“日本制作”の新規ゲームタイトルが、山のように発表されたマイクロソフトの基調講演詳細リポート:TGS2010【基調講演】(2/3 ページ)
今度はKinect専用タイトルのターン!
続いて、スペンサー氏はKinect用タイトルについて言及。「現在日本で開発されている、まったく新しいKinectタイトルを紹介します。なぜ日本なのか、それは簡単に学べて瞬時に面白さを理解でき、くり返し何度プレイできるという、アーケードゲームの良さを持つゲームが日本にあるからです。MGSが日本の開発会社で見たコンセプトは、ユニークで、これまでに見たことがないものでした。しかし、こうしたクリエイターの方々は、“このゲームを世に出すとなると、コンセプトは無難な線を追求しなければならないだろう”という命題を抱えていました」と、とがったゲームを考えても、一般受けしそうなスタイルに自粛してしまう風潮があることをコメント。
「ならば、その道筋を我々が作ろうと考え、日本のクリエイターに突拍子もないクレイジーなアイデアを募ってみました。それと同時に、『Limbo』や『Castle Crashers』、『Shadow Complex』などで成功を収めたXbox LIVEにおけるデジタル配信に注目してもらいました。その結果は素晴らしかったです」と、とがったゲームを作ってもらうよう仕掛け、その戦略が成功したことをアピールした。
その1本目は、「パラッパラッパー」や「ウンジャマラミー」を手がけた七音社のタイトルだ。七音社の代表取締役社長・松浦氏は、ビデオレターで参加。「Kinectを初めて体験したのは、去年のTGSの会場でした。大きな衝撃を受けて、私たちも何かKinect向けのタイトルを作ろう、ということになり、やっと今日ご覧いただける状態までこぎ着けました。我々が作ろうとしているのは、実はホラーゲーム。Kinectを使い、今までにはない怖いゲームが作れているのではないか、と自負しています」とゲーム内容について語った。
そのタイトル名は「Haunt(仮称)」。呪いによって生き続けているお化け屋敷を探索するゲームだ。
続いて紹介されたのは、かつてマイクロソフトに所属していた二木幸生氏が所属するグランディングと、その新作タイトル「Project Draco (仮称)」だ。ゲストとして二木氏が登壇、開発の経緯を語った。
二木氏は「3年ぐらい前にマイクロソフトを退社し、グランディングという会社を立ち上げ、色々なゲームを作ってきました。でも今回Kinectを見て、どうしてもKinectでゲームを作りたいと思い、またマイクロソフトと一緒に仕事をすることになりました。Kinectの話を聞いて一番興奮したのは、これまで十字キーやアナログスティックを前提として作られたゲームのルールを、すべて一新して新しいルールを考えられることです」と、Kinectに魅せられたことを語る。
実際のゲームについては、「テーマはいくつか考えたのですが、やはり一番やりたかったことは“空を飛ぶこと”です。僕の場合であれば、操縦桿を持って操作するのではなく、Kinectを使って巨大な生き物に乗り、体のバランスを伝えて、手綱を持って意志を示し、指をさして敵を攻撃する――そのようなゲームを作りたいと考えました。その相手は、この伝説の生き物たちしかありえません!」と、ドラゴンに乗って空を飛ぶゲームであることを明らかにした。
次に紹介されたのは、スペンサー氏が“MGSのリーダーとしても、私個人としても、長い間一緒に仕事をしてみたいと考えていた”人物だ。その人とは、「killer7」 や 「NO MORE HEROES」を手がけた、グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏だ。
ゲストとして登場した須田氏は、「僕は『ファイプロ』のディレクターとして登壇しているわけではありません(注:須田氏はヒューマン在籍時に『ファイプロ』シリーズを手がけていた)。グラスホッパーからXbox 360でゲームを出して欲しいと、世界中のファンの皆さん、そしてプレスの皆さんからプレッシャーをかけられてきました。そして今日、やっとその声に応えることができます。僕自身も、ずっと前からマイクロソフトさんと仕事がしたいと思っていました。長い時間がかかってしまいましたが、相性はバッチリです。マイクロソフトはデヴィット・ボウイが大好きです。そして僕もデヴィット・ボウイが大好きです」と、ジョークを交えた挨拶で会場の笑いを誘っていた。
また、「マイクロソフトさんに“どんなゲームを作りたいか”と問われて、僕の中でも一番ハードコアで、パンクで、一番ふざけた企画を提案しました。Kinectが発表されるまで、僕たちはコントローラに縛られてゲームを作ってきました。このKinectは手に何も持たず、まったく新しい革命を僕たちゲームデザイナーの手で生み出すことができます。今回のプロジェクトでは、銃や剣といった武器を使わない、コアなアクションゲームになっています。グラスホッパー・マニファクチュアの最大のファンは、世界中のハードコアゲーマーの皆さんで、そういった人に向けてこのゲームを作っています」と、コアユーザーに向けたゲームであることも明らかにした。
最後にスペンサー氏は「以上の5本が、私がここにいる理由です。5人の素晴らしいクリエイター、5つのユニークな観点、これが私たちがこの方向へ進んだ理由です。MGSでは、日本でもっとも優れたクリエイターを探し、その創造性を世界に向けて発信していくことに注力しています。まだその仕事は終わってはいません!」と、さらに個性的なゲームを創り出していくビジョンを明確に打ち立てた。
まだまだ登場、新作タイトル群
ここから再び泉水氏が登場、今後数カ月内に発売が予定されているソフトを紹介した。
まずは、9月8日の「Xbox 360 Media Briefing 2010」にて発表された「体で答える新しい脳トレ」の紹介。同時に、本作が北米、欧州、アジア地域でも発売されることを明らかにした。
続くタイトルは、今年のE3で発表された「Child of Eden」。本作を手がける水口哲也氏がゲストとして登場、「本日初めて日本の皆さんの前で『Child of Eden』を紹介できて嬉しいです。本作は僕がずっと追い求めてきた、ゲームと映像と音楽の融合、というテーマを元に、新しい表現を目指して制作しています」とコメントした。
また、「Kinectを初めて知ったとき、タイミングに合わせて何かをするというよりは、指揮者のように自分で動いたときに映像などを造りあげていく、そんなイメージが浮かび上がった。本作では音楽を奏でるように、映像を指揮するように、全身を使って自由に遊んでもらえたら嬉しいです」と、体全体で楽しむゲームを目指していることをアピールした。
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