「想定外の想定外でした」――開発者が開かす「ぼくなつ」8月32日の秘密:日々是遊戯
「ゲーム史上もっとも怖いバグ」のひとつとして有名な、「ぼくのなつやすみ」の「8月32日バグ」。このバグについて、なんと生みの親である綾部和氏がTwitterで直々にコメントしていました。
ドライバーが堅牢すぎたのも原因だったそう
以前この連載でも取り上げた、プレイステーション版「ぼくのなつやすみ」の「8月32日バグ」を憶えていますか? ゲームクリア後、ある操作を行うことで、ボクくん以外の人間が消滅し、様々な怪奇現象が発生する「8月32日」がプレイできるというもので、「ゲーム史上もっとも怖いバグ」のひとつとしてゲームファンの間ではしばしば話題となっていました。
そんな「8月32日バグ」について先日、なんとTwitterで作者本人が解説を寄せていましたので紹介します。解説しているのは、初代「ぼくなつ」で原作・脚本・監督を務めた、ミレニアムキッチン代表の綾部和(@ayabekaz)氏。綾部氏はバグが発見された当時を次のように振り返ります。
「(略)…あれはぼくなつ1の発売後2年ほど経過してから発見されたものなんです。症状を聞いた瞬間『なんてナイスなバグなんだ』と不覚にも思ってしまいましたw その時点では単なる『就寝せずに翌日へ行けるバグ技』です」(@ayabekaz)
通常、絵日記画面では画面左上に電気スタンドのヒモが表示されていて、クリックすると絵日記を書いて寝る(次の日に行く)ことができます。しかし「夜以外はヒモのグラフィックが表示されていないから、まさかそこにカーソルが移動できて、クリックできるバグが潜んでいるとは誰も思いませんでした」と綾部氏。まあ、これだけなら「就寝せずに翌日へ行ける」というだけで済んだのですが、問題はクリア後に「思い出」として見られる「8月31日の絵日記」からも同じことができてしまった、ということでした。
「(略)クリア日付が31日だから、翌日になっちゃって32日に行けます。これはまさに想定外の想定外でした。」(@ayabekaz)
当たり前ですが、ゲームは8月31日で終了ですから、8月32日に行けたところで参照するデータがありません。しかし、ここで普通のゲームなら動かなくなってしまいそうなところ、「ぼくなつ」はそうではありませんでした。
「8月32日なんてデータは用意されていませんから当然むちゃくちゃになりますが、その部分はプログラミングが優秀なので、ドライバーが堅牢で、データが存在しない日時に突入してもボロボロになりながら動いてるんです。ある意味すごいことなんだけど、(次のツイートへ続く)」(@ayabekaz)
「(続き)さすがにデータがないまま動き続けるのは無理なので、ああいうホラーな見た目になっているんです。メモリーの狭間にある各種のドライバーにとっては無意味な情報を、無理やり視覚化するとああいうグラフィックになるということですね。」(@ayabekaz)
――と、綾部氏にとっても完全に想定外の出来事だったとのこと。なるほど、本来あるべきデータが存在しないから、登場人物が消えてしまったり、文字化けやテクスチャの崩壊などが起こってしまうんですね。データが存在しない日付に突入しても、ドライバーが堅牢だったためになんとか動いてしまう……というのもスゴい話です。プログラミングが優秀だったがゆえに、逆にあんな怖いバグになってしまったと考えるとちょっと不思議な気持ちになりますね。
綾部氏のツイート全文を読みたい方は、「ぼくのなつやすみの8月32日をついに解説(作者本人)」としてtogetterにまとめられていますので、興味がある方はぜひ目を通してみてください。最後に、今回のツイートについて紹介していいか綾部氏に尋ねてみたところ、快くご了承いただけたほか、次のようなコメントもいただきました。
「でも、ぼくなつは本来のゲームそのものもかなり面白いので、これをきっかけに遊んでみてください」(@ayabekaz)
綾部氏が言うとちょっと自画自賛っぽいですが、確かに「ぼくなつ」はバグ抜きにしても大好きなシリーズのひとつです。もしまだ遊んだことがない人は、この機会にぜひプレイしてみてくださいね。
関連記事
- 日々是遊戯:怖すぎる! 「ぼくのなつやすみ」幻の“8月32日”を知っていますか?
夏ということで、恒例の怖い話ネタをお送りします。ほのぼのとした雰囲気で知られるあのシリーズに、世にも恐ろしいバグ技があったのをご存じですか? - 日々是遊戯:「呪われよ!」――「かまいたちの夜2」に仕込まれた“恐怖のバグ”とは
昨日の「ぼくなつ」に続いて、本日は「かまいたちの夜2」に仕込まれたバグをご紹介。こちらもゲームファンの間ではかなり有名ですが……。 - 日々是遊戯:すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ……「真・女神転生」の怖すぎるウワサは本当だった?
「真・女神転生」の間ではわりと有名な「怖いウワサ」をご存知ですか? そのシーンを実際に再現、録画した動画が「ニコニコ動画」で話題となっています。 - 日々是遊戯過去記事一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
-
【ハードオフ】たった“1650円”のジャンク品を持ち帰ったら…… “まさかの結末”に仰天 「中古店は宝の山」
-
セリアのイス脚カバーの“じゃない”使い方に「天才ですか!?」 斬新な活用法に「めっちゃ可愛い」「探してくる!」
-
中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
-
“スカイラインの墓場”に潜入したら、目を疑う光景が…… ヤバすぎる実態に衝撃走る「ここまでやる人はいない」「凄いな」
-
「やばいやばい」 ブックオフに990円で売っていた“まさかの掘り出し物”に大興奮 「ラッキーすぎる」
-
「腹がいたいwww」 一家で体調不良→78歳おじいちゃんの“お年玉”に爆笑 「これは本当に気持ちがこもってる」
-
道に落ちていそうな黒い石ころ→磨いたら…… まさかの“正体”が158万再生「超すごい」「砂利に似ているのに」【海外】
-
100均の毛糸5色を“シェブロン編み”していくと…… うっとり美しい防寒グッズ完成に「分かりやすくてスイスイ編めた」「色のセンスも素敵!」
-
「こんなおばあちゃんになりたい」 1人暮らしの93歳が作る“かんたん夕食”がすごい! 「憧れます」「見習わないといけませんね」
- ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
- ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
- 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
- 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
- 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
- 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
- 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
- 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
- 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
- サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」