緊張が走る中国・武漢で行われたe-sportsイベントグランドファイナル:IEF2010(4/4 ページ)
雑談(2):中国・武漢のゲーセン事情
IEF2010では、選手たちと引率者のホテルが異なっており、筆者の宿は街のやや中程にある繁華街にほど近いところ。ホテルに隣接したビルには、映画館やショッピングモール、ゲームセンターが入居しており、若者達が多く集まっていた。そこで、全日程が終了した日の夜、足を運んでみることにしたのだが、目の当たりにしたのは日本とほぼ変わらないゲームセンターの姿だった。
4階でエレベーターを降りると、目の前にはUFOキャッチャータイプのプライズマシンがずらりと並ぶ。ゲームはトークン制となっていて、20人民元(日本円で1元=12〜13円)で40枚のトークンと交換してくれる。つまり、1トークンが6円程度ということになる。一般的なビデオゲームやプライズ系の機械は1トークン、大型筐体や人気のあるビデオゲームは2〜3トークンでプレイができる。コカコーラの缶ジュースが、武漢では5元、約60円というところから見ても、1プレイあたりの料金は、日本に比べてかなり安い設定といえるだろう。
若い客層に合わせてか、ラインアップは複数台並んでいるレースゲームや、ガンシューティング、音楽モノが多く、ビデオゲームは対戦格闘がメイン。店内奥のエリアには「闘地主」というトランプゲームのオンライン対戦筐体が10セットほど並んでいた。店内に設置されているほとんどのゲームが日本産のものだが、ゲーム内言語も中国語にローカライズされているもの。POPのみ中国語で、ゲーム内言語は英語などいろいろなスタイルでローカライズが行われていた。また、中国オリジナルのゲームも多数あり、音ゲー、レースゲーム、ベルトスクロールアクションものなど、ジャンルはさまざま。
ひとつ、謎なゲームだったのが「OUTRUN」の大型筐体。筐体にはハンドル、マニュアルシフト、アクセル、ブレーキがセットされている、いわゆるレースゲームものなのだが、トークンを入れると、なぜかXbox 360のインタフェースが現れ、ボタンや方向キーの表示もXbox 360らしきものが使用されていた。「?」と思いつつ画面を進めていくとモードセレクトには「Arcade」に続いて「Xbox Live」の文字が。「ハードを改造した、プレイ時間いくらのスタイルか?」と思ったのだが、1ゲームが終了するとコンティニュー画面に続き、メインタイトルの画面に戻る仕様となっていた。一体アレは何だったのだろうか……。
ちなみに、筆者が得意な「鉄拳6 BR」を対戦台プレイしてみたところ、ひっきりなしに乱入があった。カードを使用してキャラクターを育てている人は武漢では見かけなかったが、キャラクターはブライアンやポール、ボブ、アリサなど様々。どのプレイヤーもひと通りの動きとコンボを習得している、なかなか手応えのあるプレイヤーばかり。店内のPOPを見てみると、大会も定期的に開催されているようで、格ゲーはこちらでも人気の高いジャンルとなっていることが伺えた。
国際大会で勝ち上がるために必要なもの、そして国際大会でしか得られないもの
3年連続で予選突破ならず、という結果となったIEF2010。「日本人はゲームに弱いのか?」と思いきや、そういうわけではない。アメリカ・ロサンゼルスで行われた「World Cyber Games2010」では、「鉄拳6」部門で2位、3位を記録、国際的に人気の高い格闘ゲーム「スーパーストリートファイター4」では数多くの日本人選手が入賞しているし、MMORPGのラグナロク・オンラインの国際大会「Ragnarok Online World Championship2010」も、日本チームは準優勝と、いずれも優秀な成績を収めている。一方、IEFに採用されているStar CraftやWar Craft III、Counter-Strikeは、予選リーグの突破が目標、というレベルで、競技タイトルによって強いものとそうでないものが大きく分かれているのが現状だ。
その中で、どうやって練習していくのかが課題となるわけだが、海外の流行に比べるとマイナーなゲームの場合、まずは国内の対戦相手を増やすという地道な努力が必要になってくるだろう。しかし、プレイヤーとしてのスキルと、コミュニティを先導していくスキルを両立させるのは並大抵のことではない。しかし、そのハードルを乗り越え、日本ではマイナーなタイトルでも国際大会の場で勝利できる、ということをぜひとも実践してもらいたい。
数々の国際大会に日本のプレイヤーを引率してきた筆者から、日本のプレイヤーにぜひとも伝えたいことは、「ゲームの国際大会に一度は参加してみて!」ということ。
現在、様々なゲームの世界大会が開催され、日本予選を通過した場合、渡航費の援助を受けられるものが多数ある。自分がプレイしているゲームを「他国の人も遊んでいる」という気づき、そして日本の国旗を身にまとって試合に臨む緊張感、大観衆が見守るステージの上でゲームをプレイする快感。勝ったときの喜び、そして負けたときの悔しさは、プレイヤーにとって大きな経験となるはずだ。
もちろん、ゲームを競技的に楽しむ、というのは、あくまでもゲームの様々な楽しみ方のひとつでしかない。みんなとわいわい遊ぶのもいいし、コンプリート目指してやり込むのも、当然アリだ。
とはいうものの、いきなり大きなトーナメントに参加するのは、ハードルが高いと思われる方も多いだろう。最近では、Webページ上でトーナメント主催している個人大会も数多く存在するので、そういった小さな大会から徐々にステップアップしていくのもいい。まずは、自分が普段遊んでいるゲームを「競技的に楽しむ」ことを一度経験してみてほしい。そこにはきっと、今までとは異なったゲーム経験が待っているはずだ。
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