ニュース
» 2010年02月17日 21時08分 公開

「パッケージ市場崩壊、iPhoneアプリももうからない」 ゲームメーカーが生き残るには(1/3 ページ)

パッケージゲーム市場は崩壊。期待されたiPhoneアプリももうからないことが分かってきた。だがまだまだチャンスはあると、ゲームジャーナリストの新清士さんは言う。

[岡田有花,ITmedia]

 ゲーム業界が激変の時代を迎えている。家庭用ゲームの市場規模は2007年をピークに縮小を続け、ゲームメーカーの人員削減も珍しい話ではなくなってきた。iPhoneアプリやソーシャルゲームと呼ばれる新しい市場がぼっ興しているが、すでに過当競争に陥っている。

 「コンテンツはあふれかえり、ものすごい勢いでデフレが起きている」――ゲームジャーナリストの新清士さんは2月17日、都内で開かれたゲーム開発者向けイベント「OGC 2010」の講演でこう指摘。新興のプラットフォームも米国企業が握っており、日本のメーカーの不利な状況は今後も続くと予想する。

 だが、まだまだチャンスはあるという。

ものすごい勢いでコンテンツデフレが起きている

 昨年の今ごろまでは、ゲームの新市場として期待されていたiPhoneアプリやFacebookアプリなどのソーシャルアプリだが、その状況はこの1年で劇的に変わった。「iPhoneアプリはもうからないと分かってきた」と新さんは言う。

画像 mixiアプリでユーザー数457万人、圧倒的ナンバーワンの農場ゲーム「サンシャイン牧場」

 iPhoneアプリやソーシャルアプリは開発や流通のハードルがパッケージゲームより低く参入が容易なため、「ものすごい勢いでコンテンツのデフレが起きている。とにかく大量のコンテンツを用意し、いかに自分のところに引き付けて集中させるかが重要になっている」。

 米国のiPhoneアプリニュースサイト「148Apps.biz」によると、App Storeの総アプリ数は17万5000で、1日約700アプリずつ増えているという。ゲームアプリもすでに2万4000ある。

 ソーシャルアプリも大量に流通しており、昨年始まったばかりのmixiアプリも、PC向けで約800、携帯で約300ものアプリが稼働している。このような市場では、1番になったものがすべてを得る、“Winner Takes All”が働きやすいという。「サンシャイン牧場を越える農場アプリは、少なくともmixi上ではもう現れないだろう」

 デフレ状態のコンテンツに代わり、重要性を増したのが「時間」という。「われわれの社会において最も重要な価値は時間だ。貯蓄も交換もできない。人は、時間当たりに価値を得られていると思うものにしかお金を払わなくなる。1時間もかかるゲームはやらないといった傾向が、ますます強くなる」

iPhoneアプリが崩したもの

 iPhoneアプリの価格を見てみると、無料が25%、1〜3ドルが59%と、全体の8割が3ドル以下の値付けだ。一方でパッケージゲームは、数千円(数十ドル)〜1万円(100ドル)程度が相場。「iPhoneは、ゲームの価格と価値のバランス、相場観をひっくり返してしまった。数百円のゲームに慣れたiPhoneアプリユーザーは、7000円のゲームは高いと思うだろう。このギャップはとてもじゃないが埋められない」

 ギャップに「ゲーム会社が困っている」という。従来のパッケージゲームは億単位の予算と年単位の時間をかけて開発してきたが、「iPhoneアプリは1本当たり100万円、200万円のコストで作らなくてはならない」。パッケージゲーム開発のコスト構造でiPhoneをアプリ開発して利益を出すのは「無理」なのだ。

画像 新さんによると、昨年は世界のゲーム会社合わせて1万4000人以上の人員削減が行われたという

 旧来のゲーム会社のコスト構造を支えていたのは、ハードとパッケージを切り離し、パッケージを高額で販売するという、「任天堂のファミリーコンピューターが確立した」ビジネスモデルだ。加えて、1人でプレイする際、プレイヤーの相手をする人工知能(AI)の開発ハードルの高さなども参入障壁となっていた。

