3月に「メモリアルダンジョン」4月に「戦場」システム導入――「ラグナロクオンライン」年頭インタビュー(4/4 ページ)
―― プレイの周辺環境も、網の目を広げつつあると。プロモーションとの関わりで、やはり気になるのはオフラインイベントですが、そのあたりはいかがでしょうか?
中村氏 今年もRJCを開催します(開催決定の記事はこちら)。
―― おお、即答でしたか!
中村氏 一昨年とほぼ同様のスケジュールになりますが、2月6日に正式発表、翌週から予選出場ギルドの募集を開始します。エントリー、予選組み合わせ決定に続いて、予選各ブロックの試合と続く感じです。
―― 直近で参加を考えていた人には、割ともうすぐと。
中村氏 そうです。また、それとは別のお話になりますが、3月頃に「新オフラインミーティング」を考えています。
―― オフラインミーティングといえば、これまで営々と続いてきた、ファンの方との直接の交流機会ですよね。「新」と銘打つゆえんはどのあたりにあるのでしょうか?
中村氏 まさしく長い間実施してきたために、ユーザーさんからいただくご質問の内容が変わってきたということが背景にあります。「オフラインミーティング」といえば、伝統的に経営陣とユーザーさんが直接話せる機会として意義があり、当初の話題はなんといっても不正対策でした。しかしながらゲームサービスが歳月を重ね、不正対策も進展してくると、ユーザーさんからの質問はゲーム内容に特化した、具体的なものになっていきました。
―― なるほど、トピックスの変化への対応として、オフラインミーティングが果たす役割も変わっていくべきだと。
中村氏 はい。結果として、昨年開催して一定の評価を得た「ユーザーシンポジウム」に近い形で、より現場に近い立場の者がいろいろな発表をさせていただき、参加者からのご質問にお答えする形にしたいと考えています。
実際にやってみて、ご意見があればその次はまた、それに応えて変えようと。
―― 公式ブログの話題もありましたが、今後プロモーションの分野で、新規ユーザーに向けた施策はお考えですか?
中村氏 新たに始めた人に、プレイに役立つ情報をまとめてお届けするメールマガジンや、公式サイトの改良で欲しい情報にうまくアクセスできるようにするとか、「痒いところに手が届く」アプローチを、工夫していくつもりです。例えば「ポリンぱん」で「ラグナロクオンライン」を知っていただけた方に、ゲームのほうをどう楽しんでいただくか。しっかり根付いていただけることが課題だと思っています。
NHN Japanとの提携で、ROは変わるか?
―― 新規ユーザーを念頭に置いた場合、昨年内の取り組みではNHN Japanとの提携、これと連動した何度めかの「Skuld」ワールドオープンが大きかったと思います。純然たるプロモーションに限らない部分で、何らかの呼び込み策を予定していますか?
中村氏:「Skuld」ワールドについて引き続き取り組んでいくに当たっては、イベントの開催も考えています。まだ企画段階なので、何も詳しく申し上げられませんが。ただやるだけではなくて、ユーザーにとって刺激になる要素が欲しい。今はそう考えています。
―― それはGMさんなどが出てくる、いわゆるイベントなのか、それとも初心者向けの新コンテンツを期間限定で開放するといった形なのか、どちらに近いお考えでしょうか?
中村氏 考えているのは前者に近いものです。教官といいますか、キャストキャラクターを用意して、アドバイスになる内容だといいのかなと。
千葉氏 もちろん、後者の要素ができないわけではないので、それぞれのメリットを勘案しつつ、企画を考えている段階です。
中村氏 一つだけやればよいというものでもないと思いますしね。
―― ここまでの論点を引き継ぎつつ、やや重めの質問を。NHN Japanさんとの提携は一定の効果を上げていると認識しています。ただし、「ラグナロクオンライン」がフラッグシップタイトルであることを考えたとき、これは必ずしも手放しで喜んでばかりはいられない気もします。
というのも、「ガンホー」というブランド構築の側面を同時に見なければならないように思われるからです。「ラグナロクオンライン」を継続的に運営していくなかで、ガンホーのオリジナリティの部分をどうお考えでしょうか?
廣瀬氏 そうですね、“ガンホー印の「ラグナロクオンライン」”を前面に打ち出したいという認識は特にありません。あくまでも、日本で「ラグナロクオンライン」を運営している会社として、日本のユーザーさんに楽しんでいただける内容を提供できるかどうかが、もっとも重要な使命だと思っています。そのため、「ラグナロクオンライン」を遊んでいるユーザーさんに、"その先にガンホーという企業がある"ことを、必要以上にアピールするつもりはないんです。今後とも、何がユーザーさんのためになるかを考えて作っていきたいですね。
―― 作品レベルでは、現時点でとくに気にすることはないと。
中村氏 ユーザーさんの視点で考えれば、どちらから入っていただいても同じですからね。例えばIDの取得方法とWebサイトが、ガンホーとチャネリング先で異なることはありますが、ゲームとしては全く同じものですので、その意味で「ラグナロクオンライン」を楽しんでいただければよいということです。
―― では、お三方それぞれの立場で、「ラグナロクオンライン」2009年の抱負をいただければと思います。
廣瀬氏 2009年を一言で表すと、クオリティアップの年にしたいと思っています。どの年ももちろんクオリティアップに努めていますが、今年は特に既存要素のブラッシュアップと、現在GRAVITY社で進められている新要素の制作に関わることで、新しく、それでいて安心して楽しめるものにしていくために、注力していきたいと思います。
開発元から届く要素をとにかく入れようというわけでなく、腰を据えてクオリティアップをしていきたい。そんな年になると思います。
千葉氏 自分の担当分野に沿ってゲーム内イベントを中心に話しますと、ブラッシュアップや新要素の追加が進むなかで、それらが同じ方向のベクトルにそろってきてしまっている印象も受けます。そこで、キャストイベントにせよ永続実装イベントにせよ、違うベクトルを盛り込んで枝葉を作り、厚みを持たせたいという思いがあります。
時間をかけるべきことにかける一方で、別に大型アップデートあわせでなくても、導入できる新要素は早急に導入していき、新要素が何もないという状態を作らないようにしたいですね。せっかく呼んだ新規ユーザーさんに魅力を見出してもらえるよう、GRAVITY社と協力し、全世界的な仕様改善を提案する勢いで、やっていきたいと思います。
中村氏 本当に、細かい部分のアップデートが増えてくる年になると思います。で、その際ユーザーのみなさんにも、それを宣伝しお伝えしていかねばならない。そういった意味でユーザーの方一人ひとりにとって「痒いところに手が届く」、必要な情報が届くようにしていきたいと思っています。
そしてゲームの中に留まらず、直近の例なら「ポリンぱん」ですとか、ゲーム内にローソンを建ててみたりとか、6年経ってもまだまだ新しいことはできると思うんですね。それをお見せすることで、ゲームの外での話題を作っていきたいなと。
そうして、中と外で盛り上げていくほかに何か「バカなこと」もしたいですね(笑)。真面目にやるのも大切ですが、そればかりでなくてもいい。そんな飛び道具を考えつつです。「ああ、バカなことやってるなあ」と、暖かい目で見ていただければ(笑)。
―― 今後の活躍を楽しみにしています(笑)。本日はありがとうございました。
プロモーションで注目してもらい、イベントを楽しんでもらって、メインコンテンツの継続的なプレイにつなげるというクリーンナップで、それぞれの担当者に対応してもらった今回のインタビュー。見えてきたのはサービス7年目に入ってもなお、根幹のシステムにリニューアルを加えて楽しさを追求するという、オンラインゲームならではの絶えざる再生の過程だった。
「魔王モロク」アップデートの延引は確かに残念なことだったが、その裏には長きにわたるサービスならではの、地道な改良過程があったようだ。「メモリアルダンジョン」と「戦場」システムの新しい導入日程も明かされたところで、それぞれが果たしてどんな内容になるのか、楽しみに待ちたい。
オンラインゲームサービスが長く命脈を保つための新陳代謝として、新規ユーザーの参入が重要なことは言うまでもない。昨年後半から始まったNHN Japanとの業務提携によるサービスは、その意味で重要おく能わざるところだ。ユーザーサイドとしては、どちらから入っても違いはないし、ゲームとして盛り上げていくことが重要という話は、もちろん妥当なところだろう。“ガンホーブランド”をどう捉えるべきかという論点については、機会をあらためて経営レイヤーでの判断をぜひ聞いてみたい話である。
来たるべき三次職をめぐってGRAVITYと良い意味でケンカし、日本からの意見を主張していきたいと述べる運営陣の手で、「ラグナロクオンライン」は今年も多くの話題を振りまいてくれるに違いない。
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