「God of War III」はいかに作られたのか――キーマンたちへのインタビューSCE America Santa Monica Studioリポート(2/4 ページ)

» 2010年04月07日 02時38分 公開
[戸村賢一,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Adam Puhl氏 Lead Combat/Weapons Designer

Lead Combat/Weapons DesignerのAdam Puhl氏

 彼は戦闘シーンのアクションの設計に関わる部分の責任者で、6名で全戦闘シーンを担当しているそうだ。戦闘シーンの設計はアニメーション制作と密接に関係しているため、オフィスはアニメーション制作部門とは隣り合わせになっている。

Adam Puhl氏 まず戦闘シーンのアクションについてコントローラの振動なども含めてアニメーターの方に構想を伝え、そこからアニメーターがアニメーションを作っていきます。伝えるときには、動きなどはすべてリスト化し、文章にして渡します。とはいえ細かい部分はアニメーターの方々に任せる部分が多く、逆にアニメーターから『こんな動きはどうか』と提案をうけて作ることもあります。我々は出来上がったアニメーションを受け取ると、動きの量や速さなどをチェックし『ここはもっと速くしてほしい』といった修正をお願いしていきます。この辺の作業は、お互いのやりとりを何度も繰り返しながらになります。

 例えば、ポセイドンがやられるときに視点がポセイドン側に切り替わるシーンでは、アニメーターと『クレイトスが首を絞めた後にどういうアニメーションにするか?』と相談しているときに私たち(Combat/Weapon Desiginer)の一人が「『レイヤー・ケーキ』という映画でこういった演出があったのだけれど、どうだろう?」と提案して、それをアニメーターにインタラクティブなムービーにしてもらいました。

 動きを付けるときにまず大切なのは、キャラクターの特徴にあわせた動きになっていることです。例えばサイクロスの場合は大きなキャラクターなのでゆっくり動かし、なおかつパワフルに見えるようにします。またプレーヤーは動きを覚えながらゲームを進めていくので、各キャラクターについて攻撃の種類を増やさないようにしました。暴力シーンについては、ある一定の線を引いてそれを超えないように注意しました。過激過ぎるアニメーションだと、スカっとするのを通り越して気持ちが悪くなってくるので、そのときは表現を抑えるように修正していきました。

アニメーターへの指示は、おもにこのような箇条書きにしたスクリプトで伝えられる
CSアタック時の動きを調整するため、画面効果を一部省略した状態で動きを確認する
さまざまな動きは、開発ツール内のリストから一発で呼び出し確認できるようになっている

Bruno Velazquez氏 Lead In-Game Animator

Lead In-Game AnimatorのBruno Velazquez氏 

 彼は、アクションシーンに関するアニメーション作成のリーダーである。

Bruno Velazquez氏 アニメーション上のアクションは、すべてゲーム上のキャラクターに基づいて作られています。例えば、クレイトスはなたで割ったような性格で何でもとっとと済ませたいので、ケンタウロスを倒すシーンではなるべく早く倒して先へ進むため首をもぎとって壁に投げ飛ばしていく、という具合です。ゲームをやっていて心地よいと感じてもらうため、制作途中でも他の人にテストプレイをしてもらい、そのフィードバックを受けながら修正を重ねていきました。

 また、アニメーションを分担するときにすべてのアニメーターがクレイトスをしっかりデザインできるようにしました。そうすることで、全員がクレイトスの動きを共有し、全体の統一感を出すためです。アニメーションではゲーム内に4つのカメラ(視点)を用意します。こうしておくと、どの方向から見ても対応できるようになるのです。そして、ゲーム操作に応じて、どのカメラから見たものにするかを決めていきます。

ゲーム内のアクション部分では、つねに4方向にカメラを置き、動きにあわせながら切り替える。画面黄色がそのカメラの位置だ

 ゲーム内でスピードが落とさないように、敵のアニメーションのテクスチャーをシンプルにする一方で、クレイトスのアクションやディテールについてはさまざまな追加要素を設定しました。PS3で大きく変わったのが、顔のディテールはっきり描くことができるようになったことです。アニメーションを作成するにあたりモーションキャプチャーは行わず、ひとつずつキーフレームを設定していきました。というのも、クレイトスの動きはハードすぎて人間ではとてもやれないものですので。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」