これだけ詰まって1500円! Wiiウェアの可能性を示した、お手本的箱庭シム「小さな王様と約束の国 FFCC」レビュー(1/2 ページ)

インターネットを通じて、Wiiの新作ソフトウェアをダウンロードして遊ぶことができるサービス「Wiiウェア」がスタートした。第1弾タイトルの中には、なんとあの「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」の名前も……。

» 2008年04月16日 14時58分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

いよいよ各社のダウンロードサービスがそろい踏みに

「Wiiウェア」は、「Wiiショッピングチャンネル」内から購入可能

 3月25日にスタートした、Wiiの新作ダウンロードサービス「Wiiウェア」。現行ハードメーカーの中ではもっともオンラインに慎重な姿勢を見せていた任天堂が参入したことで、いよいよこれで全次世代ハードのオンライン・ダウンロードサービスが出揃った形となる。各ハードともスタートの勢いは一段落ついた格好だが、本当に各陣営の差が現れてくるのは実はここからなのかもしれない。

 ついでに言えば、筆者はこうしたダウンロードサービスについては基本的に“賛成派”で、「アイマス」のような追加課金についても、ハメを外しすぎない範囲内ならもっとガンガンやっていただいて構わないと思っている。まだまだパッケージ販売に比べればシェアは微々たるものだが、パッケージビジネスが踊り場にさしかかっている以上、こうした新しいビジネスモデルの模索はメーカーのみならず、巡り巡ってユーザーにとってもメリットが大きいからだ。

 そんなわけで、ダウンロードサービスもろもろの今後を占う試金石として、さっそく第1弾タイトルの目玉(と勝手に思っている)「小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」をダウンロードして遊んでみた……のだが、いやはやまいった。単刀直入に言って、面白いですコレ。いきなり追加課金コンテンツがドン! と発表されて腰が引けている方もいるかもしれないが、「シムシティ」や「どうぶつの森」といった“箱庭シム”系が好きな人には、ぜひとも遊んでみてほしい良作だと思う。

価格は500〜1500Wiiポイントまで様々。「小さな王様」は1500Wiiポイント
タイトル画面では、自分が育てた王国の様子がバックで流れる
最初は閑散としていた王国が、徐々ににぎわっていく快感!

「おふれ」を出してダンジョン探索!

 物語は、ゲームキューブ版「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」(以下、FFCC)から数年後を描いたもの。クリスタル・キャラバンの活躍によって瘴気が消え、ふたたび平和を取り戻した世界の、とある辺境の地が本作の舞台となる。

 主人公・レオとその従者たちは、王国を捨てて失踪してしまった父王を追って旅を続けるうちに、巨大なクリスタルがたたずむ城下町跡らしき場所にたどり着く。クリスタルから、思い出をかたちに変える力「建築術(アーキテクト)」を授かったレオは、ここを拠点に、滅びてしまった故郷を再建することを決意するが――。

最初は頼りないレオだが、やがては王様としてたくましく成長していく
王様だけが使える「建築術」。どんな王国にするかはプレイヤー次第だ

 これまでの「FFCC」シリーズと大きく異なるのは、主人公が冒険者ではなく「王様」であるという点だろう。建築術を使うには、街の外にあるダンジョンから「精霊力」を集めてくる必要があるのだが、まさか王様が国をほったらかして冒険に出てしまうわけにはいかない。ではどうするのかというと、答えは“街を発展させて冒険者を募り、「おふれ」を出してダンジョンを探索させる”のである。朝になると冒険者たちはおふれを見てダンジョンへと出かけていき、夕方になると探索を終えて街に帰ってくる。探索の結果によっては大量の精霊力を持ち帰ってくることもあるし、新たな建物を建てられるようになったり、さらなるダンジョンへの道が開けたりもする。これを繰り返しながら、徐々に王国を発展させていくのがゲームの基本的な流れというわけだ。

王様はさまざまな「おふれ」を出し、冒険者をダンジョンへ派遣することができる
掲示板の前に続々と集まる冒険者たち。話しかけて、誰に依頼するかを決めよう

 ユニークなのは、街の外の様子については、一切がプレイヤーの想像に任せられている点。例えば朝、ダンジョンへ出かけていく冒険者を見送ったら、あとは彼らが戻ってくるのを街でひたすら待つのみ。翌朝になれば冒険者から報告が上がってくるが、それも基本的には「○○の洞窟へ行って○○と戦った!」、「○○と戦って××ダメージを受けた!」などの文字情報から戦闘の様子を想像するのだ。おそらく容量の関係もあるのだろうが、戦闘部分がプレイヤーの想像に委ねられたRPGというのはかなり“画期的”だ。

 とは言え断片的な情報を拾い集めて、自分なりの「ダンジョン像」を想像・構築していく楽しさは、テキスト時代のRPGやアドベンチャーゲームに近く、これはこれでけっこう楽しかったりする。冒険者からの報告も、その気になればターンごとの行動に至るまで詳しく掘り下げて見ることができるし、出発前後のちょっとした会話からも、ダンジョンの様子や、その日どんな冒険をしたかは伝わってくる。昨今の演出バリバリなRPGに慣れた世代がどんな反応を示すかは気になるが、個人的には全然アリな範囲と言えよう。

1日の最初には、冒険者から前日の冒険の報告が上がってくる
冒険者たちとの会話からも、ダンジョンの様子がなんとなくうかがえる
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