「Project Natal」は発明? 稲船氏、小島氏、名越氏がマイクロソフトの新システムを語るTGS2009

立体的な動きを感知するマイクロソフトの新システム「Project Natal」に関するパネルディスカッションが開かれた。Project Natalでゲームはどう変わるのか?

» 2009年09月25日 05時49分 公開
[遠藤学,ITmedia]
photo

 立体的な動きを感知することにより、コントローラーを必要とせずにゲームを遊ぶことができるマイクロソフトの新システム「Project Natal」(以下、Natal)についてのパネルディスカッションが開催。本ディスカッションには、カプコンの常務執行役員 開発統括本部長である稲船敬二氏、コナミデジタルエンタテインメントの専務執行役員 小島プロダクション監督である小島秀夫氏、セガのR&Dクリエイティブオフィサー CS研究開発統括部 統括部長/チーフプロデューサーである名越稔洋氏に加え、司会進行役としてマイクロソフトの執行役常務 ホーム&エンターテイメント事業本部長である泉水敬氏が登場した。

 冒頭、あいさつに立った泉水氏は、稲船氏、小島氏、名越氏が一堂に介したことを“奇跡的なこと”と表現。日本を代表するトップクリエイター3名がNatalに興味を持っていることに対し、喜びを感じているようだった。


photophoto (左から)泉水敬氏、稲船敬二氏

photophoto (左から)小島秀夫氏、名越稔洋氏

 まずはNatalを最初に見た時の印象から話がスタート。「見た瞬間にセンサーというのは分かったが、なぜマイクロソフトがセンサーを出すんだろうという気持ちがあった」と名越氏が語れば、稲船氏は「すごく忙しい時期だったので、これでしょうもないものだったら怒ってやろうと思っていた。ただ、(見て)びっくりしましたね。多分こうだろうなと勝手に想像していたものよりも、はるかに上だった。怒れませんでした(笑)」とコメント。小島氏も「とにかく衝撃でした。2Dが3Dになった時やファミコンを初めて遊んだ時と同じぐらい。魔法じゃないかなと思った」と話していた。

 続いて話題はNatalが持つ将来の可能性に。ここでは名越氏が「過去に完成していたものをもう一回、新しいコンテンツとして提供できるチャンスがある」、小島氏が「Natalはゲームだけに留まらず、将来的にはライフスタイルを変えるほどのパワーを持っている」、稲船氏が「ファミコン時代と比べてゲームは恐ろしく進化しているが、操作という部分ではグラフィックに比べて遅れていたと思う。Natalは“感情”という要素をゲームに取り入れられる可能性がある」とコメント。稲船氏の語る“感情”というキーワードには名越氏も心を動かされたようで、「日本人は引っ込み思案ですけど、Natalによって日本人の感情表現が変わってしまうかもしれませんね」と応じていた。

 また、Natalは直感的に操作できるためか「カジュアルゲームは当然出てくる」と小島氏。ただ、小島氏自身はコアなゲームユーザーにアプローチしたいと考えているようで、「Natalを使って誰よりも早く良いものを作りたいと思いますけど、これまでのユーザーを置いていきたくない。車でいえば、いきなり飛行機になってしまうのではなく、空飛ぶ車ぐらいのイメージで作りたい」と語ってくれた。

 なお、稲船氏、名越氏も小島氏と同じ考えのようで、それぞれ「(これまでのユーザーが)驚きすぎてもダメだけど、期待するある程度のものは入っていないといけない。距離感を大事にしながら面白さを示していきたい」(稲船氏)、「いきなりボンッと渡すのではなくて、ステップを踏んで理解してもらえるような形にできればスムーズにいくのではないか。そういう意味では既存ユーザーも育てなければいけない」(名越氏)とコメントしていたのが印象深かった。

photo

 Natalでゲームの作り方は変わるのか? という泉水氏からの質問に対しては、稲船氏が「考え方次第だと思う」と回答。曰く「(クリエイターの力の)差が出るデバイスなので、単純に“(体を)こう動かせば”ということだけを考えてしまうと面白くないものになる。そこで先ほど言った感情を取り入れようと考えれば、まったく違ったゲーム性が生まれる。目に見えないだけで“上ならYボタン、右ならAボタン”では面白くない」とのこと。名越氏も同じ意見のようで「作るものに対するハートの差が出る。良いものを作ろう、伝えようという気持ちが強い人が、より良い形でゲームを生み出せるデバイスだと思う」と話していた。

