「龍虎の拳」は100メガショックと言わざるを得ないゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/3 ページ)

» 2009年05月01日 15時06分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

「『覇王翔吼拳』を使わざるを得ない」

 「龍虎の拳」(SNK)は、1992年にネオジオで登場した対戦格闘ゲーム。SNKでは、ちょうど1年前に発売された「餓狼伝説」が人気となっていたが、「龍虎の拳」は「餓狼伝説」とはまた違った、数々の特徴を持っている。

 まずもっとも目立つ特徴は、キャラクター同士の距離が離れると、カメラが引くように遠くから見たグラフィックになり、近づくと、寄りの映像になること。ネオジオの性能の高さと、豊富なデータ量があってこその演出といえるだろう。

Wiiバーチャルコンソールで撮影。お互いの距離が離れると、キャラはこれだけ小さくなる
近づくとこんなに大きくなって、迫力満点。ダメージを受けると顔がはれていくのも衝撃的だった

 ゲームシステム面では、各キャラクターに、体力のほかに気力というパラメータ(能力値)が設定されていることが特徴的。必殺技を使うごとに気力が減っていき、気力がなくなると必殺技が出せなくなったり、極端に弱くなったりする。いわば必殺技が、RPGの魔法のような存在になっているのだ。減った気力は、パンチかキックのボタンを押し続けると回復するが、当然その間は無防備になってしまう。

 こういうシステムなので、むやみやたらと必殺技を連発できない。そのかわり必殺技の威力は高く、当てると相手の体力をかなり減らせる。

 もう1つ特筆すべきは、“超必殺技”の存在。通常の必殺技より難しいコマンドと強い威力を持つ、超必殺技「覇王翔吼拳」が存在する。ただし、1人プレイでは最初から覇王翔吼拳を使うことはできず、ゲーム中のボーナスエリアで、ミニゲーム「超必殺技伝授」に成功してから使えるようになる。

 さらにその上に、「龍虎乱舞」という隠し超必殺技まであった。発売当初は、龍虎乱舞のコマンドを発見したプレイヤーに、オリジナルトランプをプレゼントするというキャンペーンがあった。

体力ゲージの下にあるのが気力ゲージ。Dボタンを押すと相手を挑発し、相手の気力を減らすことができる
超必殺技伝授では、覇王翔吼拳のコマンドを制限時間内に規定回数入力できれば成功となる

「くやしいけれど……私の負けよ……」

ストーリーモードでは1人倒すたびに、次の場所への移動シーンが挿入される。この写真のセリフは最近、パロディーに使われて話題となっている

 対戦格闘ゲームにしてはストーリー性が強いのも、「龍虎の拳」の特徴だ。特に1人プレイは「ストーリーモード」と名づけられており、登場する10人のキャラクターのうち、主人公格2人のどちらかしか選べない。“無敵の龍”リョウ・サカザキと、“最強の虎”ロバート・ガルシアだ。2人は、何者かにさらわれた、リョウの妹・ユリを探すことになる。

 情報を聞き出すには、相手と戦って勝たなくてはならない。リョウの必殺技は、飛び道具の虎煌拳と、相手にパンチを連打する暫烈拳。ロバートの方は飛び道具の龍撃拳と、キックを連打する幻影脚。さらに2人共通の必殺技として、飛び蹴りの飛燕疾風脚、対空パンチのビルドアッパー、そして前述の超必殺技、覇王翔吼拳と龍虎乱舞がある。

 ……“無敵の龍”の必殺技が“虎煌拳”で、“最強の虎”の必殺技が“龍撃拳”。逆じゃないのか? と当時よく言われた。一応、「虎をうやまう拳」「龍を撃つ拳」なんだそうだ。

 ストーリーモードではまず、古武術を使う日本人ストリートファイター、藤堂竜白(りゅうはく)と対決。必殺技は重ね当て1つだけだが、この時点ではリョウ、ロバートも覇王翔吼拳が使えないので意外ときつい。

 続いて、不良グループBLACK CATのボスで巨漢のジャック・ターナーを倒すと、ボーナスエリアに入る。ここで覇王翔吼拳を覚えられる。次は仮面の拳法家で漢方医のリー・パイロン。

 その次は、レストラン「ラ・モール」の用心棒でムエタイ使いのキング。キングが地上にいるときに必殺技でKOすると、キングの衣服が破れ、女性であることが明らかになる。

重ね当てひと筋の藤堂竜白。この技に集中して鍛錬しているだけあって、重ね当てはけっこう強い
キングを必殺技でKOするとこうなる。“脱衣KO”と呼ばれた
普通のKOと必殺技KOとでは、戦闘後のキングのグラフィックやセリフも変わる

 さらに、ボクサーのミッキー・ロジャース、海軍教官のジョン・クローリーに勝つと、遂に黒幕のMr.ビッグと戦うことになる。2本の棍棒を使う強敵だ。そしてMr.ビッグを倒すと、最後に、Mr.カラテと名乗る、天狗の面をつけた空手家との戦い。リョウやロバートとよく似た技を使うMr.カラテは強敵だけど、勝利すればユリを救出できる……はず。

リョウやロバートが各キャラクターと戦う前の会話、というか挑発合戦も見ものだった
Mr.ビッグはクロスダイビングなどの必殺技を持つが、「龍虎の拳」ではまだジャンプができなかった
Mr.カラテが、なぜリョウやロバートと似た技を使うのかは、「龍虎の拳2」などで明らかになる

「その人は……その人は、私たちの……」

 「龍虎の拳」は現在、Wiiのバーチャルコンソールで配信されている。わたしもダウンロードしてプレイしてみた。昔けっこうこのゲームが好きだったのだが、今やってみるとかなり難しくて、なかなか先のステージへ進めない。

 バーチャルコンソール版は、家庭用ネオジオ版を移植したものだから、コンティニューは3回までしかできない。難易度は4段階から選べるのだが、イージーレベルでプレイしても、Mr.ビッグあたりでコンティニュー回数が尽きてしまった。エンディングを見ていないから、さっき「勝利すればユリを救出できる……はず」と書いたのだ。

プレイステーション 2版の画面。Wiiバーチャルコンソール版にあった、残りクレジット数(コンティニューできる回数)の表示がない

 しかし何とかエンディングを見たいので、プレイステーション 2版を買ってきた。「龍虎の拳」のPS2版「龍虎の拳〜天・地・人〜」は、「ネオジオオンラインコレクション」の1作として、2006年にSNKプレイモアから発売された。「龍虎の拳」と、続編の「龍虎の拳2」「ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝」がセットになっている。

 こちらではコンティニュー回数に制限がない。何度も何度もやられてはコンティニューを繰り返し、遂にMr.カラテ戦にこぎつけた。……でも、何度やってもMr.カラテが倒せない。

 Mr.カラテの写真が撮れたからいいか、とも思ったが、何とかエンディングを見たいので、今度はスーパーファミコン版をプレイ(発売元:ケイ・アミューズメントリース)。人気の高かった「龍虎の拳」は、当時の家庭用ゲーム機に次々と移植された。スーパーファミコン版のほか、メガドライブ版、PCエンジン版もある。

 スーパーファミコン版の特徴は、すべてのキャラクターに隠し超必殺技があることと、Mr.ビッグとMr.カラテが無条件で使えるということ(ネオジオ版でこの2人を使うには、ある条件を満たすことが必要だった)。

 そしてもう1つ、ネオジオ版との大きな違いがある。エンディングだ。ネオジオ版では、リョウまたはロバートがMr.カラテにとどめを刺そうとしたところで、ユリが止めに入り、「その人は、私たちの……」と言いかけたところで終わってしまう。

 それに対しスーパーファミコン版では、Mr.カラテの正体が、リョウとユリの父・タクマであることが明かされ、タクマが「餓狼伝説」の最終ボス、ギース・ハワードに利用されていたことが分かる。スーパーファミコン版は、ネオジオで「龍虎の拳2」が登場する前に発売されたので、「龍虎の拳2」での設定とは、ほんの少し違いがある。

スーパーファミコン版の画面。16メガビットだが、一応ズームイン・ズームアウトも再現されている
エンディング画面。ここまではネオジオ版と共通だが……
スーパーファミコン版ではその後、Mr.カラテ(タクマ)の口から事件の全貌が語られる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた