「torne」はテレビの未来を変える黒船か? 「torne」体験会で見たこと、感じたことtorne(トルネ)体験会(5/5 ページ)

» 2010年01月22日 08時30分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
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コンセプトは「ホームエンターテイメントの幅をいかに広げるか」

「torne」開発の中心人物とも言える3名。左から、西沢氏、石塚氏、渋谷氏の順

 ひととおりの機能を体験した後、SCEJ・JAPANスタジオ 制作部 ゲームデザイナーの西沢学氏、ソフトウェアプラットフォーム開発部 開発リーダーの石塚健作氏、商品企画部の渋谷清人氏の3名が報道陣からの質問に応じてくれた。ここでは報道陣からの質問に対する、開発陣からの回答を一問一答形式でお届けする。

Q 「torne」のコンセプトは?

A そもそもの出発点は「ホームエンタテインメントの幅をいかに広げるか」ということでした。PS3の機能をどのように使えば、これまでとテレビの違う楽しみ方を提供できるか、その答えが「torne」です。あとはよりストレスのない、「PS3ならでは」のレコーダーを提案できればというのもありました。

Q 特にこだわった点は?

A 徹底的にこだわったのは、スピード感とレスポンスのよさ。いかに少ないボタンで、レスポンスよくフィードバックを返すことができるか、いかに気持ちよさを味わってもらうかという点をとことん追求しました。またユーザーインタフェースについては、「リビングに溶け込むおしゃれさ、かっこよさ」を強く意識しています。

Q 開発にあたり、苦労した点は?

シーンサーチの速さなど、PS3のマシンパワーは随所で実感することができる

A PS3でCELLなら何でもできるでしょ、といった感じで軽く振られることも多いんですが、実際にはできることとできないことがやっぱりあって(笑)。どれだけユーザーにとってストレスのない環境を提供できるか……という部分では最後まで苦労したというか、力を入れてチューニングを行いました。あの番組表を、あれだけのスピードでスクロールさせるのは大変なんですよ(笑)。

Q 開発に関わったのは、基本的にSCEJのスタッフ?

A チューナー部分も、アプリ部分も、開発はすべて純粋にSCEJのみで行っています。ただビデオプレーヤー部分など、一部は親会社であるソニーからノウハウを提供してもらっている部分もあります。

Q 今後のアップデート予定、実装したい要素などは?

A 今はいかにして発売日に間に合わせるかで四苦八苦している状態なので、まだ詳しい情報はお話しできないのですが……アップデートで機能を拡張していく予定はもちろんあります。ネットワークを使った様々な要素や、よりゲーム的に録画という行為を楽しんでいただける要素など、企画自体は内部でもたくさん上がっていますので、今はまだはっきりとはお約束できませんが、今後を楽しみにしていてください。

Q 今回盛り込みたかった、盛り込めなかったアイデアにはどんなものが?

A 今回はまず、地上デジタルレコーダーとしての基本機能を押さえることを第一としましたが、開発途中にあった案としては、例えばキャラクターがいて、それがオンラインで大勢つながって……といったアイデアもありました。今後アップデートで大きく育てていくなかで、よりゲーム的な機能も追加していければと考えています。

Q 価格設定については、最初から1万円以下で考えていた?

かなり苦労したという「番組表」。このサクサク感は一度体験してみてほしい

A 作っているなかで、大体これくらいという話は一応ありましたが、最終的に決まったのはずっと最近のことです。もともと「torne」はPS3ならではのレコーダーというのが主旨であり、他の専門機と競争しよいうという考えでは作っていません。そのあたりも考慮されて、価格については決定されたようです。

Q トロフィーの内容については?

A 秘密です(笑)。

単なる「地デジレコーダーキット」では終わらない?

 さて、かなり長くなってしまったが、最後に筆者が体験会で感じたことをつらつらと書き留めておきたい。ほとんどは筆者の個人的感想で、多分に願望や妄想も入り交じっているので、興味がない人は読み飛ばしていただいて結構です。

ひとつひとつのインタフェースが、本当によく考えて作られている

 まず触ってみて驚くのは、従来のテレビやレコーダーとはまったく違う、ゲームメーカーならではの発想から生まれた独特のユーザーインタフェースだろう。これについては何度も重ねて書いてきたとおり、本当にすばらしい。「どうすればユーザーにストレスを感じさせないのかを考え、徹底的にスピードとレスポンスにこだわった」という開発陣の言葉は本物で、チャンネルを変える、番組表を見る――といった、普通のテレビやレコーダーでは「面倒臭い」と思われがちな操作を、「torne」では実に気持ちよく行うことができる。おそらく「torne」を買った人の大半は、間違いなくテレビ本体ではなく、「torne」のテレビ視聴機能を使ってテレビを見るようになるはずだ。従来のゲーム機はあくまで「テレビのオプション」でしかなかったが、「torne」はその関係をひっくり返し、「ゲーム機がメインで、テレビがオプション」という状況を作り出す可能性さえ持っている。

 そしてもっとすばらしいのは、現時点では「torne」はまだまだ未完成で、ここからさらに進化していく余地がある――という点だ。質疑応答で、渋谷氏は「ホームエンタテインメントの幅をいかに広げるか」が開発のコンセプトだと語ったが、現時点での「torne」は、機能的にはあくまで普通の地上デジタルレコーダーであって、それ以上でも、それ以下でもない。それは渋谷氏の言葉と一見矛盾しているように聞こえるが、要するに「これから進化していくんですよ」ということだと筆者は受け取らせていただいた。

 「地上デジタルレコーダー」という「torne」の製品像は、あくまで「地デジチューナーとPS3を足したら地デジレコーダーになりました」という結果のひとつであって、個人的にはもっともっと色々な可能性が秘められているんじゃないかと思っている。

 例えばPS3のスペックを使って、「ニコニコ実況」みたいなのを番組に重ね合わせたらどうだろうか。フレンドとチャットやゲームをしながら、一緒にテレビも見れたら? PlayStation Home内の巨大モニタに、今流れてるテレビ番組がそのまま表示されたら? 過去のテレビ番組をオンデマンドでPSNからいつでも購入して見られるようになったら?

現時点でも「見ながらネット」機能を使えば、ちょっとした実況のような遊び方はできそうだ

 もちろん上で書いたことの大半は筆者の妄想でしかないが、PS3だって発売当初はHomeもアドホック・パーティもなかったわけで、多少の夢は見させてもらってもバチはあたらないんじゃないか、という気はする。少なくとも基本の「地上デジタルレコーダー」部分だけでも十分に魅力的ではあるし、それに今後への期待も上乗せして9980円(税込)なら安いもんじゃないか! というのが「torne」を実際に目の当たりにしてみての、筆者の率直な感想だ。

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