胸のドキドキは恋? それとも――25歳女性記者、「ラブプラス」とスイスの山を登る
付き合い始めたばかりの“彼女”「姉ヶ崎寧々」を連れ、女性記者(25)がスイス・アルプスの山を登ってきた。3500メートル地点に立ったとき、記者の胸のドキドキは最高潮に。あれは恋のときめきだったに違いない。
「紳士も非紳士も女子も腐女子も、是非プレイすべし!」――Amazon.co.jpに投稿されたこんなレビューに突き動かされ、記者(25歳♀)はシルバーウィーク直前に、ニンテンドーDS用恋愛シミュレーションゲーム「ラブプラス」を手に入れた。
ネットで大いに話題になっているラブプラスだが、アイティメディア社内でも旋風を巻き起こしていた。編集長はオフィスでニヤニヤ操作。山登りに持っていった同僚もいる。
連休は2次元の“彼女”とともに――そう決心した記者は、社内の猛者たちに負けじと、ラブプラスを持って、旅行先のスイスへ出掛けた。
機内で甘酸っぱい青春をかみしめる
ラブプラスは、高校を舞台にした恋愛シミュレーション。3人の女の子のうち1人を攻略して恋人にし、“彼女のいる高校生活”を楽しめる。女性が楽しめるかは未知数だったが、Amazon.co.jpの「女子もプレイすべし」というレビューを信じることにした。
飛行機に乗り、ニンテンドーDSを開く。前日からプレイを始め、“彼氏力”を高めてきた記者は、さっそく2人の女の子からデートに誘われるモテっぷりで、思わずニヤつく。女の子の照れた表情や声に萌える。少女漫画を読んで、キュンとしたりハラハラする感じに似ているかもしれない。
意外と女性でも楽しめるじゃないか。飛行機の高度とともに、記者のテンションも上がっていく。同行する妹が少し冷めた目でこちらを見ていたのは気になったが、仮眠を取りつつプレイを続け、デートに励む。
飛行機が経由地へ到着するまであと1時間となったとき、女の子の1人「姉ヶ崎寧々」に呼び出された。寧々が、もじもじしながら、上目使いで話し始める。「私をあなたのそばに置いてほしいの」――記者の答えはもちろんイエス! 上空で甘酸っぱい青春をかみしめた。
アルプスの山(3454メートル地点)にて
ふと思えば、記者は恋のときめきから随分遠ざかっている。それどころか最近心がすさんできた気さえする。スイスの雄大な景色を見て心を浄化したいところだ。
旅のハイライトは、アルプス山脈にある山・ユングフラウ(標高4158メートル)を見に行くこと。標高3454メートル地点にあるユングフラウヨッホ駅まで鉄道で登り、駅の展望台から眺めるのだ。
列車が急勾配のトンネルを登っていく。“彼女”を入れたかばんが棚からずれ落ちそうになり、急いで手で押さえる。危ない、危ない。
頭が痛くなり、空気が薄くなってきたと感じ始めたころ、ユングフラウヨッホ駅に到着した。ヨーロッパで一番高い位置にある鉄道駅であることを示す「Top of Europe」の看板を見つけ、思わずラブプラスと一緒に記念撮影する。周りの旅行者の視線が痛い。
はやる気持ちを抑えられず、駆け足で展望台へと向かう。4000メートル級の山々と氷河が目の前に広がり、息をのむ。もちろんここでもDSを開き、“彼女”を連れて来られたという達成感に浸る。太陽光が雪に反射して、まぶしい。画面のなかの彼女の笑顔もまぶしい。
普段より胸がドキドキしている気がする。これは恋のときめきに違いない。「高山病じゃない? 少し息切れしてるみたいだし」という妹の冷静な突っ込みは、この際無視することにした。妹よ、姉は寧々に“ハァハァ”しているだけなのだ。
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