レビュー
» 2008年12月02日 00時00分 公開

タイトルに偽りなし――義務や使命ではなく“自主性”を重んじます「注文しようぜ! 俺たちの世界」レビュー(1/2 ページ)

携帯ゲーム機で気軽に遊べるRPGを探しているなら、冒険したいフィールドを自分の手で注文する「注文しようぜ! 俺たちの世界」がピッタリだ。ストレスのないサクサクした戦闘はハマり度高し!

[立花裕壱,ITmedia]

地形とモンスターの種類を注文!?

 「注文しようぜ! 俺たちの世界」。

 初めてタイトルを目にした時、“なんてアグレッシブなタイトルなんだ!”と一発で覚えてしまった。

 筆者なんて、財布の底を見ながら、せいぜい味玉ラーメンを頼むくらい。それが“世界を頼んでしまおうぜ!”というのだから、その発想に驚いてしまう。

 気になるゲームの内容は“ネズミのモモ肉をくれ(報酬:3000G)”といった町の人々からのクエストを受け、その内容に合ったフィールドやモンスターのタイプを自ら発注して、アイテムを入手するRPG。タイトルからは何となく豪快なイメージがあるが、本当のところは、コストを考えつつ注文の仕方を工夫してクエストをこなす、お金稼ぎ系RPGになっている。でも、これが実に熱中度が高い。自主的に冒険フィールドを決められるので、やらされている感が薄く、ついもう1回とフィールドに出かけてしまうのだ。

photo 冒険の第1歩は注文書の作成から。受付のお姉さんと主人公・イカ丸との、どこかズレたかけ合いにも注目
photo 戦闘はクォータービュー視点のタクティカルコンバット方式。触り心地は非常に軽快で、手軽に遊ぶにはちょうどいい

 制作はグローバル・A・エンタテインメント。2006年に発売されたPSPのRPG「クロニクル・オブ・ダンジョンメーカー」でオリジナリティの高さが注目され、そのダンジョン作成システムを軸にしたRPGタイトルを次々と送り出してきた。

 「ダンジョンメーカー 魔法のシャベルと小さな勇者」「世界はあたしでまわってる」もその中の1本。シナリオよりもどちらかというとゲーム性でじわじわと人気を集めている。かく言う筆者も、一連の作品の独特な面白さにハマったひとり。遊んでいると“ああ、これぞゲームだよな”とつい口走ってしまう。イベントや演出がこってりした大作RPGに比べるとシンプルなのに後を引く、どこか懐かしい味わいがあるのだ。

 注文しようぜ! 俺たちの世界もヒットとまでは言えないが、事前に配信された体験版をプレイしたファンが買いに走り、一時期は品薄の状態になっていた。ゲームシステムと向き合い、いろいろ工夫して遊んできた昔気質のゲーマーや、思い切り戦闘に没頭したいRPGファンにはもってこいだ。

冒険者なのに町から出ない!?

 話の舞台は、市民が冒険者にアイテム探しを依頼する典型的なファンタジー世界。働きもせずにブラブラしていた少年イカロス・マルコニーニ(愛称・イカ丸)は、ある日、名案を思いつく。

 命を落としかねない町の外へ出なくても、本物の魔物を召喚する冒険者用の訓練施設「アドベンチャーサービス(AS)」を使って安全にアイテム探しをすればいいじゃないか! お金大好きなイカ丸は、この町では誰も思いつかなかったAS専属の戦士として第1歩を踏み出す……。

 本作の前に出た世界はあたしでまわってると同様、既存のRPGを逆手に取ったような設定で、コミカルなテイストを持つ本作。世界をまたに掛けるどころか一切町から出ないし、戦うのは正義のためではなくお金のため……。

 キャラクター同士のかけ合いも非常にノリがいい。強気で青二才、口が悪いイカ丸。ASのオーナーである老人にも“立場がなんだろうとじいさんはじいさんさ。ここのオーナー? へええ、金持ちなんだな”と言い放ち、お役所の役人には”仕事、くれ。なんかこう、金になるやつ”と、なぜか偉そう。自分から「イカ丸」という愛称を名乗るのもなんだかすごい……。イカ丸に対抗するように、ほかの登場人物も個性たっぷり。彼らとイカ丸の会話には妙な味がある。

photo 16歳なら就職していて当たり前の世界で、イカ丸がようやくついた職業は戦士だった。それも安全な戦士。本当ならうまい話だが……
photo イカ丸のケチさ加減にあきれかえる魔法使いのいずみ。クエストをこなすと展開される物語はかなりコミカルで明るい

 キャラクターデザインを担当したのは、マンガ家/イラストレーターのコザキユースケさんとトキシユリコさん。コザキユースケさんは、Wii用ソフト「NO MORE HEROES」を手がけた人物だ。ここで主要キャラをざっと紹介していこう。

photo イカロス・マルコニーニ(イカ丸)
お金儲け大好きな16歳の少年。職業は戦士だが、初対面のいずみからは“アドベンチャーサービスって盗賊まで召喚するの?”と間違えられるなど、ノリはほとんど盗賊。とはいえ意外と頭の回転が早く、洞察力もある。戦士としては素早くクリティカルも出やすいタイプ。HPが自動的に回復する特性もある
photo オーナー
冒険の初心者や暇人向けに、冒険フィールドを作り召喚魔法でモンスターを呼び出すASを思いついた老人。無礼なイカ丸の態度を面白がり、イカ丸の「AS専属戦士」というアイディアを受け入れる。ちなみにASのモットーは「はやくて、安くて、命がけ!」
photo いずみ・グラスホッパー
自称魔法使い。イカ丸がASからもらった「ヒロインチケット」を使ったら、冒険フィールドで鉢合わせた女の子。勘違いが激しく、イカ丸が自分のことを好きだと思い込む。ちょっと不思議な少女で、本名がなく人に合わせて名前を決めるらしい。「いずみ」も他人の名前。戦闘では、魔法を最大8種類装備できるのが頼もしい。一列攻撃の弓もなかなかのもの

 最初はイカ丸ひとりでASを利用するが、シナリオを進めるうちに仲間が増えていく。いずみ以外にも、元木こりで教養にあこがれる重戦士のガストン・ギュール、無口でクールな女義賊のピックロックと最終的には4人パーティになる。

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