10円が大切だった時代の優しい物語はこうして生まれた:「放課後少年」インタビュー(1/5 ページ)
昭和50年代の「昭和町」を舞台としたニンテンドーDSソフト「放課後少年」。どこか懐かしいこのゲームは、柔らかなタッチのイラストともに、人を優しい気分にさせてくれる。今回はこのゲームを作った、プロデューサーの猿田雅之氏と、ディレクターの鴻上謙史氏に、このゲームが生まれた背景について聞いてみた。
アニメ、遊び、ゲーム――今につながる何かが生まれたのが昭和50年
――このゲームの企画がスタートしたのは、どのようなところからだったのでしょうか。
猿田雅之氏(以下、敬称略) かなりシンプルな、素朴なゲームを作りたいと思っていたんです。そう考えていたときに、子供のころの遊びはかなりシンプルだったな、と。こうしたイメージをつないで考えていったときに、「放課後を楽しむようなゲームができるのではないか」というところに至りました。
最初は“放課後シミュレーション”のような形だったんです。学校から帰って、そのあとの出来事を何でもシミュレートできるゲームを作ろうかと。加えて、春夏秋冬、1年を通して遊ぶようなゲームを想定していました。ただそうすると、あまりにも漠然としていて、何でもできるんだけど、何をやっていいのか分からなくなってしまうんです。そこに至ったときに、もう少し時代も狭めて、遊びも集約して、ストーリーも付けて、1つの完結した作品として作れないか、と思ったときに、いまの“放課後アドベンチャー”に落ち着いたわけです。
「放課後少年」は、これまでゲームを遊んでいたけど、今はほとんどプレイしていないという人に遊んでもらいたいと思っています。わたしも「ゲームウォッチ」や“インベーダーゲーム”にハマって、そのあとファミコンブームが来て……という流れの中で育っていますが、そういう人たちが今ゲームから離れているんじゃないかと。
ただ、最近はニンテンドーDSをお持ちの方も多くいらっしゃるでしょうから、“何かゲームっぽいものをプレイしたいな”と思ったときに、すっ、と入っていけるゲームは何だろうか、と。そのときには、あまり難しいゲームではなく、かといって知らないゲームでもない――手に取りやすいゲームとして、子供のころの遊びをうまく使えないかと思ったわけです。その流れから、今の形が出来上がりました。
加えて、ゲームが苦手な方でも、最後まで遊んでいただきたいという思いもありました。ですので日々繰り返すようなゲームだけでは、途中で飽きてしまうのではないかと。そこでドラマというか、ストーリーを付けました。子どもが成長していく話、家族との話というストーリーを紡いでいって、エンディングを見ていただけるような内容になればと。子供のころの遊びが主体ですが、ドラマも楽しんで、最後までプレイしていただけるものになっていると思います。
――“昭和50年”という時代背景を選ばれたのはなぜですか?
猿田 それは、わたしが子供のころの時代だったからですね。ただし設定的には昭和48年〜昭和52年の間を想定しています。このころって実はいろいろな出来事があって、今ブームになっていることも、発祥がその年代にあったりするじゃないですか。例えば、「マジンガーZ」や「ガンダム」に代表されるようなアニメもその時代から注目されるようになっていますし、「宇宙戦艦ヤマト」もそう。こうしたアニメの創生期ですよね。ゲームについても、先ほどの「スペースインベーダー」につながる“エレメカ”的なものが出てきましたし。アップライトのゲーム筐体があって、駄菓子屋に行くとそこに置いてある、みたいな。鮮明に覚えていますよね。それに、遊びの種類が盛りだくさんでした。
最近大ヒットした映画で昭和30年代を描いているものもありましたが、あの時代はファンタジーなんですよね。それをていねいに描いているから素晴らしいんです。それを描いているからいいんです。わたしもファンタジーを描きたいと思いましたが、昭和30年代は自分にも分からないので、それを描くのは難しいかなと。かといって、今の時代を描いてしまうとそれはあまりにも普通です。その狭間というか、ちょうど切り替わっている時代が昭和50年前後なのかなと思っていまして。
自分が好きだった時代というのもありますが、ファンタジーと現代の間の時代、いろいろな物事の発祥となった時代を想定したときに、昭和50年あたりがぴったりなのかなと。何か特別に狙ったわけではないですが、流れを考えていったときに“この時代はおもしろいかな”となったのが経緯ですね。
鴻上はわたしとは世代がずれていますから、彼にとっては昭和50年代もファンタジーなんですよね。ファンタジーの路線を鴻上に見てもらって、わたしの方は「こういうことがあったよ」というアドバイスをしてきました。
鴻上謙史氏(以下、敬称略) でも、自分にとってもそれほど“遠く”ではないんですよね。ある程度地続きで、何かを感じるところはあったので、さほどファンタジーとは思っていませんでしたが。何となく自分の世代とつながっているところはありますが、どこかに懐かしさもあり、というところでしょうか。
猿田 もっと古い時代でもいいんじゃないかと鴻上とも話してはいたんですが、わたしが全然分からなくて……。
鴻上 ジャッジのしようがない(笑)。
猿田 レトロブームがあったときに、古い時代が描かれることが多かったですが、もう少し地に足の付いた形で、かといってあまりにも身近ではなく、そこに飛び込んでみたくなるような“場所”を考えた時に、昭和48年から始まる時代というのはちょうどよかったんです。
――昭和30年代では、遊びが少ないかもしれませんね。メンコ、ベーゴマなどはありますが、ガチャガチャもなかったでしょうし……。
猿田 そうなんです。ドラマやマンガ、映画もそうでしょうけど、遊びも昭和48年ころから新しくなってきましたね。古いものも残りつつ、新しいものも入ってきたので、遊びが多彩です。
子どもの遊びを中心にすると先ほど述べましたが、その中でも“駄菓子屋”を中心にしたかったんです。子どものころは必ず駄菓子屋に集まるのが日常でしたから……。駄菓子屋に新しいおもちゃが入ってきて遊ぶという世代だったので。そこを感じてもらえるとうれしいですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
-
「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
-
「ほ、本人……?」 日本に“寒い国”から飛行機到着→降りてきた“超人気者”に「そんなことあるw?」「衝撃の移動手段」の声
-
才賀紀左衛門、娘とのディズニーシー訪問に“見知らぬ女性の影” 同伴シーンに「家族を大切にしてくれない人とは仲良くできない」
-
【今日の難読漢字】「誰何」←何と読む?
-
「今やらないと春に大後悔します」 凶悪な雑草“チガヤ”の大繁殖を阻止する、知らないと困る対策法に注目が集まる
-
武豊騎手が2024年に「武豊駅に来た」→実は35年前「歴史に残る」“意外な繋がり”が…… 街を訪問し懐古
-
大谷翔平、“有名日本人シェフ”とのショット 上目遣いの愛犬デコピンも…… 「びっくりした!!」「嬉しすぎる」
-
ハローマックのガチャに挑戦! →“とんでもない偏り”に同情の声 「かわいそう」「人の心とかないんか」
-
古着屋で“インパクト大”なブランケットをリメイクすると…… 劇的な仕上がりに386万再生「これはいいね、欲しい!」【海外】
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」