当初のタイトルは「大人のオンナの占い手帳」!? 隠れた大ヒット作「トモダチコレクション」の秘密:日々是遊戯
いつの間にやら250万本を突破し、2009年のヒットタイトル第3位にまで躍り出ていた「トモダチコレクション」。そんな「トモコレ」の開発にまつわる、「ええっ!?」と驚いてしまうようなエピソードをまとめてみました。
隠れた2009年のヒットタイトル
2009年でもっとも売れたゲームは、お馴染み「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」、第2位は「NewスーパーマリオWii」でした。では、第3位はなんだったか知っていますか?
意外かもしれませんが、3位はDSの「トモダチコレクション(以下、トモコレ)」なんです。自分のマンションに友達や有名人のMiiを住まわせて、そこで巻き起こる様々な人間関係を楽しむ――という「トモコレ」。コアなゲーマー層からは「何が面白いのかよく分からない」などと言われることも多い本作ですが、結果的には年間で約250万本を販売する大ヒット作となりました。
実は筆者も、「そんなに売れてるのなら……」と年末年始を利用して遊んでみたんですが、これが面白いんですよマジで! 今では片っ端から知人のMiiを登録し、何かイベントが起こるたびに写真や動画を撮ってはTwitterで送りつける――という独自(?)の楽しみ方を編み出し、一部の知人からは「うぜぇ」などと疎まれつつも、すっかり「トモコレ」漬けになっている毎日だったりします。
まあ、僕のハマりっぷりについてはどうでもよくて、今日はTouch-DS.jpの「社長が訊く『トモダチコレクション』」と、「任天堂ゲームセミナー2009」公式サイトの「社長が訊く ゲームセミナー2009 -トモダチコレクション-」から、「トモコレ」にまつわる秘密やエピソードをまとめてみました。一見地味な印象もある「トモコレ」ですが、実はみんな知ってる“あの要素”も、「トモコレ」がなければ生まれなかったって知っていましたか?
1:初回発注はたったの10万本だった
累計では250万本以上を販売している「トモコレ」ですが、岩田社長によれば小売店から集まった初回発注はたったの10万本だったそうです。通常、ゲームソフトは初週でドカンと売れて、あとはそれきり――という売れ方をすることが多いのですが、「トモコレ」はまさに究極の「ジワ売れ」ソフトと言えるかもしれません。
2:当初のタイトルは「大人のオンナの占い手帳」だった
本作のディレクターを務めた企画開発部の高橋隆太郎氏によると、もともと「トモコレ」は「大人のオンナの占い手帳(以下、占い手帳)」というタイトルで開発されていたんだそうです。ゲーム内容も今とはだいぶ違っていて、知人の名前や誕生日を入れると、互いの相性や運勢などを占ってくれるというもの。ただ、それだけでは味気ないよね、ということで「似顔絵を入れるのはどうだろう」という案がスタッフから挙がった。これがきっかけとなって「占い手帳」プロジェクトは、思わぬ方向へと転がっていくことになります。
3:Miiの原型は「トモコレ」だった
Wiiユーザーにはおなじみの似顔絵アバター機能「Mii」ですが、実はこれの原型こそが「占い手帳」の「似顔絵」機能だったんだそうです。
「占い手帳」のスタッフから開発中の「似顔絵」機能を見せられた岩田社長が、すぐさまそれを宮本茂氏のところへ持って行ったところ、宮本氏は「コレや!」と、当時開発中だったWiiに急遽「似顔絵チャンネル」としてこれを実装することを決定。「占い手帳」プロジェクトは一時中断され、スタッフは全員「似顔絵チャンネル」開発のため情報開発本部へと一時的に異動になったとのことです。
4:宮本茂氏の「似顔絵」への執着
「Mii」の実装によってようやく日の目を見た「似顔絵」構想ですが、実は宮本茂氏は20年近くも前から「似顔絵をゲームで使えるようにしたい、必ず面白いものができるはずだ」と言い続けており、そのたびに社内のスタッフからは猛反対を受けていたのだとか。実際、宮本氏はディスクシステムやゲームキューブの時代にも「似顔絵ソフト」を開発していたものの、いずれも実際に発売するまでには至らなかったそう。
実は「Mii」誕生にあたっての最大の功労者は、そんな宮本氏の執着を知っていて、「占い手帳」スタッフと宮本氏をすぐさま結びつけた岩田社長と言えるのかもしれません。
5:「占い手帳」から「トモコレ」へ
そんなわけで「似顔絵チャンネル」「みんなで投票チャンネル」の開発を終えたスタッフが、ようやく「占い手帳」プロジェクトに復帰したのは2007年4月。しかしこの頃になると、「占い手帳」を開発していた当時とはDSを取り巻く環境が一変しており、「わざわざ『大人のオンナ』と断る必要もなくなった」と考えたスタッフは急遽企画を練り直すことに。こうしてあらためてスタートしたのが「トモコレ」だったというわけです。
しかし何しろ前例のないソフトだけあって、時にはスタッフから「わたしはこのゲーム、一度も面白いと思ったことがない」という衝撃発言も飛び出すなど、なかなか出口が見えず苦労したことも多かったそう。企画開発部の海野将範氏によれば、最終的な完成型が見えたのはなんとモニターが終わって、ソフトが完成する4カ月くらい前だったとのことです。
ということで、パッと見にはチープな作りに見られることも多い「トモコレ」ですが、完成までにはかなりの紆余曲折があったことがうかがえる内容となっています。ほかにも元記事では「開発スタッフが考える『トモコレ』がウケた理由」」や、「卒業シーズンこそが『トモコレ』最大の商戦」など興味深い話が満載となっていますので、「トモコレ」にハマっている人もそうでない人も、ぜひ一度目を通してみることをオススメします。いわゆる「ゲームらしいゲーム」とはかなり毛色の違う本作ですが、偏見を捨てて遊んでみると、思わぬ面白さに気付くかもしれませんよ!
