すべての曲でライブを創る圧巻の構成力! 「Aki Misato LIVE2010 “from now on”」リポート
4月18日、アニメ、ゲームなどで多数のタイアップ曲を提供する実力派シンガー・美郷あきが、自身の最新アルバムの名を関したライブ「Aki Misato LIVE2010 “from now on”」を開催した。
ライブ前日の4月17日には記録的な遅さとなる降雪を記録するなど、今年の春は不順な天候が続いていたが、ライブ当日は見事な晴天。会場にも軽装のまま続々とファンが詰めかけ、渋谷・恵比寿LIQUIDROOMのフロアーは満員となっていた。
じっくりとアガるフロアー!
美郷あきが真っ白なワンピース・ドレスでステージに登場すると、大歓声で出迎える満場のファンたち。1曲目「Life and proud」からライブはスタートし、そこから「Unusual Days」、感謝の言葉を伝える挨拶を挟み、満面の笑みを浮かべつつの「Hide and seek」「波の階段」。オープニング4曲をニューアルバム曲で固めるなど、新曲をたっぷりと聴かせる意図をはっきりと感じることができる構成となっていた。
アップテンポな「燃え曲」を多くリリースしてきた美郷だが、前述4曲はやや緩やかなナンバーばかり。じっくりと聴かせていくのか、と思いきや、生の歌声に加えてステージング、そして笑顔で徐々にフロアーを暖めていく。
それに応じて、客席もゆっくりと、しかし確実に「熱く」なって来るから面白い。少しずつ振り上げられる手、振られるサイリウムの数は増してゆき、ややテンポが上がる5曲目「Wild succession」までにはすっかり暖気完了! 間奏にさしかかる頃にはフロアーからコール、ジャンプまでもが飛び出していた。
「燃え曲」からバラードまで多彩に揃う美郷の楽曲群だが、歌唱力のみならずフロアーを作るシンガーとしての実力、その構成力を見せつけられた瞬間だ。
「みんな、ありがとー! 楽しいねー」
暖まったフロアーに向けてかけられたのが、この言葉。どこかおっとりしている性格、そして声質。そんな美郷らしい挨拶に、観客からは大声援と大きな拍手が。春にライブを開催するのは初めて、別れや出会いがある春らしく、この先へ進むためのライブにしたい。そんな想いを込めて歌うと告げたあとに、新曲となる「What a beautiful world」(オンラインゲーム『ラグナロク オンライン』RJC2010テーマソング)を披露した。
このギター・リフも鮮烈な新曲から曲調は一気にテンポアップ。聴かせに行った序盤から、「みんなハッピーになりましょー!」とマイクで煽りつつの上昇モードへと乗っていく。「Made in WONDER」「Love Motion」と近年のハイテンポなヒット曲を繋げ、フロアーのサイリウムも激しく打ち振られていく。
今回の新しい挑戦は「アコギ弾き語り」
一気にハイテンション状態へとフロアーをアゲたが、このあたりで一呼吸。「次は切ない曲を。久しぶりに歌う曲です」と紹介されたのは「Calling」。ステージ全体が落ち着いたブルーのライトで照らされる中、ピアノ・バラードを歌い上げる美郷にはピンクのスポット・ライトが。幻想的な雰囲気の中、「all allow」「兆しの太陽」とバラード曲が続く。
「ライブをするにあたって心がけていることに、毎回何か新しいことに挑戦しようと」。前回のライブではダンスに挑戦したという美郷だが、今回も新たな挑戦としてなんと「アコースティックギター」を取り出した。えへへへへ、と照れ笑いを浮かべつつ「買っちゃったんです、これ」とつぶやくと、フロアーからは驚きの声が。最初は借り物のギターで練習をしていたが、リハーサルの途中で「欲しくなっちゃって」(美郷)新品を購入。美郷が練習で使用していたペイントされまくりのカラフルなギターは、当日伴奏としてツーマンを組むギタリストが使用していた。
そしていよいよ、新品アコギによる弾き語りへ。「暖かく、あたたか〜く、見守ってください」の前置き付きで演奏された「Silent wing」だが、見事な腕前をきっちりと披露し喝采を浴びていた。
弾き終えたあとのMCでは、美郷がギターソロを披露すると聞きつけた友人が、オリジナルのピックを作ってくれたと報告。せっかくだから、と5枚のピックを客席へと投げ入れプレゼントしていたが、「練習したのに!」と途中で叫んでいたように、残念ながらあまり飛ばずに最前列の方へ「へろっ」と落下していた。次回の披露までには、ピック飛ばしも要練習か?