 本ディスカッションではこのほか、「コントローラは両手が必要となるため、手が不自由な人などは遊べなかった。これまでゲームを遊べなかった人たちにも親切なのがNatal」(稲船氏)、「エンターテインメントだけでなく、医療やソロバンなど、Natalは何にでも使える」(小島氏)といった意見が飛び出した。特に小島氏はNatalを“発明”と言い切るほどの熱の入れようで、「僕らがサンプルなので、失敗すれば(医療やソロバンに利用する)未来がなくなってしまう」とまで語っていた。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/18/news071.jpg 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  2. /nl/articles/2503/20/news115.jpg 「いつの間に……」 大谷翔平、試合後の「ひざの状態」にファンに衝撃 「ボロボロ」「すごさを物語っている」
  3. /nl/articles/2503/20/news026.jpg プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが550万再生「凄すぎて笑うしかないw」「チーズが、、、」 話題になった作者に話を聞いた
  4. /nl/articles/2503/19/news126.jpg 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  5. /nl/articles/2503/19/news030.jpg 19万8000円で購入した超高級魚を、4年間育てたら…… ド肝を抜く“大変化”に「どんどん色が」「すごい」
  6. /nl/articles/2503/20/news046.jpg 【ワークマン】一体なんだこれは…… 衝撃的な“1500円Tシャツ”に反響 「すごく良い」「発想が面白い」
  7. /nl/articles/2503/19/news019.jpg 水族館のイカに“指でハート”をしてみたら… “まさかのお返し”が190万表示「こ、こんなことあるのか」
  8. /nl/articles/2503/20/news112.jpg 「なんでこれ使った」 ドジャース公式が“日本人3選手”の勇姿を投稿→よく見ると…… まさかの「違和感」に「誰かわからんかった」
  9. /nl/articles/2503/20/news009.jpg 「もうこりごりだ〜」 財布に新紙幣を入れたら…… “まさかのビジュアル”に爆笑 「昭和アニメのオチかな?」 投稿者に話を聞いた
  10. /nl/articles/2503/17/news040.jpg 毎日庭に来るインコから、ある日渡された“贈り物”とは…… 「号泣した」まさかの正体に「まるで何かの物語のよう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 雑草ボーボーの運動場に“180羽のニワトリ”を放ったら…… 次の日、まさかの光景に「感動しました」「すごい食欲」
  2. 40歳・女性YouTuber「18年間、脇毛を処理していない」→“処理しない理由”語る 「脇のみならず……」
  3. 「恩師ビックリするやろなぁ」 中学3年で付き合い始めた“同級生カップル”が10年後…… まさかの現在に反響
  4. 使わない靴下をザクザク切って組み合わせると…… 目からウロコの再利用法が2500万再生「とてもクリエイティブ」【海外】
  5. ペットのカエルを土に埋め、約半年間放置→掘り返してみたら…… 「すげぇ」予想外の結末に「ほんと不思議」
  6. 「絶対当たったわこれ」→「は?」 ガリガリ君の棒に書かれていた“衝撃の文章”に「そうはならんやろ」 投稿者に当時の思いを聞いた
  7. コメダ珈琲店で「軽い食事」を注文 → 出てきた“まさかの実物”に思わず大仰天 「逆詐欺ですね」「軽食という名の主食」
  8. 最恐雑草“ヤブガラシ”根元をハサミでチョキッと切ると…… “驚愕の結末”に「すごい」「知りませんでした」
  9. 「笑い過ぎて涙が」 小学生次男、宿題で先生に不正を疑われる→まさかの原因が530万表示 「じわじわくる」 投稿者に話を聞いた
  10. 大阪梅田駅で撮影された“奇跡のような光景”に「今まで見たことない」「本当に贅沢な眺めだ」 全ホームにマルーンカラーが整列
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に