ディストリビューターとしての責務と構想:アジア オンラインゲーム カンファレンス2005
2月28日、3月1日に開催されている「アジアオンラインカンファレンス2005」。4Gamer.netやBB Gamesを運営するビービー・サーブ代表取締役副社長の国枝信吾氏が、同社の今後の展開と、ディストリビューターとしての構想を語った。
オンラインゲームにおける「流通機能」の重要性
「オンラインゲームはここ数年で飛躍的にタイトルが増えた。だが、コンテンツが多様化する中で、ユーザーがどのタイトルを選べば良いのか?どんなタイトルがあるのか?といった問題にはこれまで触れられずにきたように思う。」とビービー・サーブ代表取締役副社長、国枝信吾氏は語った。
コンシューマとオンラインゲームの流通には違いがある。ゲームメーカー→流通倉庫→物流網→小売店→エンドユーザーと流れていくのがコンシューマである。一方、オンラインゲームパブリッシャー→ビービー・サーブ(例)→エンドユーザーとなるのが、オンラインゲームの特徴だ。
ビービー・サーブは、同社が持つ「BB Games」「4Gamer.net」「ネットカフェ事業」「投資開発『#8』」を使って、そんな「流通」の問題に取り組むつもりだ。それはなぜか?「オンラインゲームビジネス加速装置(アクセラレータ」としてビジネス基板の確立を行う、というのが狙いだという。
とは言え、これを行うためには、市場動向を把握し、効果的、効率的にコンテンツを流通させる必要がある。では、具体的には先に挙げた4つの要素を使い、どのように流通を行っていくつもりであるかを見ていこう。
まずBB Gamesだが、国枝氏はこれを課金ゲートウェイ事業と呼んでいた。オンラインコンテンツをユーザーへと提供、課金の決済にはBB‐IDキーを利用し、なおかつメーカーが行うプロモーションも代行しているのが特徴だ。現在の取り扱いタイトル数は26である。
そんなBB Gamesの今後の展開を国枝氏は、「Yahoo!BBとの連携強化、4Gamer.netとの連携強化、BB Games会員向け特典などの拡充、決済手段の拡充、取扱タイトルの拡充」という5項目を挙げ、効率的なオンラインコンテンツの流通を目指すと述べた。
次に4Gamer.netだが、こちらは国内最大級のPC&オンラインゲームサイトとして運営されている。オンラインゲームの成長が著しい昨今、2年前と比べ読者数は倍となっているという。また、昨年12月に黒を基調としたサイト構成を白に変えたことが、幅広い読者、特に女性への訴求に繋がったとのことだ。
4Gamer.netの役割としては、Webメディアとしての情報の集約が挙げられた。公式サイトだけでは、個々に情報を発信できても、多くのユーザーには行き渡らないことが多く、「情報の流通」という意味では大きなロスが生じている。熱心なファンであればともかく、情報を自分から探そうとしないライト層には行き届かない現状を、情報が集約されることで、「情報の検索」を楽にしようという考えだ。
また、「情報が集約されるということは、すなわち『情報の流れ』がスムーズになることでもある。」と国枝氏は語る。これにより、メーカーとしてはプロモーション効果の増大が見込めるようになるという。
ネットカフェとの連動が新たな方向性を生み出す
かつてはマンガ喫茶と呼ばれていた店は、単独コンテンツの提供の場から、複合エンターテインメントスペースへと進化を果たした。これはインフラの整備が整ったことによるもので、現在はネットカフェが2500店舗以上、またその内オンラインゲームを導入している店は1600店舗あるという。
国枝氏はそんなネットカフェが「全国規模の出店ラッシュ」(10年後、5000店舗超の成長予測)「ブランド統合、大型資本の参入、業界再編」「コンテンツの多様化」に見舞われるだろうと予測する。これには年々オンラインゲームに対するニーズが上昇していることが理由としてあるとのことだ。
他にも、ユーザー、ネットカフェ、ゲームパブリッシャーの結びつきが強くなることの重要性を挙げ、それによるそれぞれの利点を次のように述べている。
「ネットカフェには新規顧客の獲得と稼動売上への貢献。ゲームパブリッシャーにはプロモーションの強化や導入店舗の増加、そして許諾使用料の収益が見込めます。また、ユーザーはプレイ環境の多様化、ネットカフェ仕様の提供、新アトラクションの提供などが挙げられます。」(国枝氏)
ネットカフェにポスターやチラシなどの販促ツールが置いてあれば、ブランドイメージの向上や、プロモーション活動になる。逆にそれを行うことによって、ネットカフェは新規の獲得、そして既存への喚起が可能になる。そうなれば、店舗環境も変化し、ハイスペックPCの増加や、スタッフのスキル・知識の向上といった具合に、ユーザーへと自然と還元されるというわけだ。
ビービー・サーブとしてのネットカフェ事業に対する今後の取り組みは、「ネットカフェは体験型マルチメディアストアに進化する!」を合言葉に、「4Gamer.netと連動したオンライン企画の強化」「Yahoo!BBブロードサービスと連動した販売網展開」などに力を注いでいくことになるという。
そして最後に「投資開発『#8』」についてだが、現在発表済みのタイトル「三国無双BB」「Master of Epic」、そして第3弾となる「ベルアイル」にも行っているという。この投資開発の目的を国枝氏は、「オンラインゲーム開発に投資し、Yahoo!BB特典ないしBBサーブ特典タイトルを獲得すると共に、投資リターンを狙っていく」ことにあると語ってくれた。
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