レビュー
» 2008年03月26日 00時00分 公開

ペンで空間を切り取り、過去を修正せよ!――DSで楽しめる本格SFアドベンチャー「タイムホロウ−奪われた過去を求めて−」レビュー(1/2 ページ)

「あのときあんなことしなかったら今頃どうなってたかな」「あのときの失敗で人生変わっちまったな」そんな過去をお持ちの方も少なからずいるんではないでしょうか。そんな忌まわしい過去を今の自分が修正することができたら……。というわけで、タッチペンで過去を直していく、不思議なSFアドベンチャーの登場です。

[仗桐安,ITmedia]

新機軸の“過去修正アドベンチャー”が登場

 KONAMIのニンテンドーDS用ソフト「タイムホロウ 奪われた過去を求めて」は、タッチペン操作を駆使したアドベンチャーゲームだ。続編やスピンオフ作品ではなく、まったくの新作で、ニンテンドーDSのインタフェースをしっかり生かした内容になっている。

 アドベンチャーゲームは、キャラクターやシステムも大事だが、“物語を追う”という要素の比重が大きいジャンル。というわけで、キャラ同士のセリフのやりとりや、シナリオの構成、展開は非常に重要な要素だ。

 本作のシナリオ監修には小説「推理小説」(ドラマ「アンフェア」の原作)や、ドラマ「天体観測」、「ドラゴン桜」などの脚本で知られる秦建日子(はたたけひこ)さんが起用されている。また、ディレクターは「幻想水滸伝」「シャドウオブメモリーズ」「Rhapsodia」など数々のRPGやアドベンチャーを手がけてきた河野純子さんだ。本作は、熟練のクリエイターがタッグを組んで世に送り出す本格アドベンチャーゲームなのである。

 しかも本作はただの“アドベンチャー”ではない。パッケージに銘打たれた正式なジャンル名は“過去修正アドベンチャー”……。過去を修正するってどういうことだ? と気になった人もいるだろう。単なる犯人探しのミステリーでもなければ、恐怖を体感させるホラーでもない、過去を修正することで事件を解決していく新感覚のSFアドベンチャー、それが「タイムホロウ 奪われた過去を求めて」なのだ。

謎に満ちたストーリーと12人プラスアルファのキャラクターたち

 本作の主人公は、高校生・時尾歩郎(ときおほろう)だ。

 17歳の誕生日の前日に父に「明日は大事な話がある」と告げられた歩郎は、その夜に“子供時代の自分が、焼け落ちる家屋の中で両親とはぐれる”という夢を見てしまう。夢から覚めた歩郎は、飼い猫のフォ郎から謎のホロウペンを受け取る。そして気がつくと、両親が12年前に失踪した世界に変わってしまっていた……。

 という導入から物語は展開していく。ホロウペンを手に入れた歩郎は、時折過去の映像が頭にフラッシュバックする能力を持つようになる。自分が実際に見ていない光景も含まれているので、最初はどこで起きた何の光景なのかハッキリしない場合が多い。しかし町の中を探索し情報を集め、フラッシュバックの場所や時間が確定すると、その光景に対してホロウペンで介在することができるようになるのだ。

画像画像 ホロウペンを手にしたことで歩郎の運命が大きく動き出す

 例えば、今はがらんとしている自転車置き場。その過去の光景、自転車があったはずの場所に対してホロウペンで穴をあけ、過去あったはずの自転車に影響を与えて、穴を閉じる。この行動によって現在の歩郎の周りの人々にも影響が現われ、過去の修正が現在を変える、というわけだ。

画像 一見普通の自転車置き場だが、過去にここで起きたことを変えることで、誰かを救うこともできる。それがホロウペンの能力だ

 過去に戻って現在を変える、という内容のSFモノは、映画やマンガにおいて数多く存在する。たいていはタイムマシンや時を戻る能力を使うもので、タイトルそのまま「タイムマシン」という映画や、有名なところだと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「時をかける少女」など、枚挙にいとまがない。タイムスリップをして過去に影響を与える、ということは、影響がなかったはずの過去と影響を与えられてしまった過去の2つが存在することになり、タイムパラドックスやパラレルワールドなどのSF理論が展開することになる。

 本作でもそのあたりのSF理論はしっかりと踏まえている。過去を修正したからと言って必ずしもいい結果ばかりが訪れるわけでもないし、過去を変えたことによって新たに事件が起きたり、いたはずの人が消えたり、消えたはずの人が現われたりと、SF的に納得のいく範囲でとんでもないことが起きてしまう展開が面白い。加えて、従来の“過去に戻る”タイプのタイムスリップではなく、ペンで穴をあけて“過去を少しだけいじる”という点もユニークだ。タッチペンでの操作との相性もよく、秀逸なアイデアだと言えよう。

 本作の世界を支える魅力は、そのキャラクターたちにもある。ホロウペンで周りの人を助けるためにがんばる主人公・歩郎もいいが、脇役たちもなかなか面白いキャラが揃っている。歩郎のおじさんにあたる時尾保は過去が変わるたびに違った顔を見せてくれるし、歩郎に会うたびに変なクイズを出してくる二宮先生もいいキャラをしている。歩郎の友人、三原、四堂、五島も、物語の展開に沿ってその関係性が変わったりするが、基本的に陽気で楽しい3人組だ。その他、喫茶「黒の巣」のウェイトレス八木さんや図書館員の十倉さんなど個性的な面々が物語に華を添える。歩郎のベッドの上でごろごろしている愛猫・フォ郎(プレイが進行すると、歩郎をまさにフォローしてくれたりする)もいい味を出している。