渋くアゲる「BLOOD QUEEN」、連打をぶち込む「燃え系メドレー」そしてピアノ・ソロへ
続く「君が空だった」「BLOOD QUEEN」は、オール・アコースティック編成での披露。「凄く思い入れがある大好きな曲」と語った「君が空だった」は美郷のデビュー曲。「BLOOD QUEEN」はピアノ&パーカッションが心地よいアッパーなジャズ・アレンジに仕上げられ、これにはフロアーもサイリウムを封印しての大クラップでレスポンス。原曲タイアップアニメである「怪獣王女」をイメージしたのか、ステージ上は真っ赤なライトで染め上げられ、ムードをあおる。アコースティック編成でもこれだけ「アゲ」てしまうあたりも、さすがの構成力だ。演奏を終えてのひと言「大人バージョンでした」にはこの日一番の大歓声が上がる。
ここからは通常のバンド編成へと戻し「みんな、まだまだ元気だよね? 熱くなりたいよね!?」
ついに「燃え曲」連打のアッパー・ゾーンへと突入し、「Jewelry tears」「Scarlet Bomb!」そしてヒット曲4曲のメドレーへ。しまい込まれたサイリウムもフル稼働、コール、ジャンプも延々繰り出される檄熱の構成に。メドレーパートではイントロ時点で大歓声が沸くなど、フロアー全体を爆発させたまま、ラストナンバー「from now on」へと繋ぐ。
ここで登場したのは、なんとグランド・ピアノ。最新アルバムのタイトル曲にして、ライブタイトル曲でもある「from now on」は、切ないメロディが特徴のバラード曲。そして美郷による初の作詞曲でもある。更に今回は、作・編曲を担当したランティス社長・井上俊次氏によるピアノの伴奏で歌うライブならではの特別版となった。
井上氏のピアノソロが響く中での最後のMC。感極まったのか、途中涙を零しそうになりつつ「歌詞の中に出てくる『Angel』は私自身。今の気持ち、今後もみんなと繋がっていきたいという想いを、素直に言葉にしました」。そう語るとピアノ弾き語りによる「from now on」を歌い上げ、ライブはエンディングを迎えた。
当然巻き起こるアンコールには、爽やかな「Little wing」バラード調の「さよならの向こう側で」アッパーな「Love Wind」と、本日のセットリストをなぞるかのような構成の3曲で返答。
アニメタイアップ曲を多く提供する美郷だが、単にヒット曲を並べるだけではないアーティスティックなライブを見事に完成させていた。また大胆なアレンジを見せたジャズver.の「BLOOD QUEEN」、ピアノ弾き語りで美しく聴かせた「from now on」など、ライブならではの仕掛けも魅力的。今回のライブに足を運んだファンたちは、美郷のステージに魅せられて、次もその次も彼女のライブへ駆けつけるに違いない。
Aki Misato LIVE2010 “from now on” |
01 Life and proud |
02 Unusual Days |
03 Hide and seek |
04 波の階段 |
05 Wild succession |
06 What a beautiful world |
07 Made in WONDER |
08 Love Motion |
09 Calling |
10 all allow |
11 兆しの太陽 |
12 Silent wing |
13 君が空だった |
14 BLOOD QUEEN |
15 Jewelry tears |
16 Scarlet Bomb! |
17 少女迷路でつかまえて〜夢に見た楽園〜くちびる白昼夢〜UNIMITED FIRE〜disarm dreamer〜少女迷路でつかまえて |
18 from now on |
〜アンコール〜 |
EN1 Little wing |
EN2 さよならの向こう側で |
EN3 Love Wind |
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