関連記事
- 日々是遊戯:画面がデカいから「DSi DEKA」!? 「DSi LL」の意外な没ネーミング
岩田聡社長自ら社内のスタッフに直撃インタビューを行う、任天堂ホームページの名物コーナー「社長が訊く」。その中で、「ニンテンドー DSi LL」の意外な開発秘話が明かされています。 - 日々是遊戯:「DSi LL」名前の由来はやっぱり「LLサイズ」だから? 任天堂に聞いてみた
ニンテンドーDSの新モデルとして、昨日発表された「ニンテンドーDSi LL」。ところでこのLLって、やっぱり「LLサイズ」だからということでいいんでしょうか? - 日々是遊戯:「犯人」は誰!? ウワサ広がる「Miiで指名手配」の不思議
Wiiのアバター機能「Mii」で作成した似顔絵が、交通事故の目撃募集看板に使われている画像があちこちで話題となっている。ところが筆者が調べたところ、予想もしなかった事実が明らかに!! - 日々是遊戯:Wiiから出前が注文できる「出前チャンネル」でピザを頼んでみた
5月26日よりスタートした、Wiiの新サービス「出前チャンネル」。ホントにWiiから出前を注文できるのか、実際に試してみました。 - 日々是遊戯:岩田社長によると、DSiは当初「ダブルスロット」仕様だったらしい
11月1日に発売される、ニンテンドーDSの新モデル「ニンテンドーDSi」。発売に先駆け、公式サイト「Touch-DS.jp」では恒例企画「社長が訊く」が掲載されているが、これによると当初、ニンテンドーDSiは「ダブルスロット」仕様だったという。 - 日々是遊戯:「Wiiデジカメプリントチャンネル」で、オリジナル“Wii名刺”を作ってみた
7月23日より、富士フイルムと任天堂が共同で開設した「Wiiデジカメプリントチャンネル」。このチャンネルを使うと、自分のMiiが入ったオリジナル名刺を作れるということで、さっそく試してみた。 - 日々是遊戯:果たしてゆうこりんの「常識力」は!? 「みんなのニンテンドーチャンネル」の動画が面白い
Wiiの「みんなのニンテンドーチャンネル」で、ちょっと変わった番組が配信されているのをご存知だろうか。無料で観られるコンテンツなので、スタッフが片手間で作ったような映像かと思いきや、これが実はけっこう面白かったりする。 - 日々是遊戯過去記事一覧
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
-
「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
-
大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
-
「大企業の本気を見た」 明治のアイスにSNSで“改善点”指摘→8カ月後まさかの展開に “神対応”の理由を聞いた
-
「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
-
松田翔太、憧れ続けた“希少な英国製スポーツカー”をついに入手「14歳の僕に見せてあげたい」 過去にはフェラーリやマクラーレンも
-
「行きたすぎる」 入場無料の博物館、“宝石展を超えた宝石展”だと40万表示の反響 「寝れなくなっちゃった」【英】
-
スーパーで売っていた半額のひん死カニを水槽に入れて半年後…… 愛情を感じる結末に「不覚にも泣いてしまいました」
-
自動応答だと思って公式LINEに長文を送ったら…… 恥ずかしすぎる内容と公式からの手動返信に爆笑 その後について聞いてみた
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた