レビュー
» 2009年03月26日 00時00分 公開

ライバルが照らすアイドルたちの新たな魅力──携帯ゲーム機ならではの“燃えるアイマス進化形”「アイドルマスターSP」レビュー(3/3 ページ)

[中里キリ,ITmedia]
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シリーズ最大の楽曲数

 アイドルマスターの大きな魅力は、いうまでもなく楽曲の数々だ。アーケード版は10曲、Xbox 360版では16曲が使えたが、アイドルマスターSPでは既存の16曲に加え、さらに共通曲である「Colorful Days」と、各キャラクター専用曲が追加されている。専用曲は、コロムビアミュージックエンタテインメントから2007年に発売されたCD「MASTER ARTIST(以下、MA)」シリーズに収録されていたもの。さらにほかのキャラクターのMA曲も、PlayStation Storeから購入できるので、楽曲バリエーションは非常に幅広い。MA曲はアイドルマスターSP向けに新録しているので、持ち歌であればCDと聴き比べて変化を楽しむことができる。また、MA曲は元々各キャラクター専用に作られているので、曲調や音域も幅広い。別のキャラクターの楽曲を歌うことで、新たなイメージが引き出されているのも楽しめる。

photo 共通新曲の「Colorful Days」は全員が選択可能
photo CD「MASTER ARTIST」収録の楽曲は、それぞれの持ち歌はデフォルトで収録。ほかのキャラクターの持ち歌も、順次DLC(ダウンロードコンテンツ)として有料配信されている

 そして、逆の意味で新鮮なのが、961プロの響と貴音だ。まず、961プロの本来の持ち歌である「オーバーマスター」は、ステージで聴くことは残念ながらできない。が、ストーリープロデュースで3日目を終えると、社長が新たなライバルとして961プロのアイドルを紹介してくれる。その時にオーバーマスターが流れるので、ボタンを押さずに聞いていれば、ゲームサイズのオーバーマスターが最後まで堪能できる。シングルCDに収録されているのは3人バージョンなので、響、貴音、美希のソロバージョンが聞けるのは実は貴重だ。

 そして、ゲーム中である条件を満たすと、響、貴音、美希の3人が事務所モードに呼び出せるようになる。事務所モードでは961プロの3人もアクセサリーの着せ替えと楽曲の変更ができるので、オーディションを勝ち抜けば、既存の16曲+「Colorful Days」を、すべて3人に歌わせることができるのだ。通信オーディションはソロでも開催可能なので、楽曲とアクセサリーでバランスのいいパラメーターにし、満点を取れるぐらいのオーディションならば、高い確率でアクシデントなしのPVが撮影できる。アイドルマスターSPでは事務所モードでも30曲分のライブビデオが保存できるので、気に入った曲は保存しておけばいいだろう。

photophoto 事務所モードでは、条件を満たせば961プロのアイドルたちが登場。オーディションに合格すれば、ほかのアイドルたちと同じようにライブを鑑賞し、ビデオや写真を保存できる

 響は「オーバーマスター」のハマり具合を見れば分かる通り、当然、「エージェント夜を往く」や「relations」といったクールなダンスナンバーとの相性は抜群。ステージを降りた元気で前向きな響が良ければ、「太陽のジェラシー」や「ポジティブ」がオススメだし、イメージにピッタリな「おはよう朝ご飯!!」、掟破りの「Colorful Days」も、前向きな歌詞と正拳突きやキメポーズの辺りなどは、まるで響にあつらえたようにハマる。だが個人的には、「まっすぐ」や「思い出をありがとう」などのしっとりしたボーカル曲で見せる響の歌声の透明さが、新しい一面を見つけた感じで非常に気に入っている。

 そして、961プロのボーカル担当である貴音だ。才能の塊な設定である961プロの中でもボーカルに秀でた存在だけに、貴音の歌はかなりのレベル。基本的にアイドルマスターの歌の傾向として、“キャラクターの側に歌を引きよせ、歌い方によってキャラクターを表現する”ニュアンスが強い。しかし貴音に関しては、かなり各歌の側に合わせて演技や歌の表情をつけている感じがあり、歌の引き出しが非常に多彩で、しかも巧い。流石は銀色の王女という感じだ。どの曲も安定しているだけに全部聞いてみて、と言いたいところだが、だからこそ正統派のアイドルソング、中でも歌詞のイメージがバッチリとハマる「魔法をかけて!」や、めいっぱいカワイイ系に針を振った「私はアイドル」がオススメだ。

 美希に関しては、基本的にXbox 360版でおなじみの楽曲の数々。だが、美希の唯一の新曲である「Colorful Days」は、ストーリープロデュースのプレイ後、美希がこの曲を歌っていることを噛みしめながら聴いていると、ちょっと泣いてしまいそうになるので注意が必要だ。

 楽曲の話に付け加えると、今までのアイドルマスターシリーズで、常に挙げられていた“ビデオやライブ写真の保存枠が足りない”という要望が、各キャラクターに30枠ずつ+事務所にも30枠と、これでもかと叶えられていることも見逃せない。この辺りは、メモリースティックを保存媒体に気軽に使えるPSPならではだろう。

コミュニケーションツールとしてのアイドルマスターSP

 最後にPSPならではの要素として挙げておきたいのが、当たり前だがどこでもできるプレイ環境の自由度の高さだ。最近では筆者も、アイドルマスターSP用にPSPを必ず携帯するようになった。先日もアイドルマスターの声優さんが出演しているライブ会場を訪れた時、開演前・終演後はプロデューサーたちによる名刺交換の輪があちこちで見られた。5月には東名阪福のライブツアーが決定しているアイドルマスターだが、ライブ会場では事務所モードが全部屋満員、などという風景が見られるのではと期待しているところだ。

photophoto 各キャラクターごとの「あいさつ」の応酬やオーディションで楽しんだ後は、プロデューサー名刺を交換しよう

 ネットワークを介しての対戦も熱いが、やはり知り合いと対面してライブでオーディションを戦えるのは非常に楽しい。個人的には各ジャンル1位しか星がもらえないため、思い出ボムの駆け引きが熱い「HIT-TV」が遊びの対戦では一番盛り上がるのではないかと思う。

 長々と書いてきたが、アイドルマスターSPは敷居が低く、ストーリーとシステム回りを充実させ、初めて触れるプレイヤーにも熟練プレイヤーにも楽しめる非常にバランスのいい作品に仕上がっている。これまで興味はあったが所有ハードの関係や、なんとなくの気分で乗り遅れていたプレイヤーには、ぜひ一度触ってほしいタイトルだと自信を持って勧めたい。

(C)窪岡俊之 (C)2003-2009 NBGI


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