連載
» 2010年07月12日 10時00分 公開

ファミコン初期のナイスボート「ミシシッピー殺人事件」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

[ゲイムマン,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

Motomu continue

終盤、この部屋でアイテムが2つ見つかるが、うっかり1つ取り忘れると、後でバッドエンドになってしまう

 アドベンチャーゲームは、途中で詰まるとゲームがまったく前に進まなくなる。しかもどこで詰まったのかがわからない。それでも普通はコマンド総当たりで何とかなるものだが、「ミシシッピー殺人事件」の場合、「もういいました」のせいで、何をやってもクリアできないハマリ状態に陥ることがある。古いPC版のアドベンチャーゲームには、たまにこういうハマリがあったが、ファミコンでこれはかなりつらい。

 当時のゲームブックに近いゲームバランスかもしれない。ファミコンで「ミシシッピー殺人事件」が発売された1986年には、東京創元社のゲームブック版「ドルアーガの塔」(鈴木直人著・全3巻)が発売されている。原作にはない雰囲気や、数々のパズルが盛り込まれた名作で、ファミコン版に勝るとも劣らない人気だった。でも、1巻1巻がかなり長いのに、ゲームオーバーになるとその巻の最初からやり直し。

 また、社会思想社から「ウォーロック」誌が創刊されたのもこの年。当初はゲームブック情報誌だった。ちなみに、この雑誌の末期にわたしが書いていた連載記事が、今の「レトロゲームが大好きだ」のもとになっている。

 東京創元社主催で、第1回創元ゲームブックコンテストが開催された年でもある。コンテストは第3回まで行なわれたが、いまだに第3回の結果が発表されていない。わたしは第3回に応募したが、あの応募作は当時としては出来が良かったから、悪くても佳作、運が良ければ入賞して、商品化できていたと思う。……何「ミシシッピー殺人事件」と関係のない愚痴を書いてるんだわたしは。

 とにかく、従来のアドベンチャーゲームの面倒な部分を排除し、初めての人でもプレイできるシステムや難易度に調整したのが「ポートピア連続殺人事件」であり(同じことをRPGでやったのが「ドラゴンクエスト」)、そうしなかったのが「ミシシッピー殺人事件」だったと言えるだろう。

 ちなみに、わたしは見たことないけど、実際に双葉社から「ミシシッピー殺人事件」のゲームブックが出ていたらしい(樋口明雄著・スタジオハード編)。

いろんな見方 −ネバダカラキマシタ−

 チャールズは、乗客やクルーの証言だけで事件を解決するわけではない。船内では数多くの証拠品も発見でき、それらを調べることで、新たな事実が浮かび上がってくる。

 証拠品は自室の机に載せて調べる。2つの品物を机に置くと、その2つの関係を調べられるのがユニーク。

 大半の証拠品は、「つくえがある」のようなメッセージが出た場所を探すと見つかるが、中には“こんな場所わかるか!”と思うような意地悪な場所を探さないと出てこない物もある。これがまた「ミシシッピー殺人事件」の難度を上げていた。

机に載せる際、カーソルを品物のちょい右寄りに合わせなければ動かせないので注意(特に鍵)
こんな意外な場所にアイテムがある。普通、ノーヒントでここを調べようと思うかなあ?

 それにしても、デルタ・プリンセスにいる人々は、いい性格をしている。

 大富豪夫人のヘレンは、若い女性客・テーラーのことを「田舎者」、慈善事業家・ウィリアムのことを「表面上は立派なように見えるけど実はバカ」、船員・ヘンリーを「不潔でみだらで下劣」とののしり倒す。一方で船長のネルソンについては「有能だし寛大だし愛想も良いし礼儀正しい」と持ち上げているが、当のネルソンはヘレンのことを、「マナーは悪いし意地の悪い女」と思っている。

 ウィリアムは慈善事業家なのに、判事のカーターのことを「アメリカ法学が戦わねばならない邪悪な怪物」、ネルソンのことを「無愛想すぎるしカリカリしすぎ」、ヘンリーのことを「お金もなければ常識もないし頭も良くない」と言う。相当に口が悪い。

 カーターもひどい。ヘンリーに対しての悪口は、もしクリアに関係なかったとしても、メモして本人に見せたくなる。さらにテーラーについても「下品な若い女」と言い放つ。

 ヘンリーはヘレンを「権力を持つ人は何か人の命にかかわることをするのかもしれない」と疑い出す。テーラーは中盤以降、いろんな人物を犯人じゃないかと疑い始める。もう1人の若い女性・ディジーは、あまり汚い言葉は使わないが、カーターのことは「野蛮人」と言い切る。

 ファミコンゲームとは思えないギスギスした人間関係に、プレイしていて陰々鬱々たる気分におちいった。

ヘレンは基本的に、ほかの人を見下している。ただ、船長と判事だけ極端に褒めたたえる
ウィリアムは毎朝、銃で鳥を撃っているので、ほかの乗客から犯人ではないかと疑われている

ポアロになれなくて

 さて、数々の証言や証拠品を照らし合わせて、いよいよチャールズは犯人を告発するわけだが、ここでも気をつけなければならない。もちろん犯人じゃない人を告発してはいけないし、真犯人であっても証拠品が足りないと、追い詰め切れずにゲームオーバーとなる。もちろんスタートからやり直しだ。

 無事に真犯人を告発すると、晴れてハッピーエンドになる、のが普通のアドベンチャーゲームだが。

 被害者が今まで行なってきたことを知って、みんなが真犯人に同情したようだ。だからといって、事件を解決したチャールズに向かって、「あんなふうに言うなんて」だの「ひどいじゃないか!」だの、こぞってああまでボロカスに言わなくても。

 この超展開なエンディングは、もしかしたら「オリエント急行殺人事件」の影響を受けているのかもしれない。だとすればチャールズも、エルキュール・ポアロのように、前もって“もう1つの可能性”を提示しておいたらよかったのに。

 「ミシシッピー殺人事件」は、ファミコン版のほかにMSX2版もあるが、それ以外に日本のPC向けの日本語版は作られていない。

 フジテレビ「ゲームセンターCX」制作スタッフの皆さんが作ったDVD「THEゲームメーカー ジャレコ編」では、DVD発売当時ADだった中山さんが、このゲームをプレイしている。攻略動画ではないので、だいぶ行程が省略されているものの、当時ジャレコが作っていた資料(質問電話への応対マニュアルなど)を見られるのがおもしろい。

 発売当時は、あまりの難しさと理不尽なゲームオーバーで“クソゲー”扱いされた「ミシシッピー殺人事件」だが、今あらためて、複数の攻略サイトを見ながらプレイしてみたら意外と楽しめた。落とし穴もナイフも、ネタとして笑えるし。……といっても、あのギスギスした人間関係は、ちょっとキツいけど。

 そんな中、ヘンリーの恋物語は一服の清涼剤だ。一途な純愛ぶりに好感が持てる。彼の恋はぜひとも実ってほしいと思う。

 わたしは琵琶湖のミシガン号に乗った後、ケーブルカーで比叡山は延暦寺まで行き、根本中堂・不滅の法灯の前で、「良縁成就」のお守りをお受けした。

 もちろんヘンリーくんのためではなくて、自分のためだけど。……俺、この原稿を書き終わったら、告発するんだ、じゃない、告白するんだ……。

ホントに一途なヘンリーくん。でも、この証言には大きなウソがあった……
坂本ケーブルの「ケーブル延暦寺」駅。マンガ「鉄子の旅」に、まるまる1話この駅の中だけで展開された回がある
比叡山からは琵琶湖がよく見えた。ケーブル延暦寺駅前から望む

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/22/news147.jpg つんく♂、「僕の大好きな妻」と元モデル妻の貴重ショット公開 「めちゃくちゃお綺麗」と反響
  2. /nl/articles/2402/23/news013.jpg 生後3カ月赤ちゃん、人生初の証明写真撮影で“キメ顔”を披露! 撮影風景と仕上がりに「たまらん」「かわいすぎるー!」
  3. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  4. /nl/articles/2402/21/news017.jpg 庭にアジサイがあるなら知っておくべき!? 春になる前に急いでやりたい“大きな花を咲かせる”お手入れ術に反響続々
  5. /nl/articles/2402/10/news023.jpg 焼肉きんぐの会員ランク、「なんで警察なんですか」 SNSで注目の疑問、運営元に聞いてみた
  6. /nl/articles/2402/23/news045.jpg チョコザップなのにジムがない!? まさかの“ジムなし”店舗に驚きの声 なぜなのかライザップに聞いた
  7. /nl/articles/2402/22/news035.jpg 歩けないカエルが3年間溜め込んだ“大”の量に爆笑!! 想像絶する規格外サイズに「思っていた10倍」「言葉を失った」
  8. /nl/articles/2402/23/news008.jpg 7歳娘に将来の夢を聞いてみたら…… まさかの回答が爆笑必至「真面目に言ってるのが最高」「どんな夢でも応援します!」
  9. /nl/articles/2402/23/news014.jpg 産前・産後では、“友人の赤ちゃんとの初対面”が全くちがう? 別人のような変貌に「めっちゃ分かりすぎます」「爆笑しました」
  10. /nl/articles/2402/23/news055.jpg 川崎麻世、「相棒」共演していた“いつも優しい兄貴”と笑顔の再会 過去の“大失敗”にも肩たたき「人生そんな事もあるさ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」