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» 2008年11月14日 21時36分 公開

「World Cyber Games2008」ドイツ本戦――日本代表大健闘、総合5位に入賞(3/3 ページ)

[松井悠,ITmedia]
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惜しくも結果を残せなかったエイジオブエンパイアIII部門、そして横綱相撲を取りきったバーチャファイター5部門

試合を行うAOE代表のAirlity選手は自らのキーボード・マウス・ヘッドセットを持ち込んでプレイ

 続いて、RTS(リアルタイムストラテジー)、「エイジオブエンパイア(AOE)III アジアの覇王」部門の結果をお届けする。過去、WCG2002において、AOEII部門で日本人選手が優勝を飾ったこともあり、活躍に期待のかかるタイトル。初日の予選グループリーグは16人の選手が4ブロックに振り分けられて行われ、nemuke(尾崎大悟)選手は、オランダ、ドイツ、台湾と戦い、1勝2敗で予選通過ならず。コロンビア、チェコ、メキシコと同グループのAirlyty(佐藤拓也)選手は、2勝1敗でグループ勝ち抜け。しかし、続く決勝トーナメント1回戦で2-1でアメリカのh2o_(Ryan Mancl)選手に敗れてしまう。h2o_選手はこの後も快進撃を続け、見事優勝を飾った。残念ながら日本AOEチームの戦績はベスト8にとどまったが、17歳の若さで海外での試合に赴いた両名は非常にいい経験を得たのではないだろうか。

 並行して行われていたのが、日本のお家芸「バーチャファイター5 LiveArena(VF5LA)」部門。巷間、日本が世界最強ともいわれている格闘ゲームだが、WCGでは「DEAD OR ALIVE 4(DOA4)」が採用されていたここ2年間、メダルはおろか、グループリーグ勝ち抜けすらできていなかった。今年は、タイトルが「VF5LA」に変更され「今年こそは」と関係者が期待を寄せるタイトルだ。

 日本代表の板橋ザンギエフ(熊田大幹)選手は、8月のWCGアジアチャンピオンシップ優勝、セガ公式大会格闘新世紀III優勝、闘劇08優勝と、そうそうたるキャリアの持ち主。選手村のホテルでは、彼の周りに常に海外のプレイヤーが集まり情報交換を行っていた。

 24人が4つのリーグに振り分けられた予選リーグでスウェーデン、ドイツ、シンガポール、カザキフスタン、ブルガリアの代表とリーグ通過を争った板橋ザンギエフ選手は特定の技をヒットさせた後の「飲酒」を繰り返すことで技のバリエーションや攻撃力がアップする「シュン」を使い危なげなく全勝を飾り、グループリーグを突破する。ちなみにグループリーグを2位で通過したシンガポール代表のTetra(Chia Wilson)選手は、過去にDOA2、DOA4でシンガポール代表を飾り、プロゲーマーになった後、VF5LAに転向、今回のWCGに挑んできた生粋の格闘ゲーマーだ。

 決勝トーナメントは1試合5本先取、2試合先取のルール。1回戦は板橋ザンギエフ選手も「最大のライバル」とコメントしていた韓国代表のアキラ使いWoni0639(WONHEE LIM)選手だったが、ふたを開けてみれば1試合目5-0で勝利、2試合目も序盤に2本先取されつつも板橋ザンギエフ選手の使用キャラクターシュンの特性「飲酒」を生かし、徐々に追い上げて5-3で勝利した。

 続いて準決勝ではホスト国ドイツのstprock(Darius Schuiszill)選手を下し、決勝戦の相手はシンガポールのもう1人の代表Danny13(Danny Koo)選手となった。八極拳の使い手で、爆発的な突進力とコンボが持ち味のアキラを使い勝ち上がってきたDanny13選手だが、メインキャラクターのアキラでは勝てない、と踏んだのかここで突如キャラクターを構えからのトリッキーな攻撃、相手を中空に放り投げてコンボダメージを奪うカゲに変更する(海外での試合は、トーナメント中のキャラクター変更が認められることが多い)。しかし、付け焼き刃のキャラクターで通用するほど板橋ザンギエフ選手は甘くなかった。1試合目を5-2で危なげなく勝利し、2試合目も一度は投げからのリングアウトを食らうものの、その後は取り返して、5-3で一気に勝負を決めた。日本チームは実に3年振りの金メダルを手に入れ、総合成績はロシアと同率の5位にランクイン。なお、総合優勝は金メダル3、銀メダル3、銅メダル1の韓国が、2位は金メダル2、銅メダル1のオランダ、3位は金メダル1、銀メダル1、銅メダル3のアメリカとなった。