 だがiPhoneアプリやFacebookなどソーシャルゲームは、有料ゲームの売り上げの一部を、AppleやFacebookといったプラットフォーム事業者が徴収するモデルで、「“土管”を通過する時にお金を取るビジネスモデルに切り替わった」。ネット経由で友人同士でプレイすればAIも不要。本物の人間を相手にできるソーシャルゲームなら、高度な技術や美麗なグラフィックがなくても楽しめる。

 同じ変化はゲームだけでなく、コンテンツ産業全体で起きているという。「世界のコンテンツ産業が、どこまでシュリンクするか、どこで収益をあげればいいか分からない状況になっている」

 勝者になるには、グローバルなプラットフォームを作り、無料や安価でコンテンツを提供してくれる“クラウドワーカー”(例えば、ニコニコ動画の“職人”や、ユーザーがステージを制作できるゲームで、魅力的なステージを作ってくれる人など)を集めるしかない。この傾向は2005年以降、変わっていないという。

Kindle日本参入前から分かっている「日本メーカーのハンデ」

 iPhoneやKindle、Facebookなど、急成長しているプラットフォームの持ち主は、AppleやAmazon、Facebookといった米国企業だ。これが日本のゲームメーカーを窮地に追いやるという。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

先週の総合アクセスTOP10

  1. 「くたばれ」「消えろ」 卓球・水谷隼、SNSに届いた中傷DM公開&警告「然るべき措置を取ります」
  2. 「貴さん憲さんごめん。いや、ありがとう」 渡辺満里奈、とんねるずとの“仮面ノリダー”思い出ショットが大反響
  3. 怖い話を持ち寄って涼もう→「オタバレ」「リボ払い」 何かがズレてる怪談漫画がそれはそれで恐ろしい
  4. おにぎりパッケージに四苦八苦していた五輪レポーター「日本の素晴らしい人々に感謝」 大量アドバイスで見事攻略
  5. 「助けてください」 来日五輪レポーター、おにぎりパッケージに四苦八苦 海外メディアにコンビニが大人気
  6. 「うちの子に着せたい」の声殺到 五輪会場で編み物をしていた英金メダリスト、作っていたのは「ワンちゃんの服」
  7. 五輪飛び込み金メダリスト、“手作りメダルポーチ”披露 英国と日本にちなんだデザインが「これまた金メダル級」と反響
  8. 武井壮、行方不明だった闘病中の父親を発見 「電気ついてるのに鍵閉まってて……」本人は自宅外で休憩
  9. 「涙が止まらない」「やっと一区切り」 東原亜希、夫・井上康生の監督退任で“17年分の思い”あふれる
  10. 水谷隼スタッフが一部マスコミの“行き過ぎた取材”に警告 住民を脅かすアポなし行為に「しかるべき措置を検討」

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥
  2. 笠井アナ、日比谷公園で「信じられないことが…」 サンドイッチを狙う集団に「何? えーっ! まさか、それはないでしょ!」
  3. 62歳の宮崎美子、マクドナルドCMで初々しい中学生少女を見事に演じる 「暖かい目でぜひ見てください」
  4. 瀕死のスズメのヒナを助けたのに…… 「助けたヒナたちに完全にナメられた」動画がほほえましくて面白い
  5. ハート打ち抜かれました! コロンビアのアーチェリー女子選手が「かわいい」「エルフ」と注目の的に
  6. 散歩中のラブラドール、助けを求める子猫を発見→保護 親子のような仲むつまじいふたりに涙が出る
  7. 宮迫博之、美容整形から2週間のビフォーアフター公開 手術直後の腫れ&炎症だらけな顔に「暴漢に遭ったんかって」
  8. 上野樹里、“娘”の誕生日に愛情たっぷり手作りオムライス公開 「がんばろうね ママより」と祝福メッセージ
  9. 出勤時、妻にいつになく強く抱きしめられた夫→妻が家に帰ってくると…… 何気ない日常を描いた漫画にツッコミつつもジーンとする
  10. 「本人にしか見えない」「めっちゃ似てる」 霜降り明星せいや、オリンピック開会式に“ガチのそっくりさん”を発見する