「Project Natal」は発明? 稲船氏、小島氏、名越氏がマイクロソフトの新システムを語る:TGS2009
立体的な動きを感知するマイクロソフトの新システム「Project Natal」に関するパネルディスカッションが開かれた。Project Natalでゲームはどう変わるのか?
立体的な動きを感知することにより、コントローラーを必要とせずにゲームを遊ぶことができるマイクロソフトの新システム「Project Natal」(以下、Natal)についてのパネルディスカッションが開催。本ディスカッションには、カプコンの常務執行役員 開発統括本部長である稲船敬二氏、コナミデジタルエンタテインメントの専務執行役員 小島プロダクション監督である小島秀夫氏、セガのR&Dクリエイティブオフィサー CS研究開発統括部 統括部長/チーフプロデューサーである名越稔洋氏に加え、司会進行役としてマイクロソフトの執行役常務 ホーム&エンターテイメント事業本部長である泉水敬氏が登場した。
冒頭、あいさつに立った泉水氏は、稲船氏、小島氏、名越氏が一堂に介したことを“奇跡的なこと”と表現。日本を代表するトップクリエイター3名がNatalに興味を持っていることに対し、喜びを感じているようだった。
まずはNatalを最初に見た時の印象から話がスタート。「見た瞬間にセンサーというのは分かったが、なぜマイクロソフトがセンサーを出すんだろうという気持ちがあった」と名越氏が語れば、稲船氏は「すごく忙しい時期だったので、これでしょうもないものだったら怒ってやろうと思っていた。ただ、(見て)びっくりしましたね。多分こうだろうなと勝手に想像していたものよりも、はるかに上だった。怒れませんでした(笑)」とコメント。小島氏も「とにかく衝撃でした。2Dが3Dになった時やファミコンを初めて遊んだ時と同じぐらい。魔法じゃないかなと思った」と話していた。
続いて話題はNatalが持つ将来の可能性に。ここでは名越氏が「過去に完成していたものをもう一回、新しいコンテンツとして提供できるチャンスがある」、小島氏が「Natalはゲームだけに留まらず、将来的にはライフスタイルを変えるほどのパワーを持っている」、稲船氏が「ファミコン時代と比べてゲームは恐ろしく進化しているが、操作という部分ではグラフィックに比べて遅れていたと思う。Natalは“感情”という要素をゲームに取り入れられる可能性がある」とコメント。稲船氏の語る“感情”というキーワードには名越氏も心を動かされたようで、「日本人は引っ込み思案ですけど、Natalによって日本人の感情表現が変わってしまうかもしれませんね」と応じていた。
また、Natalは直感的に操作できるためか「カジュアルゲームは当然出てくる」と小島氏。ただ、小島氏自身はコアなゲームユーザーにアプローチしたいと考えているようで、「Natalを使って誰よりも早く良いものを作りたいと思いますけど、これまでのユーザーを置いていきたくない。車でいえば、いきなり飛行機になってしまうのではなく、空飛ぶ車ぐらいのイメージで作りたい」と語ってくれた。
なお、稲船氏、名越氏も小島氏と同じ考えのようで、それぞれ「(これまでのユーザーが)驚きすぎてもダメだけど、期待するある程度のものは入っていないといけない。距離感を大事にしながら面白さを示していきたい」(稲船氏)、「いきなりボンッと渡すのではなくて、ステップを踏んで理解してもらえるような形にできればスムーズにいくのではないか。そういう意味では既存ユーザーも育てなければいけない」(名越氏)とコメントしていたのが印象深かった。
Natalでゲームの作り方は変わるのか? という泉水氏からの質問に対しては、稲船氏が「考え方次第だと思う」と回答。曰く「(クリエイターの力の)差が出るデバイスなので、単純に“(体を)こう動かせば”ということだけを考えてしまうと面白くないものになる。そこで先ほど言った感情を取り入れようと考えれば、まったく違ったゲーム性が生まれる。目に見えないだけで“上ならYボタン、右ならAボタン”では面白くない」とのこと。名越氏も同じ意見のようで「作るものに対するハートの差が出る。良いものを作ろう、伝えようという気持ちが強い人が、より良い形でゲームを生み出せるデバイスだと思う」と話していた。
本ディスカッションではこのほか、「コントローラは両手が必要となるため、手が不自由な人などは遊べなかった。これまでゲームを遊べなかった人たちにも親切なのがNatal」(稲船氏)、「エンターテインメントだけでなく、医療やソロバンなど、Natalは何にでも使える」(小島氏)といった意見が飛び出した。特に小島氏はNatalを“発明”と言い切るほどの熱の入れようで、「僕らがサンプルなので、失敗すれば(医療やソロバンに利用する)未来がなくなってしまう」とまで語っていた。
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(左から)泉水敬氏、稲船敬二氏
(左から)小島秀夫氏、名越稔洋氏