インタビュー
» 2008年03月06日 14時19分 公開

ディズニー史上「もっともアリエナイ魔法」とは!? ――「魔法にかけられて」ケヴィン・リマ監督インタビュー

3月14日より公開となる、ディズニーの最新劇場作品「魔法にかけられて」がニンテンドーDSで発売される。映画監督のリマ氏は“あること”にとても不満があるというが?

[池谷勇人,ITmedia]

 3月14日(金)よりいよいよ公開となる、ディズニーの最新劇場作品「魔法にかけられて」。本作は、“おとぎの国”アンダレージアに住むプリンセス・ジゼルの、波瀾万丈の大冒険を描いたファンタジー映画。憧れの王子様との結婚式当日、ジゼルは意地悪な女王の魔法によって、ある「恐ろしい世界」へと送り込まれてしまう。そこはなんと、すべてが“おとぎの国”とは正反対の街――現代のニューヨークだった!!

 実写とアニメーションを巧みに織り交ぜながら描かれていく「おとぎの国」と「現実」とのギャップ。純粋無垢で、どこでもすぐに歌い出してしまうジゼルの“奇行”に苦笑しながらも、ふとした瞬間に「ホントにおかしいのはどっちなんだろう」と考えさせられる。随所に散りばめられた、過去のディズニー作品へのオマージュも楽しく、大人から子供まで一緒になってドキドキ、ワクワクできる、春休みにぴったりの作品だ。

 今回は映画の公開と、さらに3月13日(木)にディズニー・インタラクティブ・スタジオより発売となるニンテンドーDS用ソフト「魔法にかけられて」のリリースを記念して、本作品の監督を務めたケヴィン・リマ氏にお話をうかがうことができた。インタビュー前には「ゲームは苦手なんだ(笑)」と苦笑していたケヴィン氏だったが――。

ゲームは映画を「拡張・発展」させてくれるモノ

監督を務めたケヴィン・リマ氏

―― 本日はよろしくおねがいいたします。

リマ氏 娘がDSを持っているので、それを思い出してがんばるよ(笑)

―― まず、映画を作る側として、ゲームを作る際に「こうしてほしい」という希望や、また逆に「こうはしてほしくない」というこだわりはありますか?

リマ氏 大切なのは、キャラクターが忠実に描かれているということ。例えば映画の中でキャラクターがこういう反応をした。そうしたら、ゲームの中でもそこはやっぱり同じような反応をしてほしい。ゲームが映画の世界をさらに広げてくれる分には構わないけれど、大事なのはその世界観が一致しているということ。私としては、それさえ守ってもらえれば満足ですね。

―― 今回、ゲームを作るにあたって、監督はどの程度関わったのでしょうか。

リマ氏 開発側と個別に3度ほど打ち合わせをしたくらいですね。その際、映画と世界観が異なる部分があったら、修正するよう口を挟んだり。

ゲームではジゼル、エドワード、リスのピップをプレイヤーが操作する

―― DS版を遊んでみた感想はどうでしたか?

リマ氏 ええと、実は私があまりにもヘタなので、まだあまり先には進めていなくて……。序盤のピップ(ジゼルの友達のシマリス)のステージまでは簡単だったんだけど、なにせひどいビデオゲーム音痴なので(笑)。ただ私の8才の娘はこのゲームを大変に気に入っていて、その意味ではすばらしい作品だと思いましたね。

―― ゲームの話ばかりで恐縮ですが、このゲームを手に取った日本の子供たちに、例えばどんなところを、どのように楽しんでもらいたいですか?

リマ氏 ゲームというのは映画の世界を「拡張・発展」させてくれるものだと私は捉えているんです。例えば、映画での体験がすごく楽しいものだったから、その世界をもっと継続して楽しんでいたい――そういう所にゲームの役割がある。だからゲームを通じて、映画の新たな要素を体験してもらう。そんな遊び方をしてもらえたらうれしいですね。

―― もしゲームを遊ぶとしたら、映画を「観る前」と「観た後」どっちがオススメでしょうか。

リマ氏 もちろん私は監督ですから、先に映画を体験してほしいですね(笑)。まずキャラクターについて理解を深めてもらったうえでプレイした方が、きっと映画の場面を思い出したりしながら楽しく遊べるんじゃないかな。

―― ちなみに映画の中では、ピップの声は監督自身が担当されていますが、ゲームの方でもやはり監督の声が使われているんでしょうか。

リマ氏 ノー! ゲームの方では私の声は使われていないんですよ。私はそれが不満で、それについては後でメーカーに問い合わせてみるつもりです(笑)。そもそも最初にゲーム化の話を聞いた時、私は「ピップを主人公にしたゲームを作るべきだ」って提案したんですが(笑)。

目指したのは「ディズニーへのラブレター」

―― 今まで遊んだゲームの中で、特に印象的なものはありましたか?

リマ氏 ええと、こういうと私がディズニーの広告塔みたいに思われそうなんですが、娘が持っている「ディズニープリンセス 魔法のジュエル」というゲーム。あれなら私でもできてよかったですね。あとは私が「ターザン」という映画を手がけていた時、ちょっとした空き時間などに遊んでいた「スパイロ ザ ドラゴン」。って、なんだかお子様向けのゲームばかりですが(笑)。

―― 今回の映画は、アニメーションと実写という2つの手法を使って描かれていますが、相反する二つの世界を組み合わせるにあたって、面白かったことや、逆に苦労したことはありますか?

リマ氏 まず楽しかったのは、ディズニー作品を象徴するようなキャラクターを、いかに現実の世界に翻訳していくかというところ。「生身の人間」という状態で、どうやったらディズニーらしさを伝えられるか。役者さんともいろいろ相談しながら、それを決めていくのは面白かったですね。

 逆に難しかったのは、作品のトーンを決めること。愛のあるパロディをやろう、ディズニー作品に対するラブレターのような作品にしよう、という思いは最初からあった。でもどうしたらそれを達成できるのか、このあたりは苦労しましたね。それが特にうまくいったのが「Happy Working Song」のシーン。ここはいわゆる古典的なディズニー作品へのオマージュでありつつも、さらにもうひとひねり加えた笑いを描けたと思っています。

―― 映画の中では、ロバートは自分の娘に「絵本や小説なんてくだらない」と教えていましたが、監督自身は、娘さんにゲームを持たせるということについてどう考えていますか?

リマ氏 もちろんある程度制限は設けるけれど、何事も適度にやっている分には問題ないんじゃないかな。例えばもし娘があまりにもDSに夢中になってしまって、夕食も食べないで遊んでばかりいる――なんてことになってしまったら、その時はまた厳しく制限しなければならないと思うけれど(笑)。

―― 最後に、作品のなかでリマ監督が好きなキャラクターは?

リマ氏 うーん、まるで自分の子供の中で誰が一番好きか聞かれているみたいで難しいけど、強いて言えばジゼルかな。男の私が言うと妙に思われるかもしれないけれど、やっぱり彼女の純真さであったり、新しい世界に対して積極的に学ぼうとする姿勢、そして物語が進むにつれて人間的に丸みを帯びていくあたりは、非常に魅力的というか、親しみをおぼえますね。

―― 本日はどうもありがとうございました。

夢を忘れた大人にこそ観てもらいたい作品

 インタビュー中も、常に笑顔やジョークを絶やさず、記者たちを楽しませてくれたリマ氏。作品どおりの明るく、ユニークな人柄は、まさに「この作品にしてこの監督あり」という印象だった。

 ディズニー作品というと、どうしても子供向けの印象があるが、この作品にかぎって言えば、個人的にはむしろ、かつて「白雪姫」や「シンデレラ」、筆者の世代だと「美女と野獣」とか「リトル・マーメイド」といった作品を見て育った大人の方が、この映画については楽しめるのではないかと感じた。かつて憧れ、夢見た「おとぎの国」のプリンセスが、まったく正反対の世界とも言える「現代のニューヨーク」を舞台にどんな奇跡を起こしてくれるのか? それは、映画を観てのお楽しみ。映画公開に先駆けて発売となるニンテンドーDS版と併せて、ぜひ親子で一緒に楽しんでほしい作品だ。

「魔法にかけられて」
対応機種ニンテンドーDS
ジャンルファンタジー・アクションアドベンチャー
発売予定日2008年3月13日
価格(税込)5040円
※映画「魔法にかけられて」は、3月8日(土)、9日(日)先行ロードショー。3月14日(金)より全国公開となる。
(C)Disney.
(C) Disney Enterprises, Inc 

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