米エレクトロニック・アーツが行っている、ユニークな中古対策とは?日々是遊戯

今や北米ゲーム市場の約3分の1を占めるという「中古ソフト」ですが、メーカーにとっては同時に頭の痛い問題でもあります。そんな中、米エレクトロニック・アーツでは昨年から、ちょっと面白い中古対策を取り入れているのだそう。

» 2010年02月26日 22時10分 公開
[池谷勇人,ITmedia]

なかなか難しい問題です

 メーカーにとっては頭の痛い「中古ゲーム問題」ですが、米エレクトロニック・アーツ(EA)は昨年ごろより、ちょっとユニークな「中古対策」を講じているのだそうです。

 その対策とは「新品のゲームソフトに、約10ドル相当のダウンロードコンテンツ(DLC)をオマケとして付ける」というもの。ダウンロード用のクーポンは1回しか使えないため、後から中古で購入した人は使えなくなっている可能性が高いというわけですね。これは「Project Ten Dollar(プロジェクト10ドル)」と呼ばれており、昨年EAより発売された「Mass Effect 2」ではじめて採用されたもの。EAによれば、2011年にはすべてのタイトルでこの方式を取り入れていきたいそうです。

 10ドルのオマケが付いた新品を買うか、オマケはないけど安い中古を買うか、どちらを選ぶかはあなた次第。またこの場合、中古購入者でも後からDLCを購入してくれれば、その分の売り上げはちゃんとメーカーに入ってきて一石二鳥です。日本のユーザーからは煙たがられることも多い「DLC商法」ですが、確かに中古対策としては大きな効果が見込めそうです。

 しかし一方で、一部の小売店からはこれに反対する声もあがっているとのこと。大きな理由のひとつは、「中古がもしなくなれば、ユーザーが今のように気軽に新品ソフトを買うことができなくなる」というもの。確かに、遊び終わったソフトを買取りに出すことで新たな新品ソフトを購入しているユーザーもいる――というのはもっともな意見。もっと厳しいものでは、「競争相手に顧客を明け渡すような仕組みを持ったゲームを、そもそも積極的に売ろうとは思わない」というものもあります。

 中古ソフトについてはメーカー、小売店それぞれに思いがあり、その間にはいまだ大きなしこりが残っています。「DLC商法」はメーカーにとっていいことずくめにも思えますが、ユーザーや販売店の声も決して無視することはできません。今後のEAや小売店側の対応にも注目したいところです。

北米ではエレクトロニック・アーツより発売中の「Mass Effect 2」。新品ソフトには、「ケルベロス・ネットワーク」というゲーム内コンテンツにアクセスできるコードが付いてきます

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