当初のタイトルは「大人のオンナの占い手帳」!? 隠れた大ヒット作「トモダチコレクション」の秘密日々是遊戯

いつの間にやら250万本を突破し、2009年のヒットタイトル第3位にまで躍り出ていた「トモダチコレクション」。そんな「トモコレ」の開発にまつわる、「ええっ!?」と驚いてしまうようなエピソードをまとめてみました。

» 2010年01月26日 20時02分 公開
[池谷勇人,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

隠れた2009年のヒットタイトル

 2009年でもっとも売れたゲームは、お馴染み「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」、第2位は「NewスーパーマリオWii」でした。では、第3位はなんだったか知っていますか?

 意外かもしれませんが、3位はDSの「トモダチコレクション(以下、トモコレ)」なんです。自分のマンションに友達や有名人のMiiを住まわせて、そこで巻き起こる様々な人間関係を楽しむ――という「トモコレ」。コアなゲーマー層からは「何が面白いのかよく分からない」などと言われることも多い本作ですが、結果的には年間で約250万本を販売する大ヒット作となりました。

 実は筆者も、「そんなに売れてるのなら……」と年末年始を利用して遊んでみたんですが、これが面白いんですよマジで! 今では片っ端から知人のMiiを登録し、何かイベントが起こるたびに写真や動画を撮ってはTwitterで送りつける――という独自(?)の楽しみ方を編み出し、一部の知人からは「うぜぇ」などと疎まれつつも、すっかり「トモコレ」漬けになっている毎日だったりします。

 まあ、僕のハマりっぷりについてはどうでもよくて、今日はTouch-DS.jpの「社長が訊く『トモダチコレクション』」と、「任天堂ゲームセミナー2009」公式サイトの「社長が訊く ゲームセミナー2009 -トモダチコレクション-」から、「トモコレ」にまつわる秘密やエピソードをまとめてみました。一見地味な印象もある「トモコレ」ですが、実はみんな知ってる“あの要素”も、「トモコレ」がなければ生まれなかったって知っていましたか?

1:初回発注はたったの10万本だった

 累計では250万本以上を販売している「トモコレ」ですが、岩田社長によれば小売店から集まった初回発注はたったの10万本だったそうです。通常、ゲームソフトは初週でドカンと売れて、あとはそれきり――という売れ方をすることが多いのですが、「トモコレ」はまさに究極の「ジワ売れ」ソフトと言えるかもしれません。

2:当初のタイトルは「大人のオンナの占い手帳」だった

 本作のディレクターを務めた企画開発部の高橋隆太郎氏によると、もともと「トモコレ」は「大人のオンナの占い手帳(以下、占い手帳)」というタイトルで開発されていたんだそうです。ゲーム内容も今とはだいぶ違っていて、知人の名前や誕生日を入れると、互いの相性や運勢などを占ってくれるというもの。ただ、それだけでは味気ないよね、ということで「似顔絵を入れるのはどうだろう」という案がスタッフから挙がった。これがきっかけとなって「占い手帳」プロジェクトは、思わぬ方向へと転がっていくことになります。

3:Miiの原型は「トモコレ」だった

 Wiiユーザーにはおなじみの似顔絵アバター機能「Mii」ですが、実はこれの原型こそが「占い手帳」の「似顔絵」機能だったんだそうです。

 「占い手帳」のスタッフから開発中の「似顔絵」機能を見せられた岩田社長が、すぐさまそれを宮本茂氏のところへ持って行ったところ、宮本氏は「コレや!」と、当時開発中だったWiiに急遽「似顔絵チャンネル」としてこれを実装することを決定。「占い手帳」プロジェクトは一時中断され、スタッフは全員「似顔絵チャンネル」開発のため情報開発本部へと一時的に異動になったとのことです。

4:宮本茂氏の「似顔絵」への執着

 「Mii」の実装によってようやく日の目を見た「似顔絵」構想ですが、実は宮本茂氏は20年近くも前から「似顔絵をゲームで使えるようにしたい、必ず面白いものができるはずだ」と言い続けており、そのたびに社内のスタッフからは猛反対を受けていたのだとか。実際、宮本氏はディスクシステムやゲームキューブの時代にも「似顔絵ソフト」を開発していたものの、いずれも実際に発売するまでには至らなかったそう。

 実は「Mii」誕生にあたっての最大の功労者は、そんな宮本氏の執着を知っていて、「占い手帳」スタッフと宮本氏をすぐさま結びつけた岩田社長と言えるのかもしれません。

5:「占い手帳」から「トモコレ」へ

 そんなわけで「似顔絵チャンネル」「みんなで投票チャンネル」の開発を終えたスタッフが、ようやく「占い手帳」プロジェクトに復帰したのは2007年4月。しかしこの頃になると、「占い手帳」を開発していた当時とはDSを取り巻く環境が一変しており、「わざわざ『大人のオンナ』と断る必要もなくなった」と考えたスタッフは急遽企画を練り直すことに。こうしてあらためてスタートしたのが「トモコレ」だったというわけです。

 しかし何しろ前例のないソフトだけあって、時にはスタッフから「わたしはこのゲーム、一度も面白いと思ったことがない」という衝撃発言も飛び出すなど、なかなか出口が見えず苦労したことも多かったそう。企画開発部の海野将範氏によれば、最終的な完成型が見えたのはなんとモニターが終わって、ソフトが完成する4カ月くらい前だったとのことです。

 ということで、パッと見にはチープな作りに見られることも多い「トモコレ」ですが、完成までにはかなりの紆余曲折があったことがうかがえる内容となっています。ほかにも元記事では「開発スタッフが考える『トモコレ』がウケた理由」」や、「卒業シーズンこそが『トモコレ』最大の商戦」など興味深い話が満載となっていますので、「トモコレ」にハマっている人もそうでない人も、ぜひ一度目を通してみることをオススメします。いわゆる「ゲームらしいゲーム」とはかなり毛色の違う本作ですが、偏見を捨てて遊んでみると、思わぬ面白さに気付くかもしれませんよ!


(C)2009 Nintendo


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた