今度の舞台は江戸時代!――極道から剣豪へと大きく変わった最新作が登場:「龍が如く 見参!」レビュー(1/3 ページ)
いまだに映画やオリジナルビデオで、不動の人気を誇る任侠モノ。その任侠の世界をどっぷりと楽しめるのが、ご存じ「龍が如く」シリーズだ。が、その最新作は任侠の世界から離れ、なにやら剣豪を題材にしたモノに生まれ変わったという。時代劇風になった「龍が如く」はいったいどんなゲームになったのか、さっそく遊んでみました。
江戸時代で漢(おとこ)の浪漫を爆発させろ!
セガから登場した「龍が如く」シリーズをご存じだろうか。舞台は新宿、そして主人公は極道という異色の設定ながら、濃い人間ドラマを描いた傑作である。街並みを自由に移動できて、イスや机を武器にできる自由度の高さや、キャバクラ経営をはじめとする多彩なミニゲームが楽しめるなど、セガらしい要素がタップリ詰まっていたことにも注目したい。
そんな「龍が如く」シリーズの最新作が、このたびプレイステーション 3で登場した。過去2作の“現代の日本”から、“江戸時代の日本”と舞台を変えたこの最新作、果たして今度はどのような人間ドラマを楽しめるのであろうか。というわけで、はやる気持ちを抑えずにサクッと始めてみました。
ていねいに作られた祗園の町並みに注目!
主人公は、シリーズの主役である桐生一馬をそのまま時代劇に持ってきたような、桐生一馬之介という男。舞台は、正確には戦国時代から江戸時代への過渡期にあたる時代の祗園で、桐生は龍屋というフリーの掛廻(用心棒やツケの集金などをする腕っ節の強い男衆のこと)という設定だ。腕っ節が強いらしく、祗園界隈では名の知れた猛者かつ遊び人のようである。こうした状況と設定を紹介しつつ、怒涛のようにムービーが続く。
初見の感想は、やっぱり映像面に目がいってしまう。人物(主に服)のモデリングにやや違和感を感じるが、肌の質感などは、さすがの一言だ。顔のつくりは個人的に好みのタイプではないのだが、慣れれば問題なし。特に男の顔は、実在の人物をモデルにしたようなものが多く、いい意味で異常に力が入っていて好感が持てる。美男子ばっかりが男じゃないよね!
そんな場面で登場するのが、いわくのありそうな伊東さん。彼を見た瞬間、「あれっ?」と何やら既視感が。どっかで見た顔だなぁ……ってこれ、アフレコを担当した俳優の寺島進本人の顔じゃあーりませんか! これはちょっとしたサプライズ。
寺島進は、前作「龍が如く2」の瓦次郎役に続いてのシリーズ参加であり、“頼れるワル風兄貴”といった雰囲気の伊東は、ハマリ役な感じだ。これまではオリジナルのフェイスを使ったモデリングばかりだったので、PS3の表現力を強調する意味でも、このキャスティング&モデリングは成功ではないだろうか。
そんなこんなでムービーが一段落つくと、伊東さんからツケ回収の依頼を頼まれ、チュートリアル的に祗園の中を動き回ることになる。これまでのシリーズでは、新宿っぽい街が非常にていねいに再現されており、そこが評価のポイントのひとつだったと個人的には思っているのだが、今度の舞台は時代劇。実際に見たことがない空間のため(当たり前ですな)、当時を忠実に再現しているのかどうかは判断できないが、建材などの質感、日本らしいせま苦しい家の並びなどは、かなり“それっぽく”できていて感心した。筆者がイメージしていた江戸時代の風景、そのままの世界が眼前に広がっていたのである。
この町並みの作り込みは、町を歩き回れるアクションアドベンチャーの中でも、かなりレベルが高いと思う。ただし、自由度という点では、似たようなコンセプトである「GTA」の破天荒さや、「アサシンクリード」の立体的な行動を楽しめるレベルデザインとは異なる。文字通り人を押しのけて路地を練り歩くことはできるが、いきなり町の人を叩きのめしたり、塀をよじのぼってショートカットしたり、という行動は取れないのだ。これらのタイトルとは方向性が違うゲームだと思っておこう。なお、移動スピードはかなり軽快で、入り組んだ祗園の町を不自由なく動き回れる点は評価したい。
さて、見物を兼ねつつ集金のために祗園をウロウロし、なんだかんだでツケの集金も佳境に。仕事の1つに、神社でサボっている丁稚から集金するという内容のモノがあるのだが、ここでお約束のように丁稚がゴロツキに絡まれている。というわけで、お待ちかねの戦闘開始だ。時代劇の王道ですよねー。
ここから怒濤の剣豪アクション! ……になるかと思いきや、祗園の掛廻は帯剣しないという暗黙の了解があるため、最初はステゴロ喧嘩ファイトの練習だ。ううむ、早く剣を使いたいのにッ!
戦闘システム自体は、敵と相対した場所が、そのままバトルゾーンに切り替わるという、エンカウント形式に似たノリのもの。前2作とほぼ同様のため、過去シリーズを体験済みの人ならば、違和感なく操作できるはず。
ただし、この戦闘に限って言えば、チュートリアルの内容を兼ねているため、同じことを何度もやらされて正直テンポが悪い。また、ひょいひょいっと走り回っていいポジションにつき、カカッと殴る蹴る……という戦闘の基本戦術は、ちょっと「重さ」に欠けるように感じた。
ちなみに本作の戦闘は、その大半が多対一で戦うことになる。ちょっと調子に乗ってパンチ連打をしていると、大技を繰り出したスキに他の敵から攻撃され、倒れるまでの間中ずっとフルボッコにされるのも、チャンバラのお約束違反な感じ。こまめに相手をダウン、または大きく距離をとらせる攻撃をしかけ、数的に不利な状況を作らないというセオリーをマスターするまでは、ちょっとストレスがたまるかもしれない。
戦闘のポイントとしては、通常攻撃以外に多彩な技も繰り出せることだ。文字通り、一撃で相手を倒す必殺技になったヒートアクション(気力をためると特定条件で発動可能になる)や、“つかみ”“投げ”“追い討ち”といった多彩な技を使いこなせるようになると、戦闘の爽快感はグッと増すことだろう。ただし、FPSライクなTPSに慣れている人には、自動的に追従してこないカメラの動きにも苦戦しそうだ。
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