自分のデザインした服が街中で流行る楽しさ――DSでファッションデザイナーになっちゃおう!「That'sQT」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年05月15日 13時04分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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あらゆる手を使って自慢のアイテムをPR! 流行を作るのはきみだ

月刊ファッションメイカーに広告が載ったアイテムを棚に置くことを忘れないように

 できるだけアイテムが売れてほしい、売れたアイテムをみんなに着てほしい、ということであれば、店員や自分が着る、という戦略だけでは物足りない。もっともっとPRをして街に大きな流行を巻き起こそう。

 というわけで、ひとまずてっとり早いのが、マスメディアを使った宣伝だ。アトリエにある電話から永寿堂出版に電話することで、毎月1アイテム、月刊ファッションメイカーに広告を出すことができる。時間の経過は、自動的に数十秒で1日が過ぎていくシステムなので、プレイを続けていると割とすぐに1カ月が経つ。月の初めにはポストマン(郵便を運んでくれるキャラ)から月刊ファッションメイカーが届くので、前月依頼した広告が出ているかどうかチェックしよう。月刊ファッションメイカーではその他にもストリートでカメラマンが撮った人たちのファッションや流行の情報が載っているので要チェックだ。

 また、PRの方法としては、モデルを雇う、というのも有効。モデルエージェンシーに電話してきれいなモデルさんを呼び、売りたいアイテムを着てもらう。モデルさんがストリートに出ることで街の人たちの脚光を浴び、着ているものが人気アイテムになる可能性が上がる、というわけだ。モデルは7日間だけしかストリートにいてくれないが、その効果はかなり大きい。雑誌掲載ともども、もちろんお金はかかるが、きっと見返りも大きいはずだ。

 これらの地道なPRの結果、うまくいけば、ストリートにいる人たちが自分の作ったアイテムを着てくれたりする。自分が流行を発信する、という感覚は、本作独特の面白さだ。妙なアイテムでも流行ればみんなが着るようになる。極端な話、モヒカンヘアを流行らせれば街中がモヒカンだらけになったりもするのだ。現実ではありえないが、本作の世界は何でもありの自由空間……。自分の好きなアイテムを流行らせることができる楽しさを、ぜひ体験してほしい。

モデルに着せたものは売れ行きが伸びる! 何を着せるか迷うところだ
街の人が他人のアイテムに注目しているときは、分かりやすくそのアイテムの吹き出しが出る
ストリートをアナライズグラスというアイテムを使って覗くと、どれぐらいの人が自分の店の服を着ているかが分かるようになっている。ライバルに負けないようにまめにチェックしよう

スペコン揃えてファッションバトル 2P対戦もあります

 本作の世界にファッションデザイナー兼ショップ店長が自分だけかと言うと、そんなことはない。同じような仕事をしているライバルが存在するのだ。彼らとはストリートでバッタリ会うこともあるし、アトリエで情報を確認することで、他のデザイナーとの売り上げ比較などもできる。そしてプレイが進行すると可能になるのが、ライバルとのファッションバトルだ。

それぞれが自分のショップの自慢のアイテムを選んで参加
人気アイテムはポイントが高い
総合得点でライバルを上回れば勝利だ

 ファッションバトルは3人の審査員によるコンテスト形式のバトル。ライバルデザイナーとの一騎打ちで、各自がお題に沿った制約の中で自由にコーディネートをし、得点を競う。得点は、そのアイテムのストリートでの人気度や売れ行きなどさまざまな要素が絡み計算されるのだが、抑えておきたいポイントは“スペコン”の存在だ。

ライバルデザイナーである友人と、通信バトルを楽しもう
スペコンリストはアトリエで確認できる。特定のスペコンを狙って服やアクセサリーの色を決めていくとバトルで有利になる

 スペコンとは、カラーリングやアイテムの組み合わせによるスペシャルなコンビネーションのこと。例えば色をマリンブルーで上から下まで統一すると発動するスペコンがあったり、黒と黄色だけで発動するスペコンもある。スペコンの評価がそのまま得点になって現われるので、スペコンを意識したデザインやアイテム作成を心がけると、バトル時にかなり有利になると思っていい。

 本作はDSワイヤレスプレイにも対応しており、友人とのファッションバトルも可能。通信対戦後は1人プレイ時に友人のプレイヤーキャラがストリートに登場したり、友人から電話がかかってきて新しいイメージをキャッチできたりもするので、周りに本作をプレイしている友人がいるなら、積極的に対戦した方がいいだろう。

ゆるくて、自由で、何でもありのファッション業界シミュレーション

 基本的にタッチペンですべてのプレイが可能な本作ではあるが、個人的にはタッチペンでの操作よりもボタン操作の方がしっくり来た。元々プレイステーションで出たタイトルなので致し方ないかとは思うが、タッチペンプレイがもう少し快適であればよかった、というのは残念に思ったところだ。

 ガチガチで硬派な戦闘系のシミュレーションとは真逆の、ゆるくって自由度の高いシミュレーションと言っていい本作。課題をクリアしてステージは進んでいくし、エンディングも用意されてはいるが、そんなことはおかまいなしに、ただひたすらに服やアクセサリーを作り、コーディネートし、流行らせる、という流れの中で好きにプレイできるところが面白い。筆者はプレイステーション版を未プレイで、本作で初めて「That'sQT(ザッツキューティ)」の世界に触れたわけだが、「こんな面白いゲームを8年前にチェックしていなかったのか、俺は……!」と思うほどに、本作にはけっこうハマってしまった。

 自分はけしてファッションに詳しい人間ではないが、根幹にある「素材を得る」「素材からアイテムを生成する」「生成したアイテムをうまく売る」という職人&商人ジャンルのシミュレーションとしての面白さがツボにはまった。売り上げが軌道に乗ってきたら、ひたすらレジ打ちするというプレイもできるし、アトリエにこもってデザインに凝り続けるというのもいいし、ストリートでひたすら情報収集するのもいい。そのいい意味でのゆるさや、NPCたちが勝手に行動したり会話してるさまを上から眺めてる感覚、少しずつ自分のアイテムが街に増えていく楽しさなど、他では味わえない独特の妙味が本作には詰まっているように思う。また、音楽のよさも個人的には高く評価したい。アトリエでBGMを変えられるのだが、ポップな曲の数々が用意されており、サウンドにも力が入っているな、という印象だった。

こーでねいとおじさんやポストマンなど、かわいい脇役の活躍も見逃せない
曲は自由に選べるうえに、ファッションバトルで勝つことでさらに追加されたりもする。きっとお気に入りのBGMが見つかるはずだ

 ジャンルの性格上、ファッション好きな女の子がおそらくメインの購入層かと思われるが、少しずつ箱庭が変化していくタイプのまったりシミュレーションゲームが好きな人にも強くオススメしておきたい。素材を集めてアイテムを生成してリストを埋めていきたい……そんなコレクター的プレイが好きな人もきっと楽しめるはずだ。ファッションデザイナーになって、自由な発想から自由なコーディネートを生み出す。そこから流行のアイテムが生まれる。この感覚を一度知ってしまったら、やめどきが見つからないほどにプレイしてしまうことだろう。本作で得たイメージが、現実の自分のファッションにもよい影響を及ぼすかも? なんてことも思った。何でもありのファッション業界シミュレーションを、ぜひ一度プレイしてみていただきたいところだ。

「That’sQT」(ザッツキューティ)
対応機種ニンテンドーDS
ジャンルファッションエンタテインメント
発売予定日2008年4月24日
価格(税別)3800円

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