ゲーム作りの参考になる? 「えりかとさとるの夢冒険」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

» 2010年01月29日 10時08分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 第4章の舞台は、“オットリ市”と“ノウチ市”。海で南北に分けられたマップの形から考えても、モデルは鳥取と高知だろう(マップ上の位置関係は、むしろ岡山と高松っぽいが)。

 関東の横浜から、東海と近畿がすっ飛ばされて、いきなり中国・四国に移っている。もしかしたら3章と4章の間に、もう1、2章挟む予定だったのかもしれない。

 もっとも、このゲームが発売されたのは1988年9月で、瀬戸大橋の開通からわずか5か月後。中四国地方に注目が集まっている時期だった。4章のマップに瀬戸大橋は描かれていないが、オットリ駅とノウチ駅は電車で行き来できる。

 この章でも、泳いで海を渡ることが可能。小学生が瀬戸内海を泳いで渡るという非現実性が、「不思議な世界」の不思議さを表している(単に「不思議な世界」の地形が、現実の中四国よりうんと狭いだけという気もするが)。

 これまで、2人一緒じゃなければ起こらないイベントは多数あったが、この4章では、えりかだけ、あるいはさとるだけでないと発生しないイベントがいくつかある。そのぶん難度が高い。

高知駅は2008年に建て替えられ、ゲーム発売当時とはまったく外観が変わった
四国八十八か所を意識してか、4章にはウソップ寺、正直寺というお寺が出てくる
「アイドル八犬伝」の「君はホエホエ娘」より1年早い、もろ電波系な歌詞のアイドル歌謡

 4章のアイドルの歌もそうだが、ほのぼのとした世界観の中に、“マンダラ”とか“チャクラ”とか“オンアビラウンケン”とか、密教系の単語が頻繁に出てくるギャップもおもしろい。

 “ヒランヤ”というのも懐かしい。当時話題となったお守りで、六芒星、つまりダビデの星の形をしている。ピラミッドパワーを持つとうたわれ、タバコを置くとマイルドになるとか、植物を置くとよく育つとか、かみそりを置くとよく切れるようになるなどと言われていた。

 実はわたしも一時期ハマって、持ち歩いていたことがある。今では考えられないけれど、と学会の「トンデモ本の世界」を読むまでは、典型的な“ビリーバー”だったのだ。

 そもそも当時は、と学会自体がまだなかった。会長の山本弘氏はこの頃、ゲームブック作家として知られていた。特に、ゴブリンがどんどん強いモンスターに変身して、人間に復讐を果たす「モンスターの逆襲」が素晴らしかった。

 ……と書いたら、また山本弘氏が書いたゲームブックが読みたくなった。ニンテンドーDS用ソフトでいいから出してくれないかなあ。

ゲーム作りってやっぱり大変なんだにょ

 最後の第5章、舞台は“クマソ市”。熊本と阿蘇と、古事記に出てくる熊襲(クマソ)国を掛けたと思われる。アセ山という火山が出てくる。

 このクマソから、北側の海を渡ったり、電車に乗ったりすると、フジという駅に着く。近くにブジ山の樹海があるから、富士駅のことなんだろう。駅が“フジ”で山が“ブジ”だから、駅名の方が誤植と思われる。

 さらに、クマソの西側から海を渡ると神社に着くが、鳥居に“いきた”と書いてある。これは神戸の生田神社のことか? 3章から4章で東海と近畿をすっ飛ばした代わりに、ここでまとめて出したということだろうか。

熊本駅はゲーム発売当時から同じ駅舎だが、1991年にリフォームされた。九州新幹線の延伸で改築される予定
コンパスを手に入れるまで、樹海を歩いても何も起こらない。開発者の方は、樹海でコンパスが使えることをよく知っていたなあ
2人はここでさすがに疲れて寝てしまう。目覚めたときどんな目に遭うかも知らずに……

 フジの誤植もそうだが、この第5章にはもっと致命的な問題がある。ゲームがクリアできなくなるバグだ。

 この章で2人は荷物を盗まれ、時計台で取り返すのだが、その後もう1回時計台に行くと、所持品が一切使えなくなることがある。こうなると、最後の地下迷宮へ入るときに必要なアイテムが使えず、クリア不可能となってしまうのだ。

 あと、終盤にツボから出てきた「生き神様」が、いったい何なのか最後まで分からなかった。出てきた途端、このゲームの大ボス的存在である、ハライソ団のボスが屈伏するくらいの重要キャラ(アイテム?)なのだが。

 ともあれ、えりかとさとるは、ブジの樹海から地下迷宮に入り、妖精に会って“時の冠”を手に入れる。そして元の世界で目を覚ます。「不思議な世界」は夢だったのか? 夢でないとすれば何だったのか? あえてはっきりさせないままゲームは終わる。

ここが問題の時計台。1回落とし穴に落ち、裏口から入り直して荷物を取ると、再度来たときにまた荷物が置いてある
ストーンサークルの周りを、四獣の石像(たぶん青龍、朱雀、白虎、玄武)が護っている。真ん中でアイテムを使えば、最後の迷宮への入口が開く
最後は家族みんなが集まって、ほのぼのとしたハッピーエンド。しかし……

 実は近年になって、このゲームに隠しメッセージが発見されたらしい。開発スタッフの本音を読むことができるという。

 実際にメッセージを出して、読んでみた。

 ……なんか、ゲーム作りって、大変なんだなあと感じた。

 こういうのを読むと、最初に挙げた某Aとか某Bとかを責めるのがためらわれる。

 わたしもゲームを作りたいと思っていたけど、趣味にとどめておいたほうが良さそうだ。無理せずに、NScripterか何かを使って簡単なアドベンチャーゲームを作り、タダで配信することから始めよう。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  6. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた