1998年10月28日

注目高まるドワンゴ日本法人

その提供するサービスは?

 Interactive Visual Systemsが米国で専用ゲームネットワークの「Dwango」を閉鎖したことに伴い,展開が気になる日本のドワンゴ。Dreamcastが同社ネットワークを利用することからも,ドワンゴに対する注目度は高まる一方だ。

 ドワンゴの日本法人は,昨年8月に設立され,12月から2つのサーバでテストを行っている。同社が提供しているサービスは,対戦ゲームのためのピアツーピア形式の専用通信ネットワーク。いわば直結対戦のためのバックボーンだ。インターネットを使ったネットワーク対戦方式と違い,より高速なデータのやり取りが可能とされている。現在ではマイクロソフトの「エイジオブエンパイア」やセガPCの「バーチャファイター2」などで,Dwangoサービスを介した対戦プレイができるという。

 ドワンゴの代表取締役,川上量生氏(写真)によれば,「最近インターネットを介したゲームでも,データ転送に伴った遅延を感じないように通信技術が向上したと言われているが,実際は”ウルティマオンライン”などリアルタイムのデータ転送が必要とされないゲームが増えてきただけ。対戦格闘ゲームなどは,依然としてピアツーピア形式でなければ,対応できない」としている。

 インターネットでの対戦では,同じ速度のモデムを利用していても接続しているプロバイダーなどによって,まちまちの遅延が発生し,プレイヤーが平等な環境で対戦できるとは限らない。理屈上,ピアツーピア形式のDwangoサービスでは,こうしたトラブルを最小限に抑えることが可能となる。

 現在,同社が行っているPCゲームでのDwangoサービスは,異なるアクセスポイント間での対戦は不可能。同一のサーバ内にいるユーザーとの対戦となる。同社では東京にアクセスポイントを持っているが,それ以外の地域では日本高速通信の「データオンデマンドサービス」への加入が必要で,ここを経由しての対戦となる。Dreamcastでも同様の形態になるかは明らかにされていない。

 そのDreamcastのネットワークゲームに関してドワンゴでは,Dwangoサービスに関する技術をセガに提供する。実際のサーバマシンなどはセガ側が設置・管理することになると思われるが,こちらについても現時点では正式な発表はないようだ。

INFORMATION

ドワンゴ
URL: www.dwango.co.j

 川上氏は,「PCでの対戦では,プレイヤーのマシンスペックの違いをソフトウェア側で制御してあげる必要があった。しかしDreamcastはすべて同じスペックのマシンで対戦することになるので,ネットワーク対戦に関するソフトウェア開発は大分楽になるはず」とコンシューマーゲームマシンのネットワーク対応のメリットを説明している。ドワンゴでは,Dwangoサービスに対応するためのSDKを開発中だ。

 また,気になる米Dwango閉鎖に伴う日本法人への弊害は全くなく,Dreamcastのネットワークゲームに関する技術面,ライセンス面などは日本法人が持っているとのことなので,「うずまき」のネットゲームに期待しているユーザーは心配ないように。

 さらにドワンゴでは,ピアツーピアサービス以外にインターネットゲームサービス「IWANGO」も年内には本格的にスタートする計画。Iwangoのチャットで対戦相手を見つけ,Dwangoサービスで対戦してもらう,といった連携サービスの提供も考えられるだけに,こちらにも注目したい。

[ITmedia]

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