今後何を目指すのか──ガマニアCEO Albert LIU氏インタビュー(前編)TAIPEI Game Show2009(番外編)(2/2 ページ)

» 2009年03月18日 14時13分 公開
[麻生ちはや/Guevarista,ITmedia]
前のページへ 1|2       

新規開発タイトル4本が、今年中に登場

―― 今年台湾で「仙魔道」に続く新しい開発作品のサービスは予定していますか?

Albert LIU氏 来年上半期までの間に四つの自社開発タイトルを予定しています。ジャンルで言うと、MMORPGが一つ、2D横スクロールアクションが一つ、アドベンチャーが一つと、ジャンルが曖昧なものが一つです。具体的なタイトル名は、まだ言えないものばかりですが。

―― ええと、そう言われてしまうとどこまでお聞きしたものかと迷いますが(笑)。では、それぞれについて例えば中国風か西洋風か、SFであるかファンタジーであるかといった、モチーフないし世界観だけ教えてください。

Albert LIU氏 MMORPGと横スクロールアクションは中国ファンタジー、それと、ジャンルが曖昧だと述べたものは、強いて言うならアメリカンカートゥーンアクションでしょうか(笑)。これは後ほどデモンストレーションをご覧いただくということで。

―― ではそれはのちほどとして、オンラインゲームでアドベンチャーというのはかなりユニークな気がしますね。これについては……?

Albert LIU氏 アメリカンアクション以外は、いずれもまだ完成度が50%以下なので、本当にいろいろ話したいんですけれども、その話はこのあたりで。

―― 分かりました。たいへん残念ですが、しかるべき時期が来たらぜひ教えてください。開発作品の話が続きましたので、今度はパブリッシングタイトルについて、今年お考えの事柄をぜひ。

Albert LIU氏 もちろん、パブリッシングタイトルも拡充していきます。日本のメーカーとの関係について言うと、ライセンス契約に留まらない提携関係も作りたいと考えています。

―― それは例えば共同開発とかいったお話でしょうか?

Albert LIU氏 それも含みますが、まだ具体的なお話にはなっていないですね。

―― その場合、日本メーカー側により強く望むのは、ゲームデザイン力ですか、IP(知的財産権。版権)ですか?

Albert LIU氏 最も重要なのはIPですね。日本には有名なゲームIP、映像IPが多くありますから。ただ、日本メーカーのクリエイティブ能力も確かに見逃せません。

――: では会場に展示されていたパブリッシングタイトル「アルテイル」にちなんだ質問を。これはガマニアジャパン経由でのお話だったのでしょうか?

Albert LIU氏 ガマニアジャパンの協力はいろいろな面で得ています。

―― 台湾で今後カードゲームは有望と見たということですよね。あるいはすでに盛り上がっていたりするのでしょうか?

Albert LIU氏 台湾におけるオンラインカードゲームマーケットは、日本に比べてずっと小さいのですが、新しいマーケットを作るつもりで持ってきました。

―― 先ほど台湾ではブラウザゲームが注目されているというお話がありましたが、それはどういった意味での注目なのでしょうか?

Albert LIU氏 各ゲーム会社は常に新しいビジネスモデルを探していて、普通のオンラインゲーム以外へのチャレンジが続いているわけです。ただし、現在のところまだ、ブラウザゲームに成功例といえるものはありません。

―― Gamaniaとして、「アルテイル」のパブリッシング以外に何かブラウザゲームの展開を考えていますか?

Albert LIU氏 ガマニアジャパンのもとに、1〜2本のプロジェクトがあります。またGamaniaの子会社であるTaiwan Indexでも、ブラウザゲームのプロジェクトが進んでいます。ただし、まだまだこれからのお話であって、いきなり大きな期待が懸かっているわけではありません。

―― ブラウザゲームに期待が集まる背景には、例えばNetBookの急速な普及があったりするのでしょうか? グラフィックス機能が弱くても、ブラウザゲームなら支障ないですし。

Albert LIU氏 いや、そこはそれほど影響しないかな、と考えています。どちらかというとプレイの場所とシチュエーション、従来のゲームが主として自宅でプレイされるものだったのに対して、ブラウザゲームなら仕事の合間の休憩時間にも、プレイできるといったことが重要だと思いますね。クライアントプログラムのインストールが必要だと、また違ってきてしまいますが。

―― いわゆる「カジュアルゲーム」より、もっとカジュアルだということですかね。在来型のゲームの話題に戻してしまいますが、韓国や日本では、「アラド戦記」や「モンスターハンター」シリーズという形で、MOタイプのアクションRPGが流行しています。台湾ではいかがでしょうか?

