「信長の野望・天道」連載(第6回)――上杉家リプレイ・人の巻「しょ、将軍になりたかったなあ……」:伸ばせ街道! 戦国ニッポン改造論(2/4 ページ)
そうこうするうち、島津家はついに近畿地方に到達し、予想どおりすみやかに本願寺領を接収、主力が越前まで進んだところで、我が領地となった近江と隣接することに。そろそろ島津に打撃を与えておかないとまずい。鉄砲の戦は数の戦であって、敵に成長を許したら終わりだ。ましてや相手は島津家、鉄砲の時代となったいまは上杉家に勝る「質」の軍隊である……。そこで北近江の小谷城に20万近い兵力を集め、本願寺勢を追って加賀を目指す島津軍の背後を遮断、越前・一乗谷で決戦を強いた。8万の島津勢は十分に厄介だったが、この日のためにコツコツと整備した騎馬鉄砲隊、8個軍団・20万が筒先を揃えて鉄砲を放てば、戦闘そのものはあっけなく終了する。質で劣る以上、圧倒的な数で主導権を握るしかなく、これは以降の対島津戦の基本戦略となる。
ちなみに純粋な興味の問題として、この戦闘の直前でゲームをセーブし、おのおのの武将が最も得意とする兵科で軍隊を編成、武将の「戦法」を重視した状態で攻撃をかけてみたのだが、これはもう惨憺たる敗北であった。騎馬武者や足軽向けの技術研究をほとんど行っていないせいもあったとは思うが、やはり焦点のはっきりしない武将任せの戦い方では、鉄砲に特化した島津軍に太刀打ちできない。たとえ兵力が倍でも、である。
それはともかく。この一戦で島津の近畿遠征軍を崩壊させた我が軍は、要所に兵を置いて本願寺勢を封じ込めつつ、丹後経由で中国地方に攻め込む。島津討伐戦のスタートである。播磨から西では山陰道から山陽道にも進出して、本州側は上杉家みずからの担当正面とする。といっても、鈴木家の兵力ではまだまだ四国には出られないのだが。
AIを以ってAIを制する同盟戦略
そしてここで、島津家は驚くべき決断を下す。なんと松永家と手を切って、松永領の奪取にかかったのである。おそらく近畿における本願寺領奪取を上杉に阻止されたことに対応した、ドラスティックな新戦略ということだろう。現状で我が上杉と正面からぶつかるだけの物量がないため、上杉の手がまだ届かない中国地方西部や四国で領地を拡大しようというハラだ。なんとも気の毒な松永家と手を組むことも考えたが、それは向こうからお断りらしいのでどうしようもない。我が家としては予定どおり粛々と島津領の奪取を続けるのみである。
立場をかえて鈴木家から見ると、これは願ってもないチャンスである。松永家が島津の攻撃に耐えるべく兵を動かせば、鈴木家周辺はどうしても手薄になる。そこを衝いて鈴木家は四国に進出を試みる。そうした事態に対応して我が家でも、旧石山本願寺に有力な親族武将である長尾政景を置き、いつでも援軍が派遣できる態勢をとった。島津に見限られた松永家を攻める理由は何もないのだが、ほどなく松永家は滅ぼされるであろうし、鈴木家には義理がある。仮にも鈴木重秀(雑賀孫一)のところに嫁を送り込んでいる立場なのだから。
西国勢同士が手切れとなった段階で、松永のみならず島津とも同盟の可能性を探ってみるが、けんもほろろの対応である。まあ、それはそうだろうとも思う。松永領が島津に、島津領が上杉に蚕食される状況は、基本的に誰もどうすることもできない。そうこうするうちに我が家は中国地方を制覇して、関門海峡経由で九州へ。軍団の配置としては畿内に親族の長尾政景、四国との海上交通を扼する芸備地方(広島/岡山)の押さえに世継の上杉景勝、そして九州遠征には当主の上杉謙信が当たるという、なんとなく説得力がありそうな体制が出来上がった。松永家はいつの間にやら滅ぼされて、四国は島津と鈴木が鎬を削る土地となっている。
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