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Simシリーズのウィル・ライトが語る「コンテンツの未来」とは― GDC 2005ビジョントラック講演

Sim CityやThe Simsなどの大ヒットタイトルを生み出し続けてきたウィル・ライト氏が、コンテンツの未来について語った。Sims 2までの開発の経験から、提供するコンテンツの量を拡大するだけではユーザの満足度を高めるには不足だという。

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RBB Today

 Sim CityやThe Simsなどの大ヒットタイトルを生み出し続けてきたウィル・ライト氏が、ゲームデベロッパーズカンファレンス2005(GDC 2005)のフューチャービジョントラック講演でコンテンツの未来について語った。Sims 2までの開発の経験から、提供するコンテンツの量を拡大するだけではプレイヤーにとってのゲームの価値を高めるには不足だと語り、量と質に加え、第3の軸として「Ownership(所有)」の概念が鍵になるという。

 ここでウィル・ライト氏の言うOwnershipは、プレイヤーがキャラクタやゲーム内の要素を「自分のもの」と思えること。Sims 2では前作Sims(シム・ピープル)よりもアイテムの充実を行っているが、アイテム数を2倍に増加させても、労力は2倍になってもプレイヤー価値は2倍に満たないとする一方、Sims 2のオリジナルアイテムやキャラクタなどを例に、「プレイヤーは、たとえ見劣りがしても自分の作ったキャラクタに愛着をもつ」と指摘。実際、Sims 2ではこうしたオリジナルのアイテムやキャラクタを公開するウェブサイトも多く存在している。

 ウィル・ライト氏が現在開発中のタイトル「SPORE」は、コンテンツの容量および数的増大について正面から対応しようとしている。

 SPORE(撮影が禁止されていたので写真はない)は、GDC会場で初めて公開されたもので、プレイヤーの操作するキャラクタはバクテリアから海洋生物、陸上生物へと進化、陸上生物は知性化され、村ができ、文明を発達させる。戦争などを経て宇宙へと進出し、近隣惑星をテラフォーミングしたり、さらには銀河の他の生物を探索・接触を果たすという壮大な内容で、ゲームシステムとしてもアクションゲームやリアルタイムストラテジーなど、さまざまな要素が含まれている。

 これだけでもかなりのものだが、ここでウィル・ライト氏は、バクテリアや生物、街の建造物や乗り物などを「KIDPIXの感触」(ウィル・ライト氏)で楽しくカスタマイズできるエディタを用意した。つまり、「おもちゃとしてのエディタ」だ。

 プレイヤーオリジナルのデータはインターネット経由でサーバにアップロードされ、それをダウンロードした他のプレイヤーは、ライバルキャラクタなどとしてゲーム内に登場させて遊べるようになる。カスタムデータを1つ1KB程度にまで圧縮するため、単一のスクリプトでさまざまな生物の動きを表現したりといったアルゴリズム重視の作り方がなされているのも、このSPOREのポイントとなっている。

 つまり、量的な拡大とあわせてOwnership感を高めるため、追加コンテンツの開発をプレイヤーにもやってもらおうというわけだ。そのために、エディタ自体を楽しいものにし、さらにプレイヤーの自由な造形をゲーム内の動作に反映できるようなスクリプトを用意する必要があったわけだ。

 SPOREについてはE3で何らかの発表がおこなわれるようだが、彼のこれまでの作品と同様、今作もまた大ヒットとなりそうだ。

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