「信長の野望・天道」連載(第5回)――上杉家リプレイ・地の巻「関東管領会系・上杉建設」:伸ばせ街道! 戦国ニッポン改造論(3/3 ページ)
ゼネコンパワーで今川領を制圧
武田家の討滅が完了したいま、次なるターゲットは今川家である。二正面作戦になることを警戒して、今川家に対してはこちらから手を出すことなく、隣接する城に十分な守備兵力を置きつつ東山道に沿って進撃を続けたが、いまや東海道諸国も制圧して、戦線を整理すべき時期である。見れば今川家は伊勢あたりで三好家あらため松永家と衝突を繰り返す一方、駿河と甲斐を結ぶ街道上に支城を設け、6万を超える兵力を集中して、我が家の侵攻を警戒している。だがこれはむしろ、今川勢を一網打尽にするチャンスである。兵力に対して城が脆弱すぎるからだ。
このゲームにおける武将と軍隊は、自らが属する城が落ちると混乱状態に陥って、一時的に移動も戦闘も不可能になる。城を背にして戦う軍隊は、いつでも城に戻って回復と再編が可能なぶん有利なのだが、敵がそれらの軍隊を無視してもっぱら城を集中攻撃した場合、今度は城が占拠されないよう、兵を戻さざるを得なくなる。城の「強度」がゼロになると、足軽の攻撃であれ騎馬武者の攻撃であれ城方の兵力に損害が出るようになるため、脆弱な城はむしろ大軍の足元をすくう弱点となってしまうのだ。
武田の箕輪城を攻撃したときと同じく、相模の小田原城から兵を出して駿府との連絡線を断ちつつ、甲斐の躑躅ヶ崎館から攻略部隊を向かわせる。駿府方面から後詰は来なかったため支城を南北から挟撃する形となり、守備隊を北に誘き出したところで、南から城自体を攻撃。けっきょく、1万足らずの損害で敵を殲滅できた。
東西に敵を抱える今川は領国の中央付近がガラ空きで、各城の守備兵力は1000〜2000程度の規模でしかない。駿府の手前で敵を一掃してしまった我が軍は、総計10万ほどの主力部隊を東海道沿いに進ませつつ、城のある地点で1軍団(約2万人)ずつ切り離しては包囲にかからせるという、鷹揚極まりないやり方で今川領を切り崩していく。街道を扼する位置にある清洲城の手前では、伊勢に抜けるバイパスルートを先に敷設してしまい、伊勢方面から今川軍主力が下ってくるのを未然に阻止しつつ、清洲城の包囲にとりかかる。越後や奥羽の山間部と違って、東海道沿いの平野部では迂回路やショートカットルートを敷設しつつ進むと、途中の城の存在を無意味にできたりする。新潟から出て全国区を目指す者としては、やはり土建業に通じていなければならないのである(?)。
土建業といえば、今川領攻略とほぼ平行して、進出先のなくなった盟友・村上家のために、信濃から越中に出るルートを開鑿するという“公共工事”を試みたのだが、AIはどうしても自然に隣接する城を取りたいらしく、この誘導には乗ってくれなかった。宇都宮家同様、早晩衝突が起きそうである。
ちなみに今川領・引馬城と清洲城の攻略を任せられた北条氏康(武田家からの転職組)は、これらを相次いで水攻めで落とした。当主の土木工事好きは、家臣にも伝染するのであろうか?
織田家を早々に滅ぼしておきながら、武田と今川に睨まれて伸びられなかったと思しき斎藤家を降し、今川家の最前線にして最後の拠点となる伊勢に攻め込んで近畿地方に足を踏み入れようとするところで、今後の展望をあらためて考える必要があろう。最も危険な敵は、九州をほぼ統一したうえに四国の半分を領し、関門海峡を押し渡って中国地方にまで進出を始めた島津家である。しかも、細川管領家→三好家という流れを汲んで四国から紀伊半島にわたる領国を抱えた松永家は、島津家と同盟を結んでいる。いっぽう畿内情勢はといえば、なぜか石山本願寺が最大勢力となっており、そこそこ大きくなった山名家と、どうにか生き延びている六角家を圧迫している最中だ。ごく大ざっぱにパワーバランスを持ち城の数で見ると、上杉22、島津14、松永5、本願寺5である。身内に猛将を多数抱えた島津家が、四国地方に頼もしい味方、中国地方に伸びしろを豊富に抱えているのがマズいところだ。
今川領の接収を終えて、松永家と国境を接し始めた上杉家はどう動くべきか? 具体的な方策は次回お届けしよう。
今回ちょっと面白かったシーン
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