コンテンツデフレの時代に、ソーシャルゲームが急成長を見せたわけ:OGC 2010(1/2 ページ)
2009年、急成長を遂げた「ソーシャルゲーム」。一部では「ソーシャルゲームはゲームではない」と言われつつも、なぜソーシャルゲームはこれほどの人気を集めることができたのか?
OGCにもソーシャルゲームの波
BBA(社団法人ブロードバンド推進協議会)が主催する、ゲーム業界関係者向けカンファレンス「OGC2010(オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス)」が2月17日、東京・千代田区のベルサール神田にて開催された。
今回のキーワードは「Open」「Generate」「Contents」。昨今の流れを反映してか、タイムテーブルには「モバイルSNS」や「Twitter」「ソーシャルゲーム」といったこれまでにない単語が数多く並び、オンラインゲーム業界も大きな変革期にさしかかっていることをうかがわせる内容となった。
中でも注目を集めたのが、昨年爆発的な広がりを見せた「ソーシャルゲーム(ソーシャルアプリ)」関連のセッションだろう。今回の「OGC 2010」では、IGDA(国際ゲーム開発者協会)日本代表の新清士氏、ゲームディレクターの澤紫臣氏の2名がそれぞれソーシャルゲームをテーマに講演を実施。なぜソーシャルゲームはヒットしたのか、そして今後ゲーム業界はソーシャルゲームとどのように向き合っていくべきなのか。両名の講演内容からソーシャルゲームの未来を探ってみた。
ソーシャルゲームとオンラインゲームの違い
ソーシャルゲームとはおおざっぱに言えば、mixiやFacebook、モバゲータウンといったSNS上で動くゲームのことを指す。mixiアプリの「サンシャイン牧場」や、モバゲータウンの「怪盗ロワイヤル」などがその代表例だ。
これらのゲームは、「SNS上の友達と一緒に遊ぶ」という点で従来のオンラインゲームと大きく異なっている。ゲームの内容自体は、作物に水をあげたり、他人の畑に虫を入れたりと非常にシンプルで、1回のプレイも数分程度と短い。にもかかわらず、現実の友達との関わりが生まれることで、つい何度もアプリを起動し、様子を見たくなってしまう点がソーシャルゲームの特徴と言える。
では、既存のオンラインゲームとはどこが違うのか? 澤氏はいくつかの視点からオンラインゲームとソーシャルゲームの違いをまとめているが、最大の違いはやはり「コミュニティ形成の違い」だろう。通常、オンラインゲームではコンテンツ全体に目的があり(レベルを上げる、クエストをクリアするなど)、コミュニティはその目的に辿り着くための手段、ツールとして自然に形成されていくもの。しかしソーシャルゲームの場合、前提として最初からSNS上でコミュニティが形成されている点が大きく異なっている。この「すでに存在しているコミュニティ」をいかに活用していくかが、ソーシャルゲームでは大きなポイントになると澤氏は分析する。
また面白いと思ったのが、滞在時間の違いだ。オンラインゲームを「ロングタイム・リアルタイム型」とするなら、ソーシャルゲームは「ショートタイム・サムタイム」型であると澤氏は表現する。
オンラインゲームでは全員が同じタイミングでログインしていないと一緒に遊ぶことができないため(同期型)、必然的にプレイ時間が長時間化しやすい(いわゆる「廃人」を生みやすい)。しかしソーシャルゲームの場合、例えば他人の畑に水をあげたり、虫を入れたりといった具合に、すべてのプレイヤーがまったく同じ時間にアクセスしなくてもプレイ感を共有できる仕組みを持っているため(非同期型)、1回のプレイ時間が短く、また他人の都合を気にせず好きな時間に遊ぶことができる。プレイヤーに課す「時間的ハードル」が低いことも、ソーシャルゲームのヒット要因の一つと言えるかもしれない。
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