Albert LIU氏 オンラインアクションには、Gamaniaも注力しています。現在「Grand Chase」と「ゲットアンプド」をサービス中ですし、今年もMOアクションゲーム1本をリリース予定です。まだ契約を固めている段階なので公表できませんが。

―― それは日本製ですか、韓国製ですか?

Albert LIU氏 韓国製です。タイトルについてはノーコメントですが。

―― なんだか、これは割と良く知られているタイトルかなあ……という気がしてきました(笑)。それはさておき、格闘ゲームはどうですか? 昨年は台湾製の「Xblade Online」(流星Online)がちょっと話題になりましたが。

Albert LIU氏 現在のところそれほどマーケットは大きくないですが、今後は大いに発展の可能性があると見ています。

―― 台湾市場では依然として、カジュアルゲームが有力でしょうか?

Albert LIU氏 大幅な成長は見られませんが、悪くないといったところです。

―― ではMMOとカジュアル、現在台湾でより伸びているのはどちらでしょうか。

Albert LIU氏 2008年だとMMOのほうが大きく成長しました。台湾では2〜3年前に、カジュアルゲームの爆発的成長がありましたが、ここのところは10〜20%と落ち着いています。

―― 会場には「SPECIAL FORCE」の展示がありましたし、Gamaniaでは「カウンターストライクオンライン」が好調であるとすると、オンラインFPSは、現在有力なゲームジャンルでしょうか?

Albert LIU氏 wayiさんも当社も、FPSのマーケティングには力を入れていますね。その成果か、昨年はFPSマーケットがかなり成長したと思います。

―― 一方で最近台湾では、大陸中国のパブリッシャへのライセンス供与で収益を上げるメーカーさんも増えてきたと思います。Gamania作品の大陸中国サービスに関しては、すでに青写真が固まっていますか?

Albert LIU氏 まずは「仙魔道」からと考えています。

―― 少々遠回りな部分の質問となりますが、大陸中国とのビジネスを考えたとき、政権が国民党側に移ったことはプラス材料ですか?

(注)「台湾独立」を基本政策に掲げる民進党に対して、国民党はその歴史的経緯から、台湾と大陸を政治的に一体の地域と捉えてきた関係上、一般に大陸との交流や経済関係には、より積極的であるとされる。

Albert LIU氏 いや、政権交代による変化はとくにありませんでしたね。台湾作品が大陸中国で受け入れられるようになっているのは、ここ1〜2年で作品の質が上がり、数も増えたためでしょうね。

―― では今後Gamania自身が、開発のアウトソーシング先として大陸中国を活用していく予定はありますか?

Albert LIU氏 その可能性はあります。ただし、クリエイティヴの部分とゲームプレイ周りは台湾の制作陣を中心として、むしろ日本との提携関係を作っていきたいですね。逆に言うと大陸中国で考えられるのは、いまのところ制作実務の部分かと。

―― そもそも馬 英九総統の政権は、ゲーム産業をどう捉えているでしょうか?

Albert LIU氏 現総統はゲーム産業に対し、どちらかというとサポートしていく方針があるようです。

―― オンラインゲームは台湾にとって有望な外貨獲得手段となるのでしょうか?

Albert LIU氏 現段階ではそこまでいっていないと思います。ただし、台湾の政府はゲームのみならず、デジタル産業に対するサポートに大いに力を入れています。現状はともかく、今後はゲームとデジタル産業全般が、台湾における輸出産業、外貨獲得手段として伸びていくでしょう。

―― 一方でオンラインゲーム開発は、資金調達面からどうしても金融業界と深く関わっていかざるを得ません。現在の世界同時不況が、ゲーム会社の資金調達に影を落としている側面はありませんか?

Albert LIU氏 先ほど述べたとおり、台湾のゲーム産業は今回の不況の影響を受けていません。これは実に幸運でした。ですので、今後も開発のための投資を続ける方向で行きます。

 後編は引き続きAlbert LIU氏へのインタビューを元に、2009年の展望、そして「H108」「仙魔道」「ルーセントハート」の展開についてお届けします。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」