レビュー
» 2008年10月20日 16時12分 公開

いざ空想科学の世界へ! 南洋の珊瑚礁に秘められた謎を解き明かせ「アクアノーツホリデイ 隠された記録」レビュー(2/2 ページ)

[水野隆志,ITmedia]
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追跡者を想定した失踪者の足跡

 ビルが失踪した理由を探るのが主人公の目的だが、調査を始めると比較的早く意外な事実が判明する。それはビル自身が自分の行動を追跡してくる者がいることを想定し、そのための手がかりをあらかじめ残してくれていたということだ。なぜビルがそんなことをしたのかはさておき、そのおかげで主人公はビルが失踪に至った経緯をトレースしやすくなっている。しかもビルの仕掛けた道筋を辿っていくと、それにともなって潜水艇に施されたロックが解除されていくのだ。

 ビルが残した手がかりのうち、もっとも基本的な仕掛けが“ソノブイ”と呼ばれる装置だ。舞台となる環礁海域では地質的な影響で電波装置やコンパスが使えない。そのため、ソノブイから発信されるシグナルを探知して位置を把握しなければならない。言い換えるならば、ソノブイのシグナルが届かない海域は自分の位置を見失う恐れがありため、航行できないというわけだ。

潜水艇の機能はストーリーを進めるのに従って充実していく。ロックが解除されるだけではなく、他の研究員の協力によって補強される機能もある
ビルが環礁の各所にセットしたソノブイ。探索はこの装置を中心とした一定海域しか行えない

 ソノブイはバッテリーで起動する仕組みになっているが、ビルが失踪し、その後のメンテナンスが行われていないため、動作停止状態になっている。このままではアクアヘブン周辺のごく狭い海域しか調査できず、失踪原因の解明などできるはずがない。そこで主人公は自らバッテリーの再装填をすることになる。ただし、バッテリーはタダではない。研究所に申請して購入しなければならないのだ。その資金をどこから持ってくるかというと、環礁海域の調査によって捻出する。海域にどんな生物が棲息しているかを報告すると、発見した生物に応じて一定の報酬が出るので、それを購入費に充てるのである。

 なぜ主人公がそんなことをせねばならないのかとか、どう考えてもこの調査は研究所の仕事じゃないのかとか思うかもしれないが、まあ、細かいことを言うのはやめておこう。それにジェシカはかよわき女性、ロバートは老齢。海に潜れなんて苛酷なことを言っては男がすたる。それにビル失踪の謎を解こうとしているのは主人公なのだから、それでいいではないか。南洋の楽園である。あんまり考えすぎて脳味噌がゆだってもナンだし、元気な主人公が頑張れば、みんな幸せになれる、ということで。

どんな生物がいるかを調べることで研究費を稼げる。外見が似ていても別な魚もいるので航行中に魚影を見かけたら丹念にチェックしていくのが賢明
ソノブイのバッテリーは主任から購入する。これは主任経由で本部に備品を請求し、その代金を払っているのだと解釈しよう。結構高いので海域調査を欠かさずに

 ともあれ、海域の生物を調べて報告し、集めた資金でバッテリーを購入してソノブイの機能を復活させる。それによって調査可能海域を広げていく。これがゲームの基本的な進め方になる。

海の中には不思議がいっぱい

 エリアを広げながら捜索を進めていくという構成を聞いて、アクション・アドベンチャーゲームみたいだなと思った人がいたら、それが正解。つまり、環礁全体が屋敷、ソノブイは扉、バッテリーが鍵というわけだ。ソノブイを復活させることで進めるようになる各海域は部屋に該当する。

 となると、アクション・アドベンチャーゲームが好きな人なら、次の展開も予想がつくだろう。一般的なアクション・アドベンチャーゲームであれば、部屋にはオブジェクトがあり、オブジェクトを調べることでフラグが立ってシナリオが進む。アクアノートホリディもまったく同じ。海域にはいろいろなオブジェクトがある。ただオブジェクトというとアイテムみたいなので、ここでは浪漫も込めて“不思議”と呼んでおこう。不思議には発見すれば報酬がもらえるというタイプと、ビル失踪に絡む事象に分かれる。ボーナスとメインという分類もアクション・アドベンチャーゲームではおなじみだろう。