決勝前に欧米メディアの取材を受ける板橋ザンギエフ選手。海外遠征経験が豊富な彼は英語で受け答えを行っていた
VF5決勝戦では、猛烈なラッシュでエクセレント(相手から攻撃を一度も受けないで)勝ちも魅せた板橋ザンギエフ選手
日本のメダリストによるメインステージ記念写真。来年はさらなる盛り上がりを期待したい

“Beyond the Game”を体現したWCG、来年は中国・成都で開催

 ゲームを、性別を、年齢を、国境を、文化を、人種を越えて世界の人々が一堂に介するWorldCyberGamesも今年は閉幕。今回は、筆者が参加した2006年イタリア本戦、2007年アメリカ本戦と比較してもイベント全体の質が非常に高く、ある種「e-sportsイベントの完成系」をかいま見ることができた。

 日本ではなかなか根付かないと思われていたe-sportsカルチャーだが、昨年末からイベントを主催、あるいはバックアップしているJESPA(日本eスポーツ協会設立準備委員会)の活動も含め、今年は全体的に少し前進した感がある。

 ゲームオンフェスタ2008では今までのe-sports大会にありがちな「選手=観客」という状態から脱却し、「トップクラスのゲーマーのプレイを観戦して楽しむ人々」がいたし、DC EXPOでは、海外の人々もWCG日本予選会場に足を運んでいた。そして、徐々にではあるがスポンサーの数も増加している。

 また、今回筆者はDC EXPOにおいて「日本におけるe-sportsの将来と展望」と銘打ったセミナーを行った。参加人数は40名弱と一般的なセミナーに比べるとやや少なかったが(自分の想像では10名程度だと思っていたので、それでも多かったのだが)、予想以上に「ネクタイを締めたビジネス系の人」の参加者が多かったことに驚いた。JESPAが動き始めたことにより、今までゲーム業界の、しかも一部のコアな人々にしか認知されなかったe-sportsがビジネスの場として徐々に認知されはじめて来ているのかもしれない。

 しかし、依然として競技タイトルが定まらないこと(e-sports=特定のゲームタイトルではなく、デジタルゲーム競技=e-sportsという認識が正しいのだが、それはまた別のお話)、運営側のノウハウ不足、選手の意識、ゲームメーカーの無関心など、日本におけるe-sportsにも根源的な問題はいくつもある。これから、選手、企業、そして官、すべてが手を携えて前に進むことができれば、日本はゲーム競技大国になることができるだろう。いつの日か、日本で世界各国の凄腕プレイヤーたちを集めた競技大会が開催できるよう、筆者も努力していく。

 セミナーで筆者はこう発言した――「ゲームには、いろいろな楽しみ方がある。プレイすること、見ること、音楽を聞くこと、キャラクターに魅力を感じること、競うこと。その幅の広さ、懐の広さこそがゲームの魅力なのではないか」と。

 プロを目指して真剣にプレイする人がいてもいい。ただ、プレイすることが目的の人がいてもいい。ゲームを見るだけの人がいてもいい。WCGの参加選手たちは、自国代表としての誇りを持ち、グランドファイナルに登場する。そこには、ゲームに対するネガティブなイメージを打ち払うすばらしい世界が広がっている。

 来年のWCG2009グランドファイナルは中国・成都での開催が決定している。機会のある方は是非とも足を運んでいただきたい。そこには、多くの日本人が抱く「ゲーム大会」とは全く違った世界が待ち受けているはずだ。

 また、筆者は来月に中国・武漢で行われる中韓政府主催のe-sportsイベント「International E-sports Festival」に日本チームリーダーとして渡航を予定している。そちらのリポートも改めてお届けしたい。

選手村のラウンジルームでは、他国の選手が持ち込んだXbox 360とモニターで夜が更けるまで国際交流が続いた
WCG2009が行われる成都。次回はどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみだ
中国・武漢で行われるIEF。日本では現在カウンターストライク1.6部門の選手選考会が行われている
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