクセスTOP10
  1. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  2. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  3. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!
  4. 「BreakingDown」出場の元プロボクサー、5人から一方的に暴行される 顔面数針縫うも「私は1発も攻撃してません」
  5. 「頭が大きい」「普通ではない」 パリス・ヒルトン、9カ月長男の受診勧めるコメントにぴしゃり「世の中には病んでる人がいるみたい」
  6. 「最期の最期まで闘って」 元「妄想キャリブレーション」水城夢子さん、27歳で病死 2年前には“しばらく療養が必要な病状”で休止
  7. 3児の母・杏、異次元スタイルのパンツスーツ姿が衝撃的 目を疑う脚の長さに「身長の半分股下」「えっ! 本当!? っと思っちゃうくらい」
  8. 志穂美悦子、68歳バースデーに鍛えられた筋肉バキバキの肉体美披露 「いろいろやりたいことがある」「まだ見ぬ自分へ」
  9. 柴犬と父のやりとりに「20分これ見て爆笑してます」「気持ちよすぎるいい返事」 お笑いコンビを超える関係性が100万再生
  10. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 病名不明で入院の渡邊渚、3カ月ぶりSNS更新で「表情に違和感」「そこまで酷い状況とは」 ベッド上で「人生をやり直すこともできません」
  2. 動かないイモムシを助けて1年後のある日、窓の外がありえない光景に 感動サプライズが「アゲハ蝶の恩返し」と話題
  3. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
  4. 「千鳥」大悟、大物美人俳優にバッグハグされた表情に注目集まる 「マジ照れのお顔ですね」「でれでれやん」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 神田愛花アナ、拡散された女子中学生時代ショットにスタジオ騒然「ヤバい」→“アネゴ感”でSNSもざわつく
  7. 「生きててよかった」 熊谷真実、美麗な初“袋とじ”グラビアで63歳の色気全開 真っ赤なドレス着こなす姿に「すごいプロポーション」
  8. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  9. 双子モデル・吉川ちえ、美容整形後のひたいが“コブダイ”状態へ 多額の費用要した修正手術で後悔も「傷がこんなに残りました…」
  10. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!