 ところで主人公には専門的な知識はないから、不思議を発見してもその意味が分からないということがしばしば起こる。そんな時こそベースにいるふたりの出番だ。特にジェシカは科学者とは思えないほどオカルトや超科学に造詣が深い。相当胡散臭い話を持っていっても嫌な顔ひとつせずに聞いてくれ、いろいろな解説をしてくれる。SFに興味がない人はこういう話を聞くと引いてしまうかもしれないが、案ずることはない。実質的にアクション・アドベンチャーゲームである以上、重要なのはジェシカと話したという事実。フラグはそれで立つ。関心のある人は彼女の話を詳細に聞いてもいいだろうが、適当に流しておいてもストーリーは進む。超科学的な要素を採り入れているからといって、それにべったりなわけではない。あくまでエンターテイメントを盛り上げるためのピースに過ぎないのだ。過度な警戒は無用。

環礁の全体マップ。海域は複数のエリアから成り立っていて、左側の明るくなっている部分が探索可能領域、右側の暗い部分が未踏領域になる。探索可能領域の中に散らばっている青い光点がソノブイ
何かを発見したらいったんベースに戻ってみよう。画面の左、ふたりの顔グラフィックの隣にあるバーが光っていれば相談すべき話題があることを意味している

 調査可能海域が広がるといきおいベースとの距離も広がり、いちいち往復しているのが面倒になってくる。そんな時に重宝するのが“NaSU”という装置だ。これもシグナルを発信するが、ソノブイとは違ってエリアをカバーするのではなく、設置場所を伝達する機能を持つ。潜水艇はシグナルを受けると現在地点からNaSUがある地点までの最短距離を自動判定してくれる。ゲーム的に言えば、NaSUを設置した場所へは自動航行という形でワープできるようというわけだ。しかも何度でも回収して再設置できるので、調査を進めながら設置場所を移動できる。ストーリーが進むに連れて同時に設置できる個数が増えていくので移動の手間はずいぶん軽くなる。

NaSUをどこに設置するかはプレイヤー次第。再調査に訪れたいポイントを見つけたらセットしておこう。これで簡単に行き来が出来るようになる

 NaSUを効果的に使いながら数々の不思議を見つけ、ストーリーを進めていく。発見した生物や不思議は“アクアライブラリ”に登録されていくので、図鑑をコンプリートする楽しみも付加される。話の進行と図鑑の完成を並行的に進めていけば、海はその中に隠した秘密をどんどん明らかにしてくれることだろう。

アクアライブラリには、生物はもとより到達できた海域や不思議な物体まで、環礁内にあるあらゆる事象が登録されていく。各項目を選択することで詳細情報を見ることも可能

目立たないこだわりにも注目

 アクアノーツホリデイは、大自然の魅力を満喫するというエコあるいはヒーリングを対象とした作品ではない。謎の海域を調査し、そこでさまざまな不思議に触れることを目的としている。ミステリースポットに対して人間が覚える普遍的な関心を踏まえたエンターテイメントといえるだろう。しかし、制作したのは国内有数のシミュレーションゲーム・メーカーであるアートディンク。それだけに目立たないところにも細かな作り込みが感じられる。

 例えば海流。ベース付近の凪いだ海域にはほとんど海水の流れがない。しかし沖に進むと海流が発生し、場所によってはそれがかなり強い。こうした海域では潜水艇の移動速度は低下し、しかも流されるようになる。それによって調査にもの凄い支障が出ることはないのだが、自分のいる海域へのイメージが変わってくる。また深度も考慮されている。垂直移動をしながら海の色を見ていると、陽光がどこまで届くかを計算して、微妙な変化が起こるのだ。

 謎を追い求めるだけでなく、時には作り手のこうした細かなこだわりに目を向けると、ゲームの楽しさが増し、映像表現メディアとしてのプレイステーション3への興味もいっそう増すことだろう。

「アクアノーツホリデイ 隠された記録」
対応機種プレイステーション 3
ジャンル海洋アドベンチャー
発売日2008年9月25日
価格(税込)5980円
(C)Sony Computer Entertainment Inc. All Rights Reserved.


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