BLは愛です! 理解するんじゃない! 感じるんだ!――「がる★パラ!」で「腐女子カフェ」を立ち上げた腐女子たち(2/3 ページ)

» 2008年06月06日 00時00分 公開
[西川留美,ITmedia]

筋金入りの腐女子は50歳を超えている

――腐女子が突然増えたとか、そういう波はあるのですか。

杉浦 いえ、積み上がってきたのだと思います。このサイトを立ち上げる時にも、社内でも「(腐女子の)ムーブメントが読めない」という反対意見はあったのですが、「これはブームなどではない」と「乙女年表」を作って反論しました。もう乙女の流れは35年以上続いているんです。例えば、当時20歳だった人はもう50代半ばになっていて、「昨日今日始まった一過性のものではないからこの企画は大丈夫です!」と(笑)。

――萩尾望都さんあたりからということですか。そう考えれば確かにそうではありますが。

杉浦 説得は結構大変だったんですけどね。「乙女年表」を前に、「おすぎ(注・杉浦氏のこと)! 『キャプテン翼』は乙女と違うだろ!?」なんてやりとりを、社長と1時間以上したり(笑)。

――王道なのに(笑)。

杉浦 リブレさんにご協力いただけることが決まったあと、超特急で、ネットラジオなどを運営されているエンタメシンクタンクさんに打診しました。ちょうど森川智之さんのインターネットラジオ「森川智之のレディオ ベル」という番組が始まったばかりで、ユーザーの方々からのご意見で番組を構成していこう、という取り組みをなさっていたんです。それに森川さんにはBLファンの女性ユーザーがたくさんいらっしゃいましたから。

――こちらの交渉はすんなりと?

画像

杉浦 すんなりというよりエンタメシンクタンクの社長さんを腐女子3人が取り囲んで……説得しました(笑)。そうしたらその熱意を森川さんに持っていってくれたんです。そして、サイトオープンの日の朝に、契約書を持ったうちのスタッフが、エンタメシンクタンクさんの会社の前で社長を待ち受けまして。無事にハンコを押してもらったと同時に、プレスリリースを流したというわけです。

――素晴らしい連係プレーですね(笑)。それでプレイヤーが揃い、サイトのオープンにつながるわけですね。

杉浦 はい。2月28日にプレオープンし、5月2日に「腐女子カフェ」というコンテンツを加えて、正式オープンとなりました。ガンホーは編集者としてはまだまだ経験が浅いので、「腐女子カフェ」のコンテンツの監修はリブレさんにお願いしています。

 プレオープンの時点で「商品データベースは外せない」と考え、BL系の会社などから情報をいただけるようお願いして回りました。現在では相手先は50社を超え、毎日情報をアップさせていただいている状態です。掲載許諾などの作業も多く、営業担当者はヒーヒー言ってますが、でもこの情報があれば毎日来てくださる方がいますから。記事ばかりのサイトだと、いったん記事を読んだら、次の記事がアップされるまで来てといただけないということが考えられますから。

――初めからサイトの趣旨に賛同してくれる会社ばかりでしたか。

杉浦 いえ、プレオープン前は、営業担当者はとても大変だったと聞いています。「がる★パラ!」に情報を出すことで、よくなるのか悪くなるのかの判断がつかないという反応で。そんな中でも、リブレさんからは初めから快く情報を出していただけたんです。

――どうしてリブレさんはOKを?

川島 サイトのイメージは初めに見せてもらったんですけど、BLを好きな人が作ったサイトだなと思いまして。悪いようにはされないだろうと。

――「BLが好きな人が作った」と分かったのはなぜですか。

画像

川島 ピンクだったから?(笑)。作りとしてコンテンツが盛りだくさんでしたし、目の付け所が違うと思いましたね。「BLだから」とネガティブに捉える媒体も無きにしも非ずですが、そうじゃなくて、これが乙女の楽しみたいための場所だ、と感じて。

――それにしてもよく半年もかからず正式オープンしましたね。

杉浦 実は5月7日のMAGAZINE BE×BOYに「新規企画開始」と書いた記事を出してもらっていて(笑)。間に合わせるためにいろいろと強行突破しました。

チームのメンバーはもちろん全員腐女子

――ところで、チームの人数はどれくらいなのですか。

杉浦 制作、更新をお願いしている外部スタッフを加えて10人くらいです。ガンホー・ワークスの乙女ゲーム「乙女的恋革命★ラブレボ」のスタッフにも入ってもらっていまして。それぞれ本業と平行して「がる★パラ!」に関わっています。

――全員腐女子ですか?