画像画像画像 情報集めに協力してくれる友人たちは頼もしい存在だ

画像 序盤でいなくなってしまうお父さんとお母さん……。いつか再会できますように!
画像画像 三原の妹・和織ちゃんと、その友人・九里ちゃんも物語に絡んでくる

画像 本作で重要な役割を担う十二林かのん。謎めいた少女だ

 そして本作のキーパーソンとなるのが、歩郎のクラスメート、十二林かのんだ。かのんは、本作におけるヒロイン的な存在。いつのまにかクラスにいたかのんは、なぜか歩郎しか知らないはずのホロウペンの能力について知っているようだ。時に歩郎に助言し、時に歩郎とともに行動するかのん。その正体が明らかになる頃には、プレイヤーは物語の核心に迫っているだろう。

 ここまで読んで察しのいい人は気づいただろうが、多くのキャラの名字に数字があてられているのが本作の特徴だ。数字は1から12まであり、時間を操るホロウペンの能力と“12”という時間に関連した数字がリンクしているものと思われる。この12人プラスアルファの登場人物たちの運命をにぎるのが、歩郎の持つホロウペンなのだ。

画像画像 要所要所で差し挟まれるアニメーションがよくできている。感情移入度も大幅にアップするというものだ
画像 各キャラのセリフのかけあいも読んでいて楽しい
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2311/06/news020.jpg 柴犬「友達〜!!!」 お母さんの寝坊で散歩が遅れた柴犬、ワン友に会えず……→怒りMAXの拒否柴発動に母「スマン……」
  2. /nl/articles/2311/06/news041.jpg 素潜りでイソマグロを突いたら海に引きずり込まれ…… 水深25メートルの激闘が100万再生「怖い」「磯のダンプカー」
  3. /nl/articles/2311/05/news045.jpg カナダ留学中の光浦靖子、得意の手芸でまたしても力作を生み出す 「クオリティ高すぎ」「もープロですね」
  4. /nl/articles/2308/06/news018.jpg 柴犬がプールからあがろうとした瞬間……! 「何回見ても爆笑」「好きすぎる」コントのようなずっこけハプニングが発生
  5. /nl/articles/2311/06/news047.jpg 隣家にいった飼い主、ふと視線を感じると柴犬たちが……? じーっと監視するワンコきょうだいの圧に爆笑
  6. /nl/articles/2311/06/news117.jpg 「スト6」フランス大会決勝、モニターにペンキで中断 環境団体乱入で
  7. /nl/articles/2311/06/news068.jpg 村重杏奈の“最強遺伝子”な弟、7歳バースデーお祝いに黄色い声 姉とうり二つな姿に「幼さが抜けて更にイケメン」「可愛いしカッコイイ」
  8. /nl/articles/2311/04/news008.jpg 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. /nl/articles/2311/04/news016.jpg 突然現れた痩せて汚れた野良猫、「ごはんくだちゃい」と訴えてきて…… 距離が縮まっていく姿に「涙が出ます」と100万再生
  10. /nl/articles/2311/05/news052.jpg 「ここはあんたが座る席じゃないよ」 末期すい臓がんの叶井俊太郎、優先席に座るも高齢者から非難 妻・倉田真由美が明かす
先週の総合アクセスTOP10
  1. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  2. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  3. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!
  4. 「BreakingDown」出場の元プロボクサー、5人から一方的に暴行される 顔面数針縫うも「私は1発も攻撃してません」
  5. 「頭が大きい」「普通ではない」 パリス・ヒルトン、9カ月長男の受診勧めるコメントにぴしゃり「世の中には病んでる人がいるみたい」
  6. 「最期の最期まで闘って」 元「妄想キャリブレーション」水城夢子さん、27歳で病死 2年前には“しばらく療養が必要な病状”で休止
  7. 3児の母・杏、異次元スタイルのパンツスーツ姿が衝撃的 目を疑う脚の長さに「身長の半分股下」「えっ! 本当!? っと思っちゃうくらい」
  8. 志穂美悦子、68歳バースデーに鍛えられた筋肉バキバキの肉体美披露 「いろいろやりたいことがある」「まだ見ぬ自分へ」
  9. 柴犬と父のやりとりに「20分これ見て爆笑してます」「気持ちよすぎるいい返事」 お笑いコンビを超える関係性が100万再生
  10. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 病名不明で入院の渡邊渚、3カ月ぶりSNS更新で「表情に違和感」「そこまで酷い状況とは」 ベッド上で「人生をやり直すこともできません」
  2. 動かないイモムシを助けて1年後のある日、窓の外がありえない光景に 感動サプライズが「アゲハ蝶の恩返し」と話題
  3. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
  4. 「千鳥」大悟、大物美人俳優にバッグハグされた表情に注目集まる 「マジ照れのお顔ですね」「でれでれやん」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 神田愛花アナ、拡散された女子中学生時代ショットにスタジオ騒然「ヤバい」→“アネゴ感”でSNSもざわつく
  7. 「生きててよかった」 熊谷真実、美麗な初“袋とじ”グラビアで63歳の色気全開 真っ赤なドレス着こなす姿に「すごいプロポーション」
  8. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  9. 双子モデル・吉川ちえ、美容整形後のひたいが“コブダイ”状態へ 多額の費用要した修正手術で後悔も「傷がこんなに残りました…」
  10. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!