杉浦 完全に腐女子ですね。一部男性もいますが、腐心(ふごころ)がない人はこのプロジェクトには選出されていませんから(笑)。

 あと、このサイトを立ち上げることを全社メールで流したのですが、その後わたしのもとに「実はわたしも腐……」というカミングアウトのメールが個別に次々に来まして。彼女たちは今やこのサイトの応援団という感じです。「ここでこんな情報が載ってたよ」「こんなのはやってるよ」なんて情報を寄せてくれたりして。

――社内では隠していたのですね。腐女子らしいエピソードです。さて、オープンしてからの反響はいかがでしょうか。

画像

杉浦 これはプレオープンの時の話なのですが、別の乙女サイトとの競演記事が出たためか、Yahoo! JAPANのトップページに検索急上昇ワードとして「がる★パラ!」が掲載されたときの反応が大きかったですね。また、正式オープンと「腐女子カフェ」のリリース時にも記事を書いていただいて、それでまたアクセス数が上がったり。その後はユーザーさん同士の口コミなどで、静かに広がっているようです。

――正直、「このサイトはいける」と思っていましたか?

杉浦 会社に対しては「商業的な成功を目指す」と言っていますが、ホンネを言えば「自分が一番ほしいサイト」だったんですよ(笑)。だから絶対需要があると思っていたし、乙女の需要は自分の需要だと勝手に思い込んで(笑)。自ら毎日「がる★パラ!」で新刊情報チェックして「また買っちゃった」みたいな。

――なるほど。では、このサイトでオススメしたい点を教えてください。

杉浦 まずは「イケメン企画」ですね。若手のイケメン俳優さんの独占インタビューなどをさせていただいていて。インタビュー映像を流しているのもネットならではかと思います。動画はめずらしいのか、ユーザーの方々にも喜んでいただいているみたいです。

――企画会議が濃そうですね。ボツネタってありましたか。

杉浦 いっぱいありますよ。例えばブレストの時点で「高校球児特集」と言って譲らないスタッフがいたのですが、さすがにそれはいろいろまずいだろうと却下されました。ちなみに社長からは「エロはダメだ!」と強く念を押されています(笑)。

――メンバー間でケンカもするんですか?

杉浦 しますね。ピンクがいいとか、ピンクがよくないとか(笑)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/16/news077.jpg 大谷翔平、インスタ最新投稿で活躍シーンのハイライト公開 一瞬映る“妻・真美子さんと母・加代子さんの笑顔満開ハイタッチ”に注目
  3. /nl/articles/2411/16/news007.jpg まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  4. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  5. /nl/articles/2411/16/news039.jpg 「ディズニーのそういう所だよ」 1歳息子、初ディズニーで言われた“まさかの一言”は…… キャストの愛ある“神対応”が656万表示
  6. /nl/articles/2411/14/news169.jpg 「ちょっと怖い!!」 ミニトマト“1粒”を土に埋めて1カ月育てたら…… → “予想外の光景”に驚がく 「そうなるとは」
  7. /nl/articles/2411/15/news162.jpg 「とんだ裏切りwww」 整骨院が休業→店舗の張り紙を見たら…… “まさかの理由”にツッコミ殺到 「これは仕方ない」
  8. /nl/articles/2411/15/news187.jpg 「2度とライブ来るな」とファン激怒 星街すいせい、“コンサート演出の紙吹雪”が「3万円で売買されてる」 高値転売が物議
  9. /nl/articles/2411/16/news014.jpg 330円で買ったジャンクのファミコンをよく見ると……!? まさかのレアものにゲームファン興奮「押すと戻らないやつだ」
  10. /nl/articles/2411/11/news056.jpg 大量のハギレを正方形にカット→つなげていくと…… “ちょっとした工夫”で便利アイテムに大変身! 「どんな小さな布も生き返